アルタイアとアストラエ
この星─アルタイア─は、宇宙に幾つもある星の中で1番新しい星だ。
200年程前、1つの星が“魔人族”と呼ばれる魔法に長けた一族に滅ぼされそうになった時に、“大神”が人族を避難させるために造られた。
その星の管理を任されたのは獣人の神─アストラエ。
彼は獣人から神に成ったが、神界に住む神達と馴染めずにいた為に“大神”がアルタイアを任せたのだ。
だが、彼には管理する知能もそもそも管理する気も無く、自身の住む神殿はどの街からも離れた場所に作った。
─神界に住む神とは違い、星の管理を任された神は信仰する力が自身の力となる。多ければ多いほど力は増すし、一人もいなければその神は消滅する。というのに。
200年前の人々は、助けられたことを感謝し信仰していたが、その者達も段々と亡くなっていき、彼の力も衰えていった。
そんな中、追い討ちの如く“影”に人々が飲まれていった。
この星には、もう一人の少女しか残っていない。
「……とまぁ、そんな絶望的状況なんだけどね?アストラエさん」
少女は精霊達に過去の映像を見ることの出来る魔石を準備してもらっている間、湖の真ん中に生えている水晶の上に座る人物と話をしていた。
『俺は人がどうなろうと構うものか』
アストラエ─青灰色の髪。睫毛や眉毛は羽毛で、耳は狼の耳をしている。獣と人間の半々、といった姿をしている─は欠伸をしながら告げた。
(……なんで、この人に管理なんて任せたの……)
…当時の大神から見れば、管理出来るのであろう、という何らかの自信があったんだろうと思うのだが、今には欠片も見られない。
決して、馴染めない同情心だけで任せたのだとは思いたくない。決してだ。
そんな軽い心で世界を任せないで欲しい。
そんな事を思っていたら、精霊たちの準備が出来たようで嬉しそうに魔石を掲げていた。
『出来たよ〜』『褒めて〜』
キラキラとした笑顔で魔石を渡してくれる。
その精霊達の頭を順に撫でていくと、更に嬉しそうにしていた。 かわいい。
魔石を地面において、手を当てて魔力を注ぐ。
そうする事で魔石の上に映像が現れる。
“影”が覆う少し前から流れ始めた。
─そもそも、この世界では、魔法が根付いている。
こういった魔石状態のものに魔力を流して使うものや、生活に欠かせない水や火を発生させることの出来る魔石。
魔石を加工して、用途を分かりやすくさせた魔導具。
魔法陣に魔力を注いで詠唱すると発動する魔法。
傷ついた人を癒したり、逆に攻撃をするのは魔法を使う。
最も、人を傷つけるのではなく、自然から発生した魔力を浴び、暴走を起こした獣─魔物─を殺すことに使う。
そのふたつがこの世界の基本的な形の魔法だ。
人によって収容された魔力量は違うし、魔法の属性も違う。
属性によって魔法は使えるものが限定されるが、魔力を注ぐ魔導具と魔石は属性に関係なく使える。
少女は映像を見ながら、「……やっぱり、属性は……」や「でも、それだと……」と呟いている。
アストラエはそんな少女の横にふよふよと近付いて同じように映像を見る。
彼も当時神殿に籠っていたため“影”を見ておらず、少しどんな魔法なのかに興味があったそうだ。
映像が終わり、少女はアストラエに向き合い笑った。
「じゃあ、救いに行くよ」
挿絵を描きたいと思いました。
でも、絵に時間がかかりすぎる+下手なため、止めました。
また描きたくなるかもしれません。そしたら、描きます。