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あやかし猫の散歩道  作者: 黒辺あゆみ
第一話 ある夜の散歩にて

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1 始まりの夜

明日は中学校の入学式、という日の夜のこと。

 今の私ってば、もうワクワクしてばっかりだ。

 私はお父さんの作った晩御飯を食べて、後片付けをして洗濯機を回して洗濯物を干して(我が家は夜干し派なのだ)、と夜の作業をこなして、ようやく自分の部屋に引っ込んでいる。

 そうなの、ウチはお母さんがいない分、家事はみんなでわけてやっている。

 けどね、このウチのお父さんって言うのが、なんでか料理以外の家事が全くダメなヒトで、掃除洗濯は主に私がやるの。

 だってお父さんにやらせると、なんでか洗濯物はドロドロぐしゃぐしゃで、掃除は余計にちらかっちゃうんだもの。

 洗濯なんて洗いは洗濯機が全自動でやってくれるのに、なんであんなになるんだろうね?

 我が家の謎の一つだ。

 それはともかくとして。

 そんなことをした後、私は自分の部屋で一人、制服ファッションショーをしていた。


「んふふ」


私はニンマリするのが止まらない。

 なにせ明日から通う学校の制服が結構可愛くって、私ってば鏡の前で何度も回っちゃう。

 ブレザーとセーラー服が合わさったようなデザインで、オシャレ可愛いんだ♪

 ガサツだなんだって男子から言われることの多い私は、わざわざ他人に言いふらしたりしないけど、可愛いのが大好き!

 本当は文房具とか洋服とか、可愛いので揃えたいんだけどねぇ。

 悲しいことに私、なんだか「可愛い」が似合わないのよね。

 なんでだろう?

 髪が短いから?

 ちょっとつり目だから?

 けど似合わなくっても好きだから、前は目立たない小物とかを学校に持って行っていたんだけど、それを見た男子が「似合わね~!」って大きな声でからかったのがすっごくイヤで、それ以来のトラウマだ。

 どうせね、ボーイッシュな格好が似合う女ですよ!

 今じゃあそうやって馬鹿にしてくる男子とかがうざったいから、そういう可愛いグッズコレクションは自分の部屋の机の中に仕舞ってある。

 比較的仲のいい女子とかにも見せたことがないけど、いつか誰かと可愛いもの自慢をするのが夢だ。

 だから、可愛いのが制服だと馬鹿にされる理由もないし、堂々着ていられるから嬉しくって、気分が上がりっぱなしだ。

 それにさ、中学生ってなんか、大人の仲間入りってカンジじゃない?

 なにか新しいことが起きそうな予感がする!

 そんな風にいつまでもしていると。


「弥奈、早く寝ないと、明日寝坊するぞ」


ドアの向こうからお父さんの声がする。


「はぁ~い、もう寝るぅ」


私は返事をしてから、制服を脱ぐとハンガーにかけた。

 明日からはずっとコレを着るんだから、今日はこれくらいにしておこう。

 それに、私の今夜のお楽しみはまだまだあるんだし!

 私は部屋の電気を消して「寝ますよ」っていうアピールをしつつ、お父さんと弟が寝静まるのを待った。

 ベットに横になって、物音がしなくなってそろそろいいかな? という頃を見計らって、そうっと起き上がると、忍び足で部屋の窓へと向かって隙間を開ける。

 昼間はそろそろ暖かいけど、夜はまだまだ風が冷たいんだよね。

 けど、そんなのも気にならない!


「よし……っと」


私は意識するだけで猫に変身する。

 もうずぅーとやっているから、変なポーズとか呪文なんてものも必要なくなっちゃったのよ。

 でもね? 変身には慣れたものな私だけど、着ていたパジャマとかに埋もれちゃうのが難点。

 抜け出すのにいつも一苦労なんだよ。

 それが、つい最近になって「先に服を脱いでいればいいじゃんね?」ってことを発見してしまったのだ。

 私、頭いい!

 え、それだと真っ裸になるじゃんって? ノンノン、猫になれば毛皮っていう立派な服があるからね、問題ナシ!

 ちなみに猫な私は、黒に近い焦げ茶色の毛並みで、これはたぶん私の髪の色だな。

 私の髪って、真っ黒じゃないんだよね。この色はお母さんに似たみたい。

 弟はお父さんに似て、真っ黒な髪の毛なんだけどね。

 こうしてちゃんと猫になれた私は、その場で足ふみして猫の身体の調子を確認したら、ジャンプして窓辺に跳び乗ると、さっき開けた隙間からスルリと外へ抜け出した。

 よぅし、散歩に出発! ってことで、テッテコテッテコと歩き出した私なんだけど。

 実は、散歩の時にはいつもミッションを決めているの。

 だって、せっかくお母さんが教えてくれたあやかしの力なんだから、なにか役立つことに使ったら、お母さんが褒めてくれるかなって思ってね。

 ……少なくとも、悪戯に使ったらすんごい怒られそう。

 なにせあやかしだよ?

 死んじゃってもなにかしらの手段でお仕置きしてきそうじゃない?

 そういう理由で「一日一善」的なカンジで、なにかいいことをしようっていうのが、私のお散歩ミッションなのだ。

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