その5
投稿遅れてすみません。
[その日の九十九の家]
「はぁ~、久々に外出をしたら疲れましたね。そういえば、今日の爆発物騒ぎはどうなったのでしょう。聞いてみますか。」
ピポピポピポピポ、プルルルルル、ガチャ
「はい、こちら警視庁警備課です。」
「あ、どうも、九十九です。」
「あ、九十九さんご無沙汰しております。香川です。今日はどういったご用件でしょうか。」
「今日の午前中に爆発物騒ぎがありませんでした?」
「ありました。」
「あれって、どうなったんですか?」
「あれは、警視庁の爆発物処理班が処理しました。確か、爆破処理という方法をとったはずです。」
「テロという見方でよいのでしょうか。」
「警察としては、首都の機能を混乱させる目的とした、テロという見方を中心に多方面で捜査を進めています。」
「犯行声明は出ているのですか。」
「一応は出ていませんが、アメリカの国防総省が東京を標的にしたテロが行われる危険性があるという情報を持っているという話が出ています。」
「ありがというございます。」
「いえいえこちらこそ。失礼します。」
ガチャ
「さて、ではデータの処理をしていきますか。」
たくさんの流通データからその流通の中心となっている人を見つけ出すことは簡単なようで難しい。やり方としては、取引回数や金額が著しく多い人を中心として見ていく。または、運び屋となっている人を見つけ出しそこに物を渡している人を見るというものなどがある。
カタカタカタカタ
プルルルルプルルルル
「はい、九十九データ解析研究所です。」
「内閣官房室です。」
「どうしました?」
「明日来ていただけますか。」
「はぁ。かしこまりました。」
「突然で申し訳ございません。では、失礼します。」
「困りましたね。」
「めんどくさそうな仕事が舞い込んできたと思ったら、本当にめんどくさそうですね。引きこもって仕事がしたいのですが…」
[その次の日の内閣官房室]
コンコン、ガチャ
「失礼します。九十九です。」
「あー、どうも。ご足労いただきありがとうございます。官房副長官の佐上です。」
「いえいえ、それにしてもどうしたのですか?」
「実はですね…」
―昨日の昼にあった爆発物騒ぎはご存知ですよね。あの騒ぎの裏には国際的なテロ集団がかかわっているのではないかとみられているのです。もともとこの情報を持ってきたのはアメリカの国防総省なんですけど、いったいどのようにして手に入れられたのかということも含めて何もわからないんですけれども、とりあえず国家の安全保障の確保に差し障ることなので、内閣全体、緊密に連絡をしながら適宜適切に情報公開をするということで決まったんです。しかし、あまり国民に不安を抱かせることも国家情勢の安定に差し障るということからもまだ、機密にしています。―
「はぁ、で私にはどのようなことを依頼したいのでしょうか。」
「実は、内閣銃器・薬物取締特別室の方から聞いていると思いますが、銃器の密輸が多発しています。このことと、昨日の爆発物騒ぎに関係があるのではないかということで、先生の警護をするために、内閣の特別職についていただきたいというお願いをしたいのです。」
「そんな危険性があるのですか?」
「はい。アメリカの国防総省からの情報では、アメリカでも警護対象に銃器担当者が含まれたとのことです。」
「はぁ、で、内閣の特別職というのは、どんな名称なんでしょうか。」
「とりあえずは、内閣府の中の特別室の統括の室長として『内閣特別室統轄室長』みたいな方向で話し合っています。」
「はぁ、これって断ることはできるのですか?」
「できますが、できれば引き受けていただきたいです。」
「では、引き受けましょう、引っ越しはした方がいいですか?」
「東崎からの依頼で、コンピュータールームを地下に作ってあるので、そこをご利用ください。足りないものがありましたら何なりとお申し付けください。」
「あの、権限はどれくらいなのでしょうか。」
「一応、総理の意向で総理同等の権限が付与されています。また、逮捕等に関しても、特別ダイヤルを利用して、裁判所に早急に許可を要請することができます。予算は2億円をめどにしていただければと思います。」
「なぜ、一介の一般人である私にそれほどの権力を付与するのでしょうか。」
「じつは、この銃器対策というのは総理の少年時代からのひとつの目標だったそうで、相当力を入れています。その点でもよろしくお願いします。」
「わかりました。微力ではございますが尽力させていただきます。」
「では、コンピュータールームまでご案内いたします。」
「あっ、その前に少しいいですか?研究所の方にいろいろ連絡をしておきたいので。」
「かしこまりました。では、終わりましたらお声掛けください。」
「すみません。私の都合で、」
「いえいえ、とんでもない。私共のほうがこんな突然のお願いで申しようがございません。」
「では、連絡が終わり次第お声掛けさせていただきます。」
「では、失礼させていただきます。」
プルルルルプルルルル ガチャ
「はい、もしもし。こちら九十九データ解析研究所です。」
「あぁ、九十九です。」
「所長、どうしたんですか。」
「ちょっと用事ができたので、しばらく帰れない。だから、基本的な仕事に関しては北野君に回しておいてくれ。あと、何か僕に連絡を取りたい人が来たら、連絡先を聞いておいてメールで送ってくれ。こちらから折り返し連絡する。」
「わかりました。」
「迷惑をかけてすまない。」
「いえ、大丈夫です。」
「では。」
ガチャ
(はぁ、これで研究所の方の仕事は大丈夫だろう。しかし、この調子だと、仲田さんとのコンサートもいけなさそうだが個人的にいきたいから、警護がついてもいいから行こうかな。それにしても、安全保障のために情報を統制してしまうとは。少し、不安だな。)