その4
「やれやれ、面倒くさそうな仕事ですね、さて、仲田さんのとこに行きますか。」
車のエンジンをかけ、メールが来ていないことを確認した後、ゆっくりと車を発進させる。
「すみません、九十九です。用が終わったので失礼します。」
「お気をつけて。」
「さて、仲田さんのとこまではここから、15分ぐらいのところでしたよね。ん?なんか混雑してますね。どうしたのでしょう。」
「すみません、ここから先の道で、爆発物が見つかったのでしばらく通行止めになっています。」
「やれやれ、東京のど真ん中で爆発物ですか。どうしますかね。すみません。迂回ってできますか。」
「一応できます。」
「じゃあしたいんですけど、どこを通っていくといいですか。」
「この道を右に行って…」
「ありがとうございます。」
「お気を付けて。」
「困りましたね。仕方ないです。迂回していきますか。」
九十九の乗った車は警察官から言われた迂回路に消えていく。
「はぁ、つきましたか。」
九十九は情報システム監視制御システム管理センターのインターホンのボタンを手袋をした手で押す。
「すみません。九十九です。」
「あっ、すぐ参ります。」
「はーい。」
情報システム監視制御システム管理センターの分厚いドアがゆっくりと開く。そこから、一人の女性がでてくる。
「仲田です。お待たせさせて申し訳ございませんでした。」
「いえいえ、大丈夫です。こちらこそ突然のお願いで申し訳ございませんでした。」
「どうぞ中へ。」
「失礼いたします。」
「えーっと、まずこれがコンサートのチケットです。」
「ありがとうございます。」
「いえいえ、私も何枚も持っていても使わないので。で、こちらのUSBがデータの入っているやつです。」
「突然のことで本当に申し訳ありません。」
「いえいえ、私たちにできることがありましたらいつでもご連絡ください。」
「では、失礼します。」
「お気をつけてお帰り下さい。」
「では。」