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森崎1  作者: ブッチャー
13/28

十二人目:オカルト同好会

突然だがこの学校には、やたら多くの部活がある


何故なら部にする為に必要な条件が甘いからだ


その条件とは部員を5人用意する事。一応顧問も必要だが、取り敢えずは5人生徒が居さえすれば良い


どうしてそんな事が許されるかと言うと、この学校実は私立なのである。そしてある理由から生徒会が凄まじく強い


さて、こんな後付けっぽい説明に納得してくれた心優しい人達は、きっとこれから先も読む事が出来るだろう


恐らく、これから先も後付け的な説明は山ほど出てくるだろう。だが、気にしてはいけない、気にしたら負けで……



「……起きなさい」


バシャンと水をかけられる


「ぬわっ!? ……こ、此処は? お、俺は一体誰に説明を……」


「寝ぼけているのかしら。それとも憑いているのかしらね」


女らしき奴がそう言うと、フフフと数人の笑い声があがる


「…………」


俺は無言で周囲を見回し、状況を判断する


黒いカーテンで光を塞がれた暗い部屋。目の前には数人が使える大きなテーブル


テーブルの左右に人影があり、先程水をかけやがった奴が上座へと座った。その横にも影がある


……合計4人か


下座の俺は、どうやら椅子に座らされ腕を縛られているらしい。動けない


「……何だお前ら」


俺がそう聞くと、上座の女が口を開く


「ようこそ森崎 一也君。私はオカルト同好会の初代会長、ゲゲゲの」


「会長。森崎にその手のギャグは通じませんよ」


何処かで聞いた事がある男の声だ


「こら、山田! 私の渾身ギャグを邪魔するな!!」


「か、会長、俺の名前を出さないで下さいよ!」


「……山田か、てめぇ」


ふざけた事しやがって


「…………ふ、良く見破ったな森崎。さすが俺が目を付けた男よ」


「お前、後で殴るからな」


「うっ! か、会長。後は宜しくお願いします」


「任された。……さて、森崎君。今日、貴方を呼んだのは他でも無い、お願いがあるのです」


「……よく分からねぇけど取り敢えず明かり点けてくれねーか?」


これだけ暗いと流石に不安になってくる


「宜しい。坂口」


「イエス。マスター・オカルト」


やる気も覇気も無い女の声とパチンと音が後ろから聞こえたかと思うと、室内は電灯の光で一気に明るくなった


眩しさで目を凝らしつつ、周りを見る


右にはちっこい女。髪をサイドアップにしている


後ろにはショートカットの眼鏡。眼鏡は左の椅子へと戻る


正面に立つ男はクラスメートの山田


そしてその横で、腕を組んで座る黒魔術師


「…………覆面取れよ」


「断るわ」


「つか、誰だお前」


「秘密よ」


「秘密って……お前なぁ」


「オカルト同好会なんだから察しろバカ」


突然横のチビが言った


「何だと!」


「ハオ!」


「あ、外国の方ですか? これはこれは」


やっぱり何故か敬語になっちまう


「里沙は生粋の江戸っ子」


左の眼鏡が呟く


「眼鏡……外すと?」


眼鏡を外し、ジッと俺を見つめる元眼鏡


「………な、何だよ?」


「……………大木」


「お、大木って言うのか」


さっき坂口って呼ばれていた気がしたが……


「ぼんど」


「意味が分かんねぇよ!」


「ふふ。これで自己紹介はすんだわね」


舐めた事を言いやがる黒覆面


「何一つ理解してねーぞ、俺」


「会って直ぐに女の事を理解出来ると思ってんじゃねーよボケ」


「チビ太が偉そうに語ってんじゃねえ!!」


「チビ太って言うな! 腐れチ〇ポ野郎!!」


ピピーと笛が鳴る


「減点5。里沙、後で部屋の掃除ね」


「ええ〜!? このアホが悪いんだよ会長!」


チビ太は俺を指差す


「チ〇ポは無いでしょ、チ〇ポは。全く、チ〇ポなんて下品な言葉、何処で覚えたのかしらこのチ〇ポは」


「か、会長、4回ぐらいチ〇ポ言ってますよ……」


ピピー


「減点10。山田は明日トイレ掃除ね、どっかの」


「せめて場所を指定して下さいよ!!」


「…………俺、帰って良いかな?」


「却下ね。貴方の生殺与奪は私が握っているわ」


「あのなぁ、俺は早く帰って休みてぇんだよ。つかどうやって俺を此処に連れ込んだんだ?」


放課後のホームルームから記憶が飛んでいる


「魔術よ」


「山田がジュースに睡眠薬を仕込んだ」


眼鏡が呟く


「山田てめぇ!!」


いきなりジュース奢るって言うから変だとは思っていたが、普通に犯罪じゃねーか!


「ち、ちょっと、るなちゃん! それは秘密にしてって言ったじゃんか!」


「ごめん、忘れてた。

……魔術だ〜」


眼鏡は両手を上げ、やる気なさ気に言った


「……怒る気も無くすぜ。用事があるならさっさと言えよ。後、逃げねぇから腕のロープ外せ」


「宜しい。坂口」


「イエス。マスター・オカルト」


やっぱりやる気が無い


眼鏡は俺の横に来て、ロープを外した


「あ〜いて」


縛られた所を見てみると、若干赤く腫れている


「……で、話はなんだ? 眼鏡とチビ太、それに黒覆面さんよ。ついでに山田」


「チビ太言うな! 里沙は里沙だぞ!!」


「眼鏡言うな、古田はいとこだぞ」


「この中でお前が一番良く分からねぇよ!」


話が進まねぇ!


「はいはい。ええとね、このちっこいのが、一年で中井 里沙。そっちの眼鏡が二年の坂口 るな。

そしてこの私、マスター・オカルト。これが優秀なる我がオカルト同好会のメンバーよ」


「か、会長。俺もオカルトなんスけど……」


「本題に入るわね」


「ああ」


山田をスルーする俺達


「貴方、オカルト同好会へ入りなさい」


「お断り致します」


丁重に頭をさげ、断る


「じゃ俺帰るわ」


立ち上がり、ドアへと向かう


「…………ふふ」


「ん? 開かない!」


「結界よ。この空間は閉じられている」


一カ所しか無いドア。そのドアがまるでカギが掛かったかの様に開かない


「つーかカギ掛かってるだけだろ」


俺はカギを外し、ドアを開けた


「じゃーな」


「ええ。またね」


「もう来ねぇよ」


「またね、森崎君」


「来ねぇって言ってるだろマス……はっ!?」


今、自然にアイツをマスター・オカルトと呼びそうになった……


「ふふ。……貴方、気に入ったわ」


覆面で顔を隠していると言うのに、思わず身震いをしてしまう程の妖艶さで呟く黒覆面


多分俺、コイツの事……


マジで苦手タイプだ!


「じ、じゃーな!」


俺は逃げる様に部屋を飛び出した

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