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冒険は再び始まる

ありがとうございます。

ー魔界ー

それは人間世界とは異なる次元に存在するもうひとつの世界。

空も大地も暗く淀んで魔物と呼ばれる存在が蔓延っている。

そしてこの場所で俺は最後の戦いをむかえる。

相対するは魔物の王、《魔王》いくつもの町を破壊し、蹂躙し、人間たちを苦しめてきた。


こいつを倒せばまた、人間には平和な日常が戻ってくる。


人類の希望を託された俺は剣を強く握り締め魔王へと走り出す。


魔王はいつものように冷酷な表情を変えず、魔法を放つ。俺はその魔法を躱し、魔王に向かって大きく跳躍して剣を振りかぶり力を込めた。


俺の旅もようやく終わりかと思うと、かつての仲間と過ごした日々が走馬灯のように思い出される。


死屍累々の日常だったが、殺伐とした日々だったが…


ーーついに最後の戦いが始まる…そして俺は、魔王の首に剣を…



剣を振り下ろそうとした瞬間、俺は眩い光に包まれ、跳躍した勢いのまま壁に激した。



さっきまで手に握っていた剣は綺麗さっぱり消えている。


目を開け起き上がって辺りを見ると、そこは一面ただただ白い空間に机と椅子が置かれた不思議な空間に俺は立っていた。


魔界は?魔王は?一体ここは…


「ようこそ神界へ勇者ルクス君」


声のする方へ振り向くと腰までは行かないくらいの金髪で白い服を着た女性が歩いてきた。


神界ってどういうことだ…


「いきなり連れてきちゃってごめんね?」


「神界って一体…ここはどこなんだ…?」


「文字通り神の住まう場所って所かな。あたしは神ルーゼって言う者さ。早速だけどー…」


「…おいちょっと待て、いきなり話を進めるな…」


「ど、どうしたんだい?そんな血走った目で見て…」


「元の世界の魔王はどうなったんだよ!?まだ魔王倒せてなかったんだけど!?さっさと元の世界に戻せ!神だからそのくらいできるだろ!」


「まぁまぁ、落ち着いて…」


そういうとルーゼは椅子に座った。


落ち着いていられるか、魔王がまた暴れたらどうなるか分かってるのか?こいつ……

俺もルーゼの向かい側の席に座った。


「魔王の件は安心していいよ、今ちょうど封じこめているからね」

そう言ってルーゼとかいう神はパチンと指を鳴らし、薄い板のようなものを俺に見せてきた。


「こいつは…」


そこには結晶に包まれている魔王が映し出されていた。どうやら封印されているようだ。


「だから安心してって言ったでしょ?」

とルーゼンは笑みを浮かべ、続けて


「というわけで君に頼みたいことがあるんだ、異世界に行って魔王を倒してきてくれないか?」


「は?」


……いやちょっと待て、魔王を倒せなんて自分の世界だけでも十分だってのに異世界にまで行ってまた魔王を倒してこいだって?


そんなもの答えは決まっている。


「断る」


「ちょ…ちょっと待って!ただ行ってこいとは言わないさ!そうだ!チートアイテム!チートアイテムをひとつ選んでいいからさ!」


チートアイテムってあれか?良く放浪者として現れるニホンジンって奴らが持ってるやつか。


「そんなものいらないね!行かねーって言ってんだろ」

俺がそう言うとルーゼは微笑をうかべこちらに向いて

「ふっふっふ…しょうがない…こうなったら最終手段を取るしかなさそうだね…」


嫌な予感がする

まさかこいつ…


「お、おいおい、神がそんなことしていいのか?神界にもルールってもんがあるんじゃ…」

そんな俺の声を遮ってルーゼが


「さあ、勇者よ旅立ちなさい!新たな世界があなたを待っています!」


そう言うと俺に光が差し、俺の体はそのまま天空へ上がっていく。


こいつ、話聞いてねぇ!


「頑張って魔王倒してきてね♪」

とルーゼが手を振っている。


「ちょっと待てお前!後で絶対後悔させてやるからな!覚えとけよー!」


そんなザコ敵が放つような言葉と共に俺は光に飲まれて行った。



目を開けるとさっきまで居た神界とは違う草が生い茂った草原に立っていた。辺りを見ると見たことの無い景色、ここは…本当に異世界に飛ばされたようだ。


すると突然

『おっ、無事にそっちの世界に転移できたみたいだね』

とルーゼの声が聞こえた。これはテレパシーってやつか?


