七十九 夏の休暇は実家に帰ろう
題名を変えました。
分かり辛かったら申し訳ないです。
期末考査が終わり、前期の成績が出されるとすぐに夏の休暇……つまり、夏休みに入る。
試験の方はぼちぼちといったところだろうか。
ファラはほぼ全ての科目で満点を叩き出し、相変わらずの学年トップだ。
前世でいい大人だった筈の僕の面目はまたもや立たなかった。無念だ。
それは横に置いておくとして、もはや毎年恒例だけれども、夏と冬の長期休暇は実家へ帰るのだ。
今夏は特に、性別が変わるという事態に関して詳しい事を聞きに戻らなければならない。
実家には連絡をして既に状況は伝えてあるものの、手紙での遣り取りでは全容はなかなか伝わってこない。
母様からの手紙で一番役に立ったのは胸の潰し方という始末だ。とりあえず、そんな状況でも目立った問題は特になく、多くの級友にもバレていないのはありがたい。
洗面台の前に立ち腰まで伸びた髪を櫛で梳かしていく。
とてもありがたい事に母様譲りの金色の髪は癖になり辛く整えるのも楽だ。
頭の後ろで纏め上げて、紐で縛っていつも通りのポニーテールにした。
たまに美容室のような場所で毛先を整え、梳いて毛量を減らして貰ったりはするけれど、髪の毛を長く伸ばしてから随分と経つ。
ここまで長いとさぞ目立つだろうと思いきや、貴族層では少ないながら男性でも長髪はいたりする。
自分で思っていたよりは目立っていなさそうだ。
「こっちは出る準備は出来たよ。グレンの方は?」
「おう。忘れ物は、なさそうだな。こっちも大丈夫だ」
お互いにトランクケース一つ分くらいの荷物を持って部屋を出た。
「ね、グレン。ほんとに家に帰るのを後回しにしていいの?」
「あぁ、親父にはもう伝えてあるしな」
いつもなら途中まで一緒に帰って、グレンと始めて出会った村、ドンフォールト子爵領のベァナで別れてそれぞれの家路に着いていた。
それが今回の帰郷では、グレンは僕の実家まで付いてくる、と言うのだ。
父様も母様もグレンの事が気に入っているから、今回は一緒に帰省すると言ったら大歓迎だった。
グレンは、気を遣ってくれているのだろう。
なんだこいつ、完璧超人かよ。
「……ありがとね」
「ったく、何回目だよ。俺が行きたいんだよ。
あー、ほら、あれだ。お前の実家は料理が美味いからな」
「あはは、そっか」
「おい、信じてないだろ」
グレンは腕を組んでジト目でこちらを見た後に、ふい、と視線を逸らした。ちょっと可愛いな。
……ん?可愛い?あぁ、いや、弟みたいなものだし間違ってないのか。
「さぁ、そろそろ出よう?
まだ集合まで時間はあるけれど、早く着くに越した事はないんだから」
「っと、それもそうだな」
今回の帰郷では、途中にある中継点となるような大きな街までだが、商人の馬車を護衛する依頼を受けている。
学生の身分ではあまり頻繁に依頼は受けられないから、こう言う時にこそ経験を積んでおきたい。
そこの街からはまた依頼を受けるか、丁度良い依頼が無ければ、乗り合いの馬車を利用する腹積もりだ。
……ちなみに、小さい頃に入学試験を受ける時に乗った竜の引く馬車は、竜車で良かったらしい。
依頼の集合指定場所に到着すると、二台の使い込まれた馬車が止まっていた。
依頼主の商人さんは、30代半ばのまだ年若い人でかなりのやり手らしい。
更に元冒険者でランクは5だったと面接の時に聞いた。
それを裏付けるかのように、身体つきは引き締まっていて、まだまだ現役で戦えそうだ。
「おはようございます。今日からよろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
「あぁ、おはよう。よろしく頼むよ」
僕ら以外の冒険者はまだ着いていないらしい。
荷物運びの護衛と言う依頼で、僕達はまだ駆け出しだから他冒険者の補助が仕事だ。
時間ぎりぎりになって、一人の男性が悠々と歩いてきた。
年齢は二十過ぎくらいだろうか、確か、ギルドランクは4。
今回の依頼は彼と僕等2人の計3人での護衛だった筈だ。
道のりは丁度中間地点である四〜五日ほど進んだところで、グレンと始めて会った時に遭遇し撃退した、特殊個体のミノタウロスを持ち込んだ街でもある。
あの魔物の遭遇率の高い森は通過しない上に、いざとなれば商人さん自らが戦えるから三人でも充分と判断したようだ。
「こんちはー、よろしくお願いしやーす」
「よろしくね」
「よろしくお願いします。
俺はグレン、こっちは相方のミアンです」
「ミアンです。駆け出しですが、よろしくお願いします」
「あっそう。よろしく」
男性の冒険者は面倒臭そうな顔をして馬車の方に歩いて行った。
随伴者が駆け出しの子供だったら面倒に思うのも無理はないけれども……。
彼はもう少し対面を取り繕う事を覚えた方が良いと思うなぁ。
まぁ、変に突っかかって来られるよりはまだ、好ましいだろう。
結構突貫工事で書いてしまっているので、変なところがあったらごめんなさい。
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