七十六 告白2
遅くなりました……。
暴走しちまった感が満載です。
櫛を通しながら手から温風を出して丁寧に乾かしていく。
乾くに従って髪にさらさらとした感触が戻って来た。
しかしグレンも良く抵抗もなく受け入れられたなぁ……。
普通ならば絶対に受け入れ難い話だと思うのだけれども。
なんて、どうでも良い事をボーッと考えられる、この時間は結構お気に入りだ。
ややあって髪が乾いたので魔法を止める。
その気配を察知したのか、グレンが此方を振り返った。
「ほれ、丁度紅茶が入ったぞ……それ使える様になりてぇなぁ」
「あ、ありがと。グレンはこれ、苦手だもんねぇ」
温風を出すくらいなら消費魔力も大したものではなく簡単なので、割と使える人も多い魔法である。
でもグレンはこういった生活に根付いた魔法が何故か苦手なのだ。
以前、僕の真似をして髪の毛を乾かそうとして髪の毛を焦がした事がある。
それ以来タオルドライだけで済ますグレンを見兼ねて、僕が髪を乾かす事も多い。
……そう言えば今日はグレンの髪を乾かさずに部屋を出ちゃったな。
髪の毛がそれほど長くないのでもう完全に乾いているけれども。
「で、さ。何で前世の話なんて始めたと思う?」
グレンの淹れてくれた熱々の紅茶に口を付ける。
簡単に手に入る量産品だが、中々に美味しい茶葉である。
「んー、関連で考えれば、属性の話に繋がる、か?」
流石、頭の回転が早い。
「うん、さっきも言った通り、僕には前世の記憶がある。
前世の記憶があるからか、それとも別の世界から来たからか……。
実際のところは分からないけれども、関係があるんじゃないかなって考えていたんだ」
世界から爪弾きにされているような、お前の居るべき場所ではないと言われているような。
そんな気がして憂鬱になっていたのだけれども……今は随分と気分が楽になった。
「ところでさ、グレンも何か相談事とか、ない?」
僕だけ話を聞いて貰うんじゃ、ちょっとアンフェアだ。
グレンもたまに何かを考えている素振りをするから悩み事があるはずだ。
「相談事?うーん、今のところ深刻に思い悩んでいる事ってないなぁ」
「そっか。じゃあ、この借りはどうやって返そうかなぁ」
「借りって……んなもん気にすんなよ」
グレンは僕を見て苦笑する。
とは言え、何だか地味に借りを作ってばかりな気がするのだ。
何かないかなぁ。ご飯をご馳走したりとか、定番だけれども。
腕組みをしてそんな事を考えていたら、一つの案が、ふと思い浮かんだ。
「ね、グレン」
「あん?」
「おっぱい触る?」
「ぶッ!?」
「ひぇっ!?」
グレンの口から紅茶が見事な霧状になって吐き出された。
あわー、虹だ。綺麗なー。
「ガッ、グッ!?ケホッ、ゲホッ!ゲホッ!
──おまッ!何言ってんだ!?」
「え、あのほら、何かお礼出来ないかなーって?」
「だからって内容を考えろよ」
むぅ。ちょっと名案だと思ったんだけれども。
とは言え、そう言われる可能性もあるだろうとは考えていた。
「はぁ、まぁそうだよねぇ。やっぱり元が男じゃ興味な」
「いやいやいや!そうじゃねぇ!」
「い?……ん?へぇぇ、興味はあるの?」
ぱこっと口を開けて、しまった、という言葉を顔全体で現していた。
やたら視線をぐるぐると動かした後にパッとそっぽを向いた。
その珍しい反応に少しテンションが上がる。
「ふふ、グレンも男よのう」
「ぐぬぬ。お前も男じゃねーか」
「今は女だし?」
「なまじ胸を見ている分、反論出来ないのが悔しいな」
「……で、触ってみる?」
今の僕はラフな半袖のシャツにハーフパンツといった格好だ。
そのシャツを胸の下辺りまで捲ってお腹を出す。
グレンは視線をちらちらと胸とお腹とを何往復かさせ、ごくりと唾飲み込んだ後にゆっくりと頷いた。
ふっ、落ちたな。
シャツを下着ごと捲って、胸を露出させる。
その脂肪の塊は柔らかさを表すかの様にぷるりと震えた。
グレンはジッと食い入る様に見つめている。
……。
……。
……あ、あれ?なんか凄く恥ずかしくなってきた。
顔が火を吹いているのではないかと思うくらいに熱くなる。
僕は今とんでもない事をしているのではないだろうか……。
「グ、グレ──ぇッ!」
グレンの指が肌に触れるのと、やっぱり止めよう、と提案する為に口を開くのは、ほぼ同時だった。
自分で身体を洗う時は全く気にならないのに、グレンに触れられた瞬間は軽い電流を流された様な甘い刺激だった。
「うわ、すっげ」
グレンは初めて触れる柔らかさに痛く感動している様だ。
指の動きに合わせてふにふにと形を変える脂肪の塊。
夢中にはなっていても此方に気を遣っているからか触り方はとても優しい。
口を開けば変な声が出てしまいそうで、深呼吸をしながら耐える。
「……あ、れ?コレって」
「ひ!?ッあ!」
不意に先端を摘まれて、背に大きな刺激が走った。
手で慌てて口を塞いで目線を上げるとグレンと視線が交錯した。
お互いに顔は真っ赤だ。
そのまま沈黙の時間が、一秒、二秒、三秒。
「あ、ああの、僕もう寝るね!」
「そそそそうするか!」
僕はそそくさと布団を被りグレンも弾かれる様にして自分のベッドへと戻る。
グレンの淹れた紅茶は忘れ去られて、翌日冷え切った状態で見つかる事になった。
だが後悔はしていない。
題名は後々変えるかもしれません。