「おい、転移できたみたいだねじゃねぇよ。勝手に異世界に飛ばしやがって…」


『それについては悪かったって。お詫びと言ってはなんだけど、君が要らないって言ったチートアイテムをこっちから与えちゃいます!』


あの時も要らないって言ったんだが…もう、言っても聞かなそうだなこいつ。

「もう転移してしまったからなぁ…別になんでもいいぞ…」

俺は肩を落として言った。


するとルーゼが声を張り上げて、



「それでは!ルクス君には…チートアイテム

"魔王"を差し上げましょう!!」



……今こいつなんて言った?



「もしかしてお前今魔王を差し上げるとかいいやがりましたか?」


『ん?言いやがりましたよ?あーールクス君、魔王を貰えるなんて君はツイてるね☆こんなことをしたのは君が初めてだよ』


「他にこんな事例があってたまるか!魔王を連れてくるとか正気か!?下手すればこの世界が滅ぶぞ?」


『まぁ、それについては大丈夫だって。それに、君はかの魔王セラについてよく知らないみたいだしね。この際お友達にでもなったらどうだい?』

とルーゼがからかうように行ってきた。


冗談じゃねぇ…

だが、正直魔王のこと戦闘以外はよく知らないんだよな。


『と、いうわけでそっちに転送するねー。』


そう声がすると、身構えている俺の前に魔法陣が現れ、魔王が召喚され…


目の前に幼女が召喚された。


「…誰だこいつ?お前幼女誘拐してきたのか?」


『ちょっと、人聞き悪いこと言わないでくれるかな…彼女は魔王セラだよ?』


「いやいや!魔王はこんな幼女じゃないだろ!」


少なくとも俺の知ってる魔王とは随分容姿が幼い。


『あーそれね、封印してる時念の為に魔力を吸い取っていたから弱体化してるんだよ。』


魔王が弱体化するまで魔力を吸い取るとか神の力すげぇな。

こんな奴でも一応神なのか。


その幼女をよく見ると腰くらいまである白い髪に背中に付いている黒の羽と頭の黒い角、確かにどれも魔王セラをそのまま幼女にしたような姿だった。


『よし、召喚できたようだね。まずは王都を目指してみたらどうだい?この道を真っ直ぐ行くと着くはずだよ。じゃ、あたしは忙しいからこれで…シーユーアゲイン!』


「おい!ちょっとま…」


頭の中の声がプツリと消えた。

最初から最後まで勝手なやつだった。

絶対あいつルールとか守ってないだろ…

そう考えていると

「んぅ…」という声がして、魔王セラが目覚めた。

魔王は目を擦りながら辺りを見渡し、ここが魔界ではないことに気がついたのかオロオロと慌てだした。


そして顔を上げ俺に気が付いたのか

「あっ!勇者!」と、うげっ…と言わんばかりの表情で声を上げた。


「よぉ、お目覚めかい?魔王サマ」


俺は魔王を覗き込むようにしてそう言った。


「ゆ、勇者…!こんな所に連れてきて私をどうするつもりだ!」

と魔王は俺を見上げて動揺したように言った。


「どうもしねーよ。この世界に俺たちを呼んだのは神だ。お前も魔界で光に飲まれただろ?どうやらこの異世界の魔王を倒さないと元の世界には戻してくれそうにないぜ。」


俺の言葉に魔王は初めこそ驚いた表情だったが、すぐに冷静な表情になりため息をついた。

「いいだろう、今回はお前に協力してやる。」


魔王が協力してくれることは正直意外だった

こいつは俺が思っていたより飲み込みが早いやつだったんだな。


「あぁ、感謝するよ。で、その神が言うにはまず、この道を真っ直ぐ行って、王都に迎えって言ってたぞ。王都に行けばここがどんな世界なのか情報が手に入るかもな。」


「私も魔力を吸い取られているから魔法も連発できない。ここは協力する他なさそうだな。」


魔王はそう言い、ひとまず俺たちは休戦協定を結び王都へ向かい始めた。

この度はこの作品を読んでいただきありがとうございます。所々文章が変になってるところもあると思うので指摘してくれるとありがたいです。暇があれば書く感じなんで時間は空くと思います。

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