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嫉妬心

 

「嫉妬」


 小さな声で伝えた。その言葉を聞いた瞬間ルイは声を上げて笑った。彼が笑った意味が分からない。私に嫉妬されているのが面白いというのか。更に気持ちが暗くなった。


「安心したよ。ルカも同じなんだね」


「同じ?ルイが私の能力に嫉妬しているってこと。以前、剣術で私が勝った時ルイは悔しそうじゃなかった」


 オリビア嬢に苛立ち演習場で気持ちを落ち着かせようとした時、ルイに襲撃された。その時、私が勝ったがルイは全く悔しそうでなかった。次期国王であるルイは、側近になる私を競う相手ではないと思っていると考えていた。王族より騎士が強いのが当たり前でそれに嫉妬する王族はない。つまり王と摂政は同じ土俵にはいない。そう思っていたからこそルイが私に嫉妬していることに驚いた。

 ルイにとって私はどんな存在なのだろう。


「剣術はいつか負けると思っていたよ。毎朝一緒に演習場に行っているのだよ。気づくよ。まぁ嫉妬というなら一年前に終わったからさ」


「一年前……」


「そうだよ。僕は剣術には自信あっただけど全く稽古していない人に負けそうになってさ。あの時、根本的なものが違うだと思った」


 一年前と言うと丁度私が前世の記憶を戻した頃だ。あの時ルイに手合わせしてもらってあっと言う間に負けてしまったのを覚えている。その時のルイを圧倒するほどすごい人がいたのだと思うと感心する。その人と私に嫉妬しなくなった関係はよくわからないが素直に「すごい人がいたんだね」と言うとルイはわざとらしくため息をついて見せた。


「まぁいいや。僕に嫉妬している話だっけ。僕はルカと共に生きたいと思っているから、一緒に生きられる力をほしいと思っている。難しいと思うところをお互い補助できるのが理想だよね」


 それはまるで告白でもしているような言い方だ。ルイは兄であるが前世の年齢のせいか可愛い弟のようなに感じる。そんな彼からの告白はとても嬉しい。私にショタ属性はないが好かれている相手に好意は持つ。


「二人で一人みたい感じかな」


 その瞬間、ルイの顔が真っ赤に染まった。そして、とても嬉しそうに笑っている。そして何度も頷きながら「いいね」と言っている。

 私と一緒にいて一人前というのがそんなに嬉しいのだろうか。王になるのだから一人で一人前になりたいのではないのだろうか。

 ルイの気持ちがよくわからない。


「嫉妬する対象ではなく、支えあう関係っていいね。二人でいれば最強って最高だよね。もう二人で王でもいいいくらだよ」


 王にはなりたくない。国の運営なんて冗談でも嫌だと思う。しかし、どうせ王の側近としては働かなくてはならないのならそう思われていた方が動きやすい。

 そういう意味では彼の能力が伸びるのは喜ばしいことである。彼にできることが増えれば将来は楽できるかもしれない。今の摂政の忙しそうな様子を思い出した。


「じゃ、国王たちからの課題は二人で考えよう」


 私がそう言ってから食事に手をのばした。ルイはずっと焼き菓子を食べているが私は何も口にしてない。何も解決しなくてもお腹は空くんだなと思う。

 手にしたパンをちぎって口に入れた。この世界の主食はパンであるが前世のようにふわふわだったり、ハチミツが練りこんであったりという物はない。白米もない。前世の食事が恋しく思うがお菓子を美味しいので妥協することにしている。


「そうだね。でも、現段階で結論はでないよ。なにせハリー・ナイトは謎だらけだ。調査時間をもらおう。方向性としてはハリー・ナイトを裁き奴隷制度の廃止。反乱軍は必要ならかな」




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