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あやかし猫の散歩道  作者: 黒辺あゆみ
第一話 ある夜の散歩にて

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4 お屋敷へ行こう!

「うーん、夜に見るとまさにオバケ屋敷じゃん」


例のお屋敷の前まで来て、私は思わずそう漏らした。

 あ、そうなの、実は猫の身体でもちゃんと人の言葉を喋れるんだよね。

 とはいえ、誰かに聞かれたらヤバいから、そうそう喋ったりしないけど。

 それにしても、お屋敷ってぐるっと囲むように鉄の柵が巡らせてあるんだけど、それに沿って背の低い木がぐるっと植えられていて、中の様子が見えにくい。

 この、見たいけど微妙に見えないっていうのが、子ども心をくすぐる。

 いや、私はもう大人なんだけどね、明日から!

 そんな大人な私が、オバケ屋敷の秘密を解き明かしてやるのよ!

 そう意気込んで、私は実はちょっとだけ怖じ気づいていたのを、気合で「エイッと」鉄策の隙間に身体を差し込む。

 こういう狭い所をムリムリッっていう風に身体が抜けていくのが、なんとも言えないの。

 気持ち悪いような、気持ちいいような、不思議な感覚ってヤツね。

 鉄策を通り抜けたら木の根元を通って、やっとお屋敷がはっきりと見えた。


「あれ、思ったよりもキレイだなぁ?」


予想外の光景に、私は首を傾げる。

 もっとお庭が散らかっていたり、壁にツタがはっていたり、窓ガラスが割れていた李するのかと思っていたけど、そんなことはない。

 お庭は綺麗に掃除されて花なんて植えられているし、壁はツタも汚れもないクリーム色だし、窓ガラスもピカピカに拭かれている。

 手入れされているってことは、誰か住んでいるのかも?

 でもそんな話、聞いたことないなぁ。

 けどもし誰かが住んでいるんだとしたら、私、不法侵入ってヤツで訴えられる?

 いやいや、私今猫だし。

 猫に不法侵入とか言う人はいないか。

 私はそういう結論を導き出して安心したところで、せっかく来たんだからとお庭を散策することにした。

 お庭だけでも広いから、見ごたえがあるわぁ。

 夜の風の中に草の匂いがたっぷり含まれているのを楽しみながら、私は表の通りに面した辺りから裏に回れば、そこには薔薇の花のトンネルがあった!

 わぁ、こんなのテーマパークとかでしか見たことないや!

 その薔薇のトンネルを抜けた先に、すごく古そうな木造の建物が見えた。

 なんだろう、神社っぽい建物なんだけど、鳥居とか賽銭箱とか大きな鈴がついたヒモとかはない。

 なんだろうな? ホントに神社?

 もっとよく見ようと私が近くに寄っていくと、あ、ほんのちょっぴりだけど、入口が開いてる!

 ちょっとだけなら、中に入っていいよって言われているのかも!

 うはぁ~、冒険っぽくなってきた!

 ということで。


「お邪魔しま~す」


私は神社みたいな建物に入っていく。

 中は細やかな彫刻があちらこちらにちりばめてあったり、月明かりに照らされた障子の枠が床に影が映っていて、なんとなく神秘的だった。


「ほわぁ~、キレイだぁ」


私は思わず感嘆の声を上げる。

 もしかしてココって、なにかの文化財的な場所だったりするのかなぁ?

 そういう雰囲気があるよね。

 もっとなにかないかとキョロキョロすると、奥の方が高くなっていて、絵が描かれた大きな掛け軸が飾ってあるのが見えた。

 そしてその掛け軸の前に台座があって、お団子とお水が置いてある。

 お供え物かな? やっぱり神社なのかも?

 そしてあの掛け軸が神様とか?

 私は掛け軸をもっとよく見ようと思って、そちらに近寄って高くなった所にピョンと跳び乗る。

 その掛け軸は怖いような、綺麗なような色彩で、フサフサなものに包まれている動物が描かれている。

 なんだろう、犬? 狐? そんな感じの動物だ。

 私がそんなことを考えながら、掛け軸の周りをグルグルと回っていると、ふと備えられたお団子が目についた。

 そういえば私ってば、ハトとの闘いでお腹が減ったんだよねぇ……。


 グウゥ~!


 そう気付いちゃうと、途端に私のお腹が鳴ってしまった。

 口の中が唾液が一杯になって、目に入るのは美味しそうなお団子。

 いやいや、けどこれはお供え物だから、つまみ食いなんてダメダメ!

 けど思えば思うほど、余計にお腹が空いたかも?

 でもでもこうして放っておいても、ネズミとかが食べちゃうんだよね、きっと。

 なら、ここで私が食べちゃうのも、アリなんじゃないの? お供えの有効活用的に!

 そんな考えに至った私は台座に前足をかけて、お団子をパクっと食べる!

 うん、美味しい! これは高そうなお団子だ!


≪ホホッ、愛い猫じゃの≫


「あれ、今なにか聞こえた?」


 私はお団子から目を話して建物の中を見渡すけれど、誰もいない。

 おかしいなぁ? 今声がした気がしたんだけど……もしかして、オバケ?

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