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無双
その瞬間僕は世界の中心となっていた。どのような力もこの流れを止められない。
僕の人格は半分は造られた偽物である。その偽物の意思がこの世界を取り巻いている嘘、偽りによって形作られた理想郷を叩き潰すことを望んだ。
それは一種の同族嫌悪である。凡人ならば何を懸けようが必死になろうが大勢に逆らうことはできない。みじめにその命を散らすのが落ちである。しかし、不自然なことではあるが僕は希望を一切捨て去るという代償を払うだけで望んだ世界を手に入れられるように思えた。
僕はそのような状況でも油断をせずに任務遂行のため混乱する大衆の中で反抗する意思のあるものを探しだした。ほぼすべての調律師がその力を失いかけていた中、その者だけが力を保っていた。恐らく直接神の啓示を受けた黒幕である。
黒幕は大衆の中に溶け込んでいたが僕は反乱因子を取り巻きごと確実に葬れるようにまた黒札を取り出した。