7 助けが来た!
「雅貴ぁ~!」
どうして雅貴がここにいるのかは知らないけど、私はなんだか怖かったのと安心したのとでわけわかんなくなっちゃって、とりあえずまだポカーンとしているぽっちゃり猫の横をすり抜けたら雅貴のところへと駆けて行って、ピョーンとその胸元目がけて飛び込んでいく。
「うわっ!?」
雅貴は私が自分に向かってダイブしてくるとは思わなかったのか、慌てながらもちゃんとキャッチしてくれた。
そうだよね、私普段は自分からは行かないもんね。
だって、恥ずかしいじゃん?
けど今はいいの、とにかく安全確保の方向で行動するから!
なんか、雅貴の近くだと安全な気がするし!
「危なかったんだよ、聞いてよ、アイツひどいんだから!」
雅貴の腕の中でジタバタしながら現状を伝えようとするんだけど、我ながら上手く言葉にできていない。
雅貴はそんな私を見下ろして、ため息を吐く。
「最近えらく早く帰るもんだから、気になって様子を見に出てみれば、なにを真っ直ぐに帰らずに余計な寄り道をしているんだ。
しかも狭い場所ばかり通るせいで、見失ったじゃないか」
そして文句を言われた。
そりゃあ、猫の通り道だし、狭いよね。
けど雅貴はどうやら、ここのところの私の行動を怪しんで、私を探してくれたらしい。
「で? ここでなにをしている?」
雅貴が同じことを聞いてきた。
「そいつが、あやかしで、亜希の店をメチャメチャにしたから、こらしめてやっているところ!」
さっきよりはマシなことが言えた私を、雅貴がヒョイと肩に乗せる。
ちょっと、肩って立ちにくいんですけど!
そこでバランスをとろうと思ったら、なんだか変わった襟巻みたいになる。
一方、雅貴がぽっちゃり猫に目を向けた。
「なるほど、お前がここのところのお騒がせ猫か。
居場所は案外近かったんだな。
というか、太過ぎだろう」
「ムギィ! 太いって言うな!」
雅貴の最後の一言に、ぽっちゃり猫が尻尾をブンブンと振る。
やっぱり気にしているんだ。
だったらダイエットすればいいのに。
「まあいっか、今ウワサの石動のガキに一泡吹かせたってなると、あやかし連中に偉ぶれるってもんよ!」
ぽっちゃり猫は気を取り直したみたいで、尻尾をピーンとして小さな羽をパタパタさせている。
私はそれがなんか、なんかムカつく!
「あのね、アイツってば雷をバリッってやるの!
痛そうなんだから!」
私が雅貴の頭を前足でパシパシしながら教えてやると、雅貴から「うっとうしい」って言われた。
なにさ、教えてやっているのに!
プンスカむくれる私に、雅貴が「フン」と鼻を鳴らす。
「それならばさっき見た。
あの程度なら当たったところで、ちょっとしびれる程度だろう」
雅貴がそう言うと、ぽっちゃり猫が「なんだとぉ!?」と毛を逆立てる。
「オレサマをバカにするなぁ!」
そう叫んだぽっちゃり猫が尻尾を振ると、雷がバリバリと音を立ててぽっちゃり猫の周りで光り出した。
ねえねえぽっちゃり猫、静電気で毛並みがすごいことになっているよ!?
その見た目が怖いって!
「うるさい」
一方で、雅貴がそう言って片手を振る。
パパパァン!
そうすると、その雷の光が全部破裂しちゃった!?
そしてまたまたポカーンとするぽっちゃり猫の姿がある。
「なになに、どうしたの!?」
「狐火で雷を消した。俺の狐火の方が強いからな」
そう告げる雅貴がもう一度手を振ると、なんと、ぽっちゃり猫が雷の光ごと火だるまになった!?
「え、え、え!?」
火だるまって、大丈夫!?
いや、悪いことをした猫なんだから心配するのもどうかな?
って気にもなるけど、でもなんかグロくない!?
肩の上でワタワタする私が騒がしいのか、雅貴が「落ち着け」って言ってくるんで、とりあえず足踏みするのを止めてみた。
でもあれ? あんまり焦げ臭くなくない……?
そう、不思議なことにぽっちゃり猫の周りに火がまとわりついているカンジなだけで、ぽっちゃり猫本体が燃えている風ではない。




