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第11話 天使と悪魔

ゼファーは立ち上がり、あたりを見回した。

兵士の亡骸。

何人かはもはやただの肉塊かと思うほど、人間の形をとどめていない。


そういえば、自分はなんで生きている?

第八の悪魔契約アザゼルデスタメントによって、殺されたはずなのだ。

服には、おそらく兵士の返り血も含まれるだろうが、血がついていて、さらには自分の服におそらくなんらかの物体が体を貫いた跡らしき穴がある。

だがその先の自分の体には傷跡と見られるものは無い。


おかしい。


一体自分は、何者だ?

悪魔の力の余韻か?

いや、悪魔の力がいくら強大であろうとも、再生を行うことは出来ないはずなのだ。

なぜかと言うと、悪魔は闇の力を司っている、という理があるからだ。

闇の力は強大であるが、正しく使えないものなのだ。何らかの代償を必要とする。

例えるなら人の命、物品などだ。

生贄を捧げる等もある。

つまり、自分の命を救うためには、何らかの代償を必要とする。

しかしそれ以前に自分が殺されるときには、悪魔契約デスタメンツによって殺されたのだから、悪魔の力が働くわけがない。


何故だ?

ここまで深く考えるのは珍しい。


分からない。


そっと空を見上げる。


夕空。

綺麗な夕空。

遠くにはアレザズ王国の城、アレザズ城が見える。

日の沈む方向に城はあるので、黒く染まり、城の形だけしか捉えられないが、あの城は左右対称になっているので、思わず美しいと思った。


バカみたいな戦争を起こしているのに、何が美しいのか。

フェルシー帝国になんの因縁があってこの戦争が起こっているんだ。

地下資源の無断採掘ぐらいがどうしたというのだ?

領土内だからって多少はいいだろう?

いちいち報復のために戦いを行うぐらいなら、こんな国なくたっていいだろう?


「フフッ。」


思わず笑ってしまった。

周りには兵士の亡骸。

その中心で、一人の少年は笑う。


「ハッハッハッ!馬鹿馬鹿しい!ハーッハッハッ!」


こんなに思いっきり笑ったのはいつぶりだろうか?

思い出せない遠い昔?

どこかで懐かしい感触のある、この兵士の亡骸の中心で笑う感覚。


おかしい?

周りから見ればそうだろう。

少なくとも普通の人間とは思われないだろう。


笑い声は、遠くまで共鳴した。


----------------------------------------


「この笑いは!?」

アザゼルは驚いた。

ゼファーは生きている!?


この笑い声なら間違いない。

彼は、生きている。

殺したはずの人間が生きている。

薄々思ってはいたが、この俺をも飲み込まんとしたあの力。

もしや…。

いや、そんなはずはない!



…。

この世界は無情だ。

一度契約した相手なのだ、アザゼルとて驚きを隠せない。


ゼファーは、「天使」だ。

なぜか?

彼がこの世界で死なないのは、天使だから。

天使、人間、悪魔はその者の生まれた世界でしか死ねない。

体を貫いとて、それは痛みがあるかどうかは知らないが、傷は塞がり生き返る。

天使ならば、この世界で死んでも死ねない。

復活するはずだ。


そして。

身の毛がよだつ。


天使を怒らせたのかもしれない。


そしてそれと同時に。


ゼファーは自分の正体に、気づいていないのかもしれない…。


かっと目を見開いていた。

怒り?違う。


恐怖。

絶望。


かつてサタンと戦った時と同じだ。

いや、ルシフェルと言うべきか…。


アザゼルは、ゼファーの元へと急ぎ向かった。


自分は悪魔だが、死ぬのは怖い。

いや、死ぬのが怖いというよりかは、神に罰されることが怖い。

神の罰は、死よりも重い。


----------------------------------------


ゼファーは、笑い終えた。


ふと城の方を見る。


フッ。


くだらない。


殺気が、全身を伝い、手の先へと集中し強く手を握る。

目には怒り。


なぜ、これほどの力があるのに、人を救わない?

