強襲
「おやおや卒業試験は失敗したようですね。では新入生を補充しましょうか。」
塾長にとって受講生の存在は軽く、補充すればよいものであるらしい。
教室に小柄な少年が案内される。
朱莉は突然立ち上がり、その少年を全力で殴りかかる。そして、その手ごたえが狂律師を名乗る老人と似ていたことから宿敵であることを確信し、手を緩めず、小柄な少年の手をねじ切る。
プロジェクターに映し出された塾長は焦り、困惑する。
朱莉はその場その場で臨機応変に知恵を働かせることは得意でなかったので、建物に入る前に『探知』を使い対象を絞り、厄介な存在である札を所持していないことが確定しない者には必ずこちらから仕掛けるよう指示を受けていた。
朱莉は『傀儡』の影響で生命活動のエネルギーを必要とせず、そのエネルギーを身体能力に生かすことができるためとてつもない力を発揮できた。本人も戦うことに関して開き直りがあり、例え相手が一般人であってもためらいなく攻撃することができる。
「おやおや、ここに秩序を乱す不届き者がいたようですね。」
小柄な少年は朱莉と距離をとり、攻撃によって曲がった首とちぎられた手をもとに戻す。
原理は不明だか小柄な少年から塾長と同じ声がするので敵であることは間違いないことを朱莉は確信した。