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王の規則

 王の規則について、叔父が丁寧に説明してくれた。規則とは王が暴走しないように権利を制限するものだ。しかし、いままでは実際に守られない事が多かった。王の権限が強いから当然と言える。

 現国王フィリップが王の規則を守るのは“怒られない”ためらしい。規模を破ればそれを咎める人間がいる。それと関わりたくないと言うのだ。その説明をしている時の国王は頭をかきながら締まりのない顔で笑っていた。


「でも、今回条件を満たしたから」


 嬉しそうに話す国王に対して、叔父は眉を下げる。先程の険しい顔つきはきえ、いつもの無表情になっている。チラリと国王を見ると説明の続きを始めた。今、国王が言った“条件”についてだ。そもそも、“子どもに対して王と接する”と規則の意味は王位継承問題だ。我が国の王位継承者は生まれた瞬間に決まる。

 それが子どもと関わり、王が王位継承権を持たない子どもを国王にしたいと国の規則を覆すことがないようにするためだ。


「それは次期国王と次期摂政が協力関係にある事を証明できればよい」


 要は第二王子である私が王位を狙わなきゃ良いってことだ。王位はいらない。組織を維持するのは大変な仕事だ。ましてや国など絶対に嫌だ。


「その為に二人で協力してハリー・ナイトを裁いてね」


 国王は軽い口調でとんでもない事を言う。楽しそうに笑う国王と無表情に頷く叔父に私は何も言えない。二人も何も言わず私を見ている。すぐに断りたい案件であったが王の言葉を否定するとこができずにじっと叔父を見た。

 時計の針が動く音が室内に響く。沈黙が居心地悪く壊したかった。しかし、言葉がでない。


「王をやめたい」


 国王の言葉はミサイルのようである。しかも予想外の所に撃ち込んでくる。叔父は額に手をやり、ため息をついている。今日の叔父はいつもよりも表情豊かである。


「裁判の件は承諾と解釈してよいか。それならば全てを話す」


 二人とも私が承諾する事を前提に話を進めいる。大体“王が判決を下す”という規則があるかぎり私が裁くことは無理だ。その事を説明すると、私の判断を自分が告げればいいと国王は言ったのだ。

 国王の発言は常に嘘くさく気持ち悪かった。しかし、今の国王は嘘くさくないが違和感がある。


「承知しますが、今回の提案は国王陛下と叔父上の考えですか」


 裁判の件は断っても国王権限で命令されれば断れない。ならば潔く自ら受けようと覚悟をした。しかし、今回の計画は本当に二人の案であるか気になったので確認した。すると国王はすぐに首を振って否定した。


「僕とオリバーだけの考えではないよ。それと国王陛下ではなく父と呼んでほしいな」


「そうですか。では叔父上、承諾しましたので説明をお願い致します」


 国王の呼び方についての願いは無視した。幼い頃から国王陛下と呼ぶように指導されてきているのだ。今更替えることはできない。公の場では“国王陛下”と呼ぶことが基本であるため、この件についてはいくら命令されても変えさせることはできない。


 それよりも“私がハリー・ナイトを裁く”ように提案した者が気になる。



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