はじまりの街は遥か先に
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あれから大分歩いたが、一向に王都が見えてこない…日も落ち始め、徐々に辺りは暗くなりつつあった。
…ルーゼは王都はここから近いとは一言も言ってなかったな…
今夜はこの草原のど真ん中で野宿するしかないか。
「なぁ魔王、この当たりで休憩にしないか?腹も減ったしここで野宿しようぜ。」
「ま、まだ私は大丈夫だ、疲れてないしお腹も減ってなど…」
魔王の言葉とは反対にお腹の音がなり、その瞬間魔王の顔が赤く染った。
「腹減ってんじゃねぇか。そんな意地張らなくてもいいぞ。」
魔王のことはあの時戦場に経つ時までは知らなかった、だが、軍の頂点に立つものの立場は嫌という程分かる。魔王は戦場にはあまり行っていない分、魔王軍の司令などをしていただろう。ならば尚更苦労があっただろうな。
「じゃあ俺は食料を集めてくるから魔王は薪を集めてきてくれ。」
魔王はわ、わかったと言い各々材料を集めに行った。
魔王が火力調節を間違い食料を灰にしたり、草原に火がつき燃え広がりそうになったりと色々苦労したが、ようやく俺たちは食料を得ることが出来た。
「完成だ…俺特製、炎蜥蜴だ!」
焼きあがった骨付き肉を空に掲げた
「ただその辺にいたトカゲを丸焼きにしただけじゃないか…」
魔王が呆れたように言う
「…仕方ないだろ、これまで料理したことねぇんだからな。そ、それにな、サバイバルと言ったら丸焼き一択だろ!」
少し早口になってしまった。
そういうものなのか…と魔王が言いながら肉に口をつけた。
「なかなか悪くない…」
「だろ?って言っても焼いただけなんだがな。もしかしたらあのトカゲが強かったのかもな。」
俺もつられて食べてみる
結構美味いじゃねぇか。魔王軍との戦いでの疲労が徐々に回復していくのが分かる。
ドラゴンの肉はそのドラゴンが強ければ強いほど旨みが凝縮されて美味しいものになる。この世界でもそれは同じらしい。
そのため元の世界では古龍の肉を手に入れるために国が動いたこともあった。
あの世界のことに思いを馳せながら魔王の方に目をやると肉を持ったまま眠たそうに目を擦っている。流石にここまでの距離の移動で疲れたようだ。
「魔王、それ食ったらもう寝とけよ?」
「ここでか?周りには魔物もいるのだぞ…?」
そう言いながらも魔王はうつらうつらしていた。
「仕方ねぇだろ。それに子供はもう寝る時間だろ?」
俺がからかい口調で言うと魔王は
くっ…と睨みつけてきたが、あまり覇気は無い。
「冗談はさておき、魔力を吸われて本調子じゃないって言ってただろ?お前。今日は俺が見張っててやるから早く寝ろ」
相手は魔王だが、今は協力しなければならない。
本調子出ないのなら寝られるうちに寝ておいた方がいい。それに俺もこの世界のモンスターに慣れておかないとな。
「そう…だな…確かに調子は良くない…勇者に言われるのは癪だが、今日は休ませてもら…うぞ…」
そういうと魔王はそのまま横に倒れ、すーすーと寝息を立てて眠ってしまった。
相当気を張ってたようだな。そりゃいきなり別の世界に飛ばされたら疲れもするか。
そう思いながら魔王に布を被せようと…
「痛っ」
魔王に手を伸ばそうとすると魔王の周りに膜のようなものが張られており、俺の接近を拒んだ。魔王の魔力障壁か?
セキュリティは万全ってことですか…
あの魔力障壁の厚さならちょっとやそっとでは壊れないだろう。
これで少しは暴れられそうだな…
剣は持ってないが、物理で殴れば問題ないだろ。そう考えると自然に笑みが零れた。
さぁ…
「狩りの時間だぜヒャッハアアアアア!!!」
そう叫ぶと俺は夜の草原へと駆け出して行った。
読んでいただきありがとうございます。最近暑いですね。しっかり水分補給をしてくださいね。居住区が某雨の降らない県なのでめっちゃ暑いです。死にそう。