第2話 『勇者と魔王』
彼女、セラスは家に連れてってくれると言い、半端強引に俺の腕を引っ張り森の中を歩いていく。
俺は少し混乱しながらも、さっきの場所にいても何も分からないためいいかと考え、この状況を受け入れることにした。
足下の不安定な獣道を通りながら、俺は少しでも疑問を解消するため、彼女にいくつか質問することにした。
「ここは、なんて言う場所なんですか。」
右も左も分からない俺は、とりあえず自分のいる場所は知っておこうと考える。
「ここはねメアリ王国の世界樹の森よ。」
「メアリ王国?すみません、もっと詳しく説明してくれますか。」
彼女は話し続ける。
「はるか昔、大陸が一つだった時代、世界は大魔王に支配されていたの、だけどある日天から少年が落っこちてくる。
少年の名はジーク。ジークは神の遣いだと期待されてたけど、大魔王には到底敵わなかった。
そんな彼は修業で世界を回り、様々な種族の仲間を集めて大魔王を打ち倒し、彼は勇者と称えられたわ。
魔王との闘いで大陸は4つに割れ、キテージ大陸、ストラ大陸、ムリア大陸、ヴォルカ大陸となり、キテージ大陸で勇者の末裔が作った国、それがこのメアリ王国よ。」
「そして勇者パーティの一人、賢者リパ様が、戦によって荒廃した土地に世界樹の種をまいて、様々な動植物が住むこの巨大な森になったと言われてるのよ。だからこの森の中には何処かに世界樹が生えてるらしいわ。世界樹の枝や葉は燃えず、どんな病気でも治す薬になり、不老不死と神に匹敵する力を与えてくれるのよ。」
「勇者や魔王?そんなのは架空のものじゃないんですか」
「架空?何言ってるの?魔王は今だっているし、勇者も居たってしっかり伝承に残ってるし
まあ、世界樹を見たって人は今までいないから、あくまで伝説なんだけどね。って、あなたのその口調とても変よ。見た感じ同い年なんだし敬語なんていらないわ。」
俺の敬語にぎこちなさを感じたのか、彼女は言ってきた。
「じゃあお言葉に甘えて。」
そう言いながら、またさっきのステータスを見ることにした。
ステータス
名前:シン
種族:下級吸血鬼 Lv: 1
HP: 98/98
MP: 45/45
物理攻撃力:23
魔法攻撃力:34
物理防御力:11
魔法防御力:50
素早さ:24
技能:スキル…『微再生』『吸血』『鑑定』『欲深き者』
耐性…『痛覚耐性Lv.1』
称号:『月女神の加護』
【ステータス:対象者の個体名、HP、MP、物理攻撃力、魔法攻撃力、物理防御力、魔法防御力、素早さ、技能、称号などを簡略化し表示する。】
『ステータス』の文字に意識を向けると、説明らしきものが出てきた。
どうやらステータスの項目に意識を向けると、説明が見れるらしい。
他のやつも見てみるか、どれどれ……
【名前:自身の個体名を示し表面上の名前ではなく、魂の核に強く結ばれている
Lv:生物を撃破したときに得る経験値で上昇し、レベルが上がるとステータス値が上昇し新たな技能を得ることが出来る。
種族:自身の種族を表し、種族ごとに独自の特性を持っている。
HP:自身の最大体力と体力残量を表します。攻撃によって体力残量は減少し0になると、対象は死亡します。
MP:自身の最大魔力量と使用可能魔力量を表す。魔法スキルを使う際に消費する。
物理攻撃力:物理的に相手に与えるダメージ量を表す。
魔法攻撃力:魔法スキルで相手に与えるダメージ量を表す。
物理防御力:物理的に受けるダメージ量を減少させる。
魔法防御力:魔法スキルで受けるダメージ量を減少させる。】
初めはなかった名前が、さっきセラスに付けてもらったためか追加されている。
情報が多いため要約すると、生物を倒せば倒すほど強くなれるようだ。
それに勇者や魔王もいるなんて、この世界はまるでファンタジーだな。
って……あれ?ファンタジーってなんだ。
自分で言ったことなのに、なぜそんなことを言ってしまったのか分からない。
……まあいいいか
続けてほかの項目も確認しようとしたとき
ムニュッ
足の裏で何かを踏む。
嘘だろ……。俺の脳裏には茶色のアレを思い浮かぶ。
恐る恐る足元を見ると、そこのあったのは水色のぷよぷよとしたゼリーだった。
「あっスライム!」
「スライム?プルプルしていて可愛いな」
「スライムは魔物の死骸ならなんやら何でも食べるから森のお掃除屋さんって言われる魔物よ。
乾かしたジェルは着火剤として重宝するし簡単に討伐できるから小遣い稼ぎに討伐する子供も多いのよ。」
「へえ、そうなんだn……」
「まあ、そのままグッ!ってやるのよ!」
彼女は俺の言葉を遮り、足で俺の足を勢いよく踏みつけた。
何をやってるんだこいつはーー!
《スキル『欲深き者』が発動します。》
瞬間、胸に何かが流れ込んでくる。ふわふわとしたエネルギーみたいな、何か。
しかし数秒もかからないうちに、そのエネルギーは体全体に染みわたった。
あ、あれ?明らかに何かが流れこんだ気がしたのに、体は何ともない。
《スキル『弱酸Lv1』を獲得しました。》
そんな神の啓示には目もくれず、俺の目は
足元にくぎ付けになっていた。
あんなにもプルプルとして可愛かったスライムが見るも無残な姿に
「これだけの大物だったら銅貨3枚にはなるかしら」
傷心している俺には何の言葉も入らなかった。
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