父も、今の母も助けられる。

悪魔だろうと関係ない。


力は、力だろう?



刹那。

スッと空を切る音。


振り返る。


「アザ…ゼル…。」

「契約に貴様は違反した。だから殺したはずなのだが…一体どういう訳だ、ゼファー。」


アザゼルは、本当にゼファーに天使としての自覚がないのかを問う。

それ以前にたまたま生きていた可能性もあるのだ、どちらにせよ情報が欲しい。

人間などという劣等が、我が一撃を喰らい、生きることなど初めてなのだから。


「僕もわからないさ。」


言い放っている。

この、悪魔に向かって。

もしかしたら。

彼には既に天使として自覚があるというのか。

いや、まだ分からない。


「ほぅ…。ならばさらに問おう、ゼファー。お前は、何者だ。」

「人間なんじゃないかな。いや、もしかしたら悪魔かも知れないな、ハハッ。」


鼻で笑っている。

悪魔?お前は逆だろう、恐らく。

お前は天使だ。

だが、この応答。


彼に天使としての自覚は、ない。


恐ろしい。

自分の力を知らないのが、最も怖い。


何が起こるか、本人にもわからない、つまり。


手加減が、できないのだ。

背筋が凍る。




ゼファーはこの問答に疑問を抱いていた。

アザゼルの目的は何なのだということ。

そして、殺した張本人なのにも関わらず、殺意がわかない。

人間なら殺意がわくかもしれないが。


今の自分にはわかない。



「アザゼル…。単刀直入に聞こう、目的はなんだ?」

「目的?いや、そんなものは…。」


嘘だ。

死んだはずの人間の元へ再び来るなど、なにかあるに違いない。


「なんだと言うのだ、目的はあるだろう?」

「…。」


アザゼルはうつむき、悔しそうな表情を見せる。

なぜ、そんな顔をする?

分からない。


「答えられないならいいだろう、そして一つ願いがある。」


アザゼルは驚いた。

人間が、悪魔になにか願うなど、黙示録の時の以来だろう。


「なんだ、言ってみろ。」

「もう一度力を貸せ。」

「お前には既に力があろう?」

「そんなものはない。さぁ、再び契約しようじゃないか?」


アザゼルですら凍りつく。

その表情、まるで悪魔。

こちらが悪魔なのに。


人間が悪魔と契約する気分だ、という比喩を使う意味がわかった。

背筋が凍りつき、動かない。

命の危険はないのに、その危険を感じる。


どうにもならない。


「い、いいだろう…。」

「フッ、もう一度頼むよ。」


これが、かつて人間の味わった、恐怖。


恐怖。


恐怖。


いつしか、それは畏怖へと変わった。


「アザゼルの力で、アレザズ王国を滅ぼす。」


さぁ。


第八の悪魔契約アザゼルデスタメント

人間と契約し、その力を人間に託す。

再びの力に、ゼファーは満足を覚える。


「フッ、フッフッフッ…。」


笑いが止まらない。

いっそのこと、母も亡き者にしようか?


どうせ、こんな世界。

所詮、ただの世界に過ぎぬ。


アザゼルは感じた。

世界崩壊の鳴動を。


それと同時に。


世界再生の鳴動を。


----------------------------------------


再びの契約に、ゼファーはもはや何も感じない。


もはやこれがあるべき姿なのかもしれない、と思った。


黒白の翼に悪魔剣。



空はまだ、夕空。


to be continued

どうも、龍崎です!


ようやくゼファーに戻ったと戻ったら、また戻るみたいな?笑

なんとか軌道に戻せましたね( ^ω^ )


あ、一応言いますけどまだまだ続きますよ!?

全然ほかの悪魔契約とか天使契約(その他はネタバレ)に触れていないのでね!笑


ま、待っていてくだされば光栄です~


それでは!ちょっとやってみかった終わり方で!

Next Time Bye Now! (だせぇな)

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