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後輩ちゃんの恋愛講座

後輩ちゃんの恋愛講座 見た目編

作者: 衣谷強
掲載日:2021/02/21

銘尾 友朗様主催『冬の煌めき企画』に間に合わなかった残念な子です。

すみません。残念なのは私です。

でも書き上がったので企画ではない形で投稿はします。


以前投稿した『煌めいたのは涙か雪か』の続編になります。

後書きで(続きません)、とキッパリ言ったばかりなのに…‥ スマンありゃウソだった

でも まあちゃんと作品は書き上げたんだから良しとするって事でさ…… こらえてくれ


シリーズ化に当たって改題しました(旧題:それはきっと煌めきのせいで)。


クリスマスに酷い目にあった男と、同情した後輩との物語です。どうぞお楽しみください。

 年始明けの学校に行く、俺の足取りは重かった。


「……ねぇ、ちょっと……」

「……わ、マジ……」


 周りの視線とひそひそ声が痛い!


「つくづく災難だよな……」


 発端はクリスマスイブの夜。

 彼女だと思っていた女が、他の男とデートしていたのを見て、一人公園で泣いていたのを後輩に見られ、散々にいじられた。

 更に自分はキープに過ぎないと思い知らされ、捨てるしかなかったプレゼントのマフラーを受け取ってもらえて号泣した。


 しにたい。


 挙句、女に対する免疫を鍛えると言って後輩から送られてきた、髪型や服装についての指示メッセージの数々。

 バラされそうで逆らえず、言う通りにして来たけど、俺にはこういうの似合わないよな……。


「せーんぱい!」

「!」


 悪魔の声! 振り返るとそこには、


「ちゃんと言った通りにし、て……」


 目をまん丸にして固まる後輩がいた。


「お、おう、おはよう……」

「……」


 返事がない。ただのマネキンのようだ。


「ど、どうした?」

「え、あ、いえ、思った以上だなって……」


 分かるよ! 似合わなさがだろう!?

 髪を切ったのはいいけど脱色なんて初めてしたし、服もタイトなの買わされたし、靴まで指定されるとは思わなかった!

 マネキンそのままお買い上げみたいな格好悪さを感じながら耐えてきたのは、俺の恥を隠すためだったけど、逆に傷口広がってないかこれ!?


「なぁ、もういいだろ? 罰ゲームはこれで終わりでさ……」

「……罰ゲーム? そんな風に思ってるんですか?」


 うわ、後輩の目が怖い!


「だってこんなに周りから見られて、ひそひそ言われてさ……。恥ずかしいんだよ……!」

「それは先輩が……、いえ、そうか。根が深いのか……」


 何やらぶつぶつ言っている。今のうちに……!


「じゃあ俺はこれで」

「待ってください先輩」


 にっこり笑う後輩に腕を掴まれる!


「な、何を!」

「免疫付けるって言ったじゃないですか。これぐらいのスキンシップで動揺してるようじゃまだまだですよ」


 普通女の子に腕掴まれたら動揺するだろ! 違うの!?


「先輩、一限何ですか?」

「……社会学総論」

「校舎は?」

「……文II」

「私もです。じゃあ一緒に行って、授業後文IIのカフェで落ち合いましょう」


 うそ! 校舎までこのまま!?


「勘弁してくれよ……」

「また女に騙されたいんですか?」


 ぐあ! 閉じかけていた傷口を開くなぁ!


「……分かった」

「もう、こんな美少女と一緒に歩けるんですから、もっと喜んでくださいよ」

「自分で言うか普通!?」

「あぁその感じです。気負わず普通に話していきましょう」


 後輩の言葉に少し緊張が緩む。そうか、彼女とかその先とか考えるから変な緊張をするんだな。

 後輩は先生。教わる事はあっても恋人にはならない。そう思えば今まで通り接する事が出来そうだ。


「そういやお前も髪型変えたんだな」

「お、髪型の変化に気付くの、ポイント高いですよ。そこに褒め言葉付けるともっと良いです」

「えっと、明るくなった感じで似合ってる」

「……」


 無言はやめて! ちゃんと評価して!


「それが咄嗟に出るようになると良いですね」


 悪くはないようだ。良かった。


「じゃ先輩、後ほど」

「あぁ、またな」


 腕が解放される。手を振って教室に消える後輩。

 情けない俺ににここまでしてくれるなんて良い奴だ。

 カフェでは何かご馳走してやらないとな。




 何あれ何あれ何あれ!

 私のメッセージにあんなに素直に従って、しかもめちゃくちゃ似合ってる!

 周りもそりゃ見るよ! 噂もするよ! イケてるもん! 格好いいもん!


 後はあの低い自己評価が何とかなれば、彼女の一人や二人簡単に出来ちゃうんだろうな……。

 「似合ってる」なんて簡単に言えちゃうんだもんな……。


 上手く行ってるはずなのに、間違いなく嬉しいのに、何だかもやもやする。

 私、先輩の事……? いやいやそんな訳ない。

 あの写真を開く。

 クリスマスイブの夜、街灯に煌めく先輩の涙。

 情けない姿。可哀想な姿。

 そう、ほだされてるだけ。

 放って置けないだけ。

 好きになってなんかないんだから。

読了ありがとうございます。


読んだ方は分かるかと思いますが、家紋 武範様の『私の彼はダサ坊や』(全九話完結済み)を読んで、続編のアイディアと情熱が生まれました。

パクリじゃないです刺激刺激(震え声)。


恋愛未満というのは良いものですね。時にはこんな甘さ控えめも良いかと思います。


それではまた次回作でお会いしましょう。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最後の一文がいいですね。 そんな風に想ってる時点でもう好きになり始めてるのに、素直じゃないところが可愛いです。 先輩に女の子として見て欲しいのに、先輩からそういう目で見て貰えなくてやきもき…
[一言] ああ、何時もの作風だ、と。 え?もう終わり?何それ!!生殺しとはこのこと!! 行くの?行かないの? どっちなんだぁぁ~~~~!!
[良い点] 後輩ちゃんがかわいいですーー!! ただの無言と受け取っている先輩と無言にならざるを得なかった後輩ちゃんの食い違いにニヤついてしまいます。 「好きになってなんかないんだから。」の破壊力に…
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