二人目:義理の妹
「ただいま」
「お帰り兄さん」
家に帰り、リビングへ行くと、寝巻姿の七海がソファーでココアを飲んでいた
「風邪はもう良いのか?」
「ちょっと辛いけど、朝程じゃないですよ。ありがとう」
「どれどれ」
鞄を置き、七海に近付いて額に手を当てる
「…………」
「ね、大丈夫でしょう?」
「手じゃ分かりにくい。動くなよ」
七海の前髪をかきあげ、顔を近付ける
「に、兄さん!?」
「おでこで計るんだよ。昔は良くやったろ?」
「で、でも……ぁう」
七海と額を合わせると、やはり少し熱い
「まだ熱あるな。ココア飲んだら寝るんだぞ?」
「…………はい、兄さん」
リビングへ七海を残し、俺は自分の部屋へと戻る
「……明日のスカル、行けないかもしれねーな」
ベットにねっころがり、iPodでスカルを暫し堪能する。マジでカッコイイぜ
「七海は風邪引くと長いからな………………あっ!」
俺が治せば良いんじゃねーか!
イヤフォンを耳から抜き、部屋を飛び出し、キッチンへ行く
「桃の缶詰ダァーッ!!」
キッチンで最強アイテムを手に入れ、ついでにお粥も作ってやる
「今行くぞ、七海〜」
テンションのわりには小さい声と足音で2階へと上がり、七海の部屋のドアを8ビートのノックで叩く
「な、何ですか一体!?」
「あ、悪い。つい……入っていいか?」
「え、ええ。構いませんけど」
「じゃ、入るよ」
七海の部屋に入ると、病人特有の臭いが微かにした
すっきりと片付けられた部屋のベットで横になっている七海。横には水差しと薬が置いてある
「七海、お粥と桃食べれるか?」
「お粥ですか? はい、食べれます」
ゆっくりと起き上がる七海
俺は七海の傍に行き、背中を支えてやる
「に、兄さん、私、大丈夫ですから……」
「バカ、辛い時ぐらい俺を頼れ。いつでも支えてやるから」
スカルを代わりに見に行くし、それくらいしないと罰が当たりそうだ
「あ……ありがとう……」
「愛しい妹の為だ。礼なんか言うな」
「…………はい」
「それでいい。お粥、一人で食べれるか?」
そう聞くと、七海は首を振って
「一人じゃ……食べられないです」
と、上目遣いで甘えた
「分かったよ。ほら、口を開けろ」
フォークで適当に掬い、七海の口元に運ぶ
「あ、熱いよ、兄さん。
フーフーして……」
「……おいおい」
コイツ急に甘え始めたな。熱でもあるのか? ……あるか
しかたがなく息で冷ませながらお粥を食べさせ、桃もちょっとずつ食べさせた
「それじゃ俺は部屋に戻るから、何かあったら携帯鳴らせよ?」
ようやく全部食べさせ、口元を拭いてやった時には40分も経っていた
俺は七海の枕元に携帯を置いて立ち上がる
「……うん」
少し寂しそうだ
「暖かくして寝るんだぜ」
「はい、兄さん……ありがとう」
七海の部屋を出て、自分の部屋に戻り携帯を見ると、着信が三件
理名、理名、理名
「……忘れていたぜ」
それからかけ直し、玄関前で泣きそうになりながら待っていた理名の回収に成功したとさ
つかチャイム鳴らせよ