ルイによる石の設定
食事を全て片付け終わると台車を扉の外にいる衛兵に渡した。それから、テーブルに戻ると、ルカは真剣な表情をしている。
魔法陣生成のため人差しでテーブルをなぞっていた。
席に着き、ルカの様子をじっと見た。魔法陣生成は何度見でもって不思議である。
書き終えるとテーブルの上に魔法陣が浮かび上がった。そこに手をかざす。
石が二つ現れると魔法陣は跡形もなく消えた。
ルカが僅か数秒で石を取りした事に驚いたがそれが複数な事に更に驚愕した。希少価値の高い石は石版魔法陣でのみ取り出し取り出し可能である。王族なら誰しもができる芸当であるが、複数は呼び出せない。ルカがやって見せたのは石版魔法陣を応用した創作魔法陣である。
ルカは古代語がわかるのだから文章を変更すればできるということか。
ルカの能力の凄まじさは分かっていても毎回驚いてしまう。驚けばルカは毎回“当たり前”というような顔をする。更に、自分はまだ未熟だと言うのだ。
自分の能力に満足していないということだと思う。彼はきっとどんなに他者より秀でていても十分だとは感じることはない。
そんな彼のそばにいるためには僕も学び続けなくていけないと思う。
「始めようか」
ルカから石受け取ると変わりに僕の力を込めた紙を渡した。石の設定をするため魔法陣を書いてもらうと思ったのだ。
しかし、ルカは不可解な顔した。
「え?めんどく…大丈夫だよ」
その言葉に嬉しくて自然と笑顔になるとルカがは慌てて言葉をかえた。ルカはどんどん僕に本音を言ってくれるようになり嬉しく思う。今だって、“面倒くさい”と言ってくれて構わないのに。それが僕とルカの絆が強まっている証拠なのだから。
ルカはテーブルの上に手をかざすと魔法陣が出現した。
そうか、石の設定魔法陣は石版魔法陣で可能なものだから創作せずに呼び出すだけでいいのだ。気づかなかった自分を恥じた。
それを手の平で差し“どうぞ”と僕に進めた。それから、自分の前にも魔法陣を出現させて石の設定を行っていた。
あまりの手際の良さに僕はついていけない。ルカが設定し終わる頃に僕は魔法陣を発動させた。魔法陣発動の練習をしなくてはならないと焦りを感じた。
毎日、毎日、魔法陣を学ばなかったことを後悔している。
設定は対象者の髪を使うため出来上がった石は髪と同じ色になる。僕とルカは同じ金色であるがルカの石の方が色が濃い。
髪の色は同じに見えるのになぁ。
僕が石を見比べているとルカは僕の石を手にしてさっさと胸ポケットにしまった。ルカの石はテーブルに置いたままだ。魔法陣は消えてるためテーブルの上、ポツンと置いてある。おそらく持って行っていいということだろう。
何も言わないのはルカが僕に気を許しているのを実感すると心が踊る。石を手にするとルカの匂いがするようだ。
「これ持ってサラと話して見るよ。誕生パーティー承諾については私から叔父に伝えるから」
石を眺めているとルカの単調な言葉が響いた。どうやら“帰れ”と言っているのだろう。しかし、僕はもう少しルカと一緒にいたかった。
「石を使うためには魔法陣が必要だから書いてほしいな」
露骨に面倒くさいという顔をした。さっきまであんなに不安そうであったのに解決の糸口が見つかるとこの態度だ。
「明日渡すから帰っていいよ。それじゃ明日演習場でね」
僕が動かないと思ったようではっきり“帰れ”と言われた。笑顔を作ってくれているが目が笑っていない。これ以上居座ると機嫌が悪くなると思い、腰をあげた。
その場で手を振るルカは扉まで見送る気はないらしい。面倒くさいのだろう。
偽らないルカの態度が嬉しくて仕方ない。
「それじゃ、明日ね」
後ろ髪を引かれる思いで扉をでた。




