塾
朱莉はカルト集団狂律社を語る老人の命令に従うことにした。
病院で1日静養したあと。自身の変化と任務について伝えられた。朱莉は『傀儡』という老人の能力の影響でらしく何者からも殺されなくなった。ただし、朱莉が患う先天的な病等の自然死から逃れる力はなく期間限定の操り人形というわけだ。傀儡という割には操る能力はそこまでなく遠隔で意思疎通ができる程度だ。
朱莉に与えられた任務は同じくカルト集団である調律社を養成する塾に潜入し、塾長を始末することだった。
老人は朱莉が突然いなくなったことについて関係者に根回しをしているらしく両親の口封じもしているそうだった。
朱莉は学生服に身にまといその怪しい塾を目指す。塾は人里離れたところにあるらしく駅を5回乗り継ぎそこから徒歩3時間でようやくついた。そこまでの道のりは与えられた携帯端末で難なくたどり着けた。『傀儡』の影響かその道のりも全く苦ではなく久々の小旅行だと思えば楽しむこともできた。
たどり着いた目的地は豪勢な洋館で怪しい集団がいかにしてお金を稼いでいるのかを考えさせられる。朝早くから出発したがもう夕暮れになっており急いで洋館に入ろうとするもどこからともなく聞こえる老人の声に制される。
「『探知』を使え。」
朱莉は少し不愉快な気分になったが制服のポケットに忍ばせてある厚紙の札を取り出しそれを破く。
朱莉の脳裏に情報が駆け巡る。
「屋内に3人。敵なし。札なし。」
朱莉は安心し、洋館の中に入る。
札は破くことで不思議な力を発揮するものである。入手方法は不明だが老人から渡された。貴重なものらしく今回渡されたのはこの一枚だけである。
屋内に入り受付の係である中年の女性に教室に案内される。
教室には机が3つあり、同い年ぐらいの男子生徒2人が座っていた。
「初めまして。僕はカラスマ三浪。よろしく。」
長身のカラスマが親しげに声をかけてくる。
「あわわわわ。」
朱莉は男子と話すのが久しぶりでうまく言葉が出てこなかった。