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六十九 初仕事1


僕とグレンはギルドの依頼を熟す為に、街を歩いていた。

青い空には真っ白なふかふかの綿を伸ばした様な雲が浮かんでいる。

天気が良く、週末なだけあって人も沢山出歩いていた。


---


この依頼を受けたのは数日前。

僕等は学校終わりの自由時間を利用して、ギルドに足繁く通っていた。

クエストボードには難度と種類に分かれて色々な依頼が貼ってある。

やっぱり僕もグレンも男の子で、討伐依頼を受けたいところだったが、最初から焦っても仕方がない。

ギルドの仕組みや依頼の流れが知識としては知っていても、実際に受けてみなければ分からない事が多い。

最初のクエストでいきなり討伐依頼は危険だし、何よりもギルド側が了承しないだろう。


そんな訳で、今回は一般の人も使う別口からギルドに入った。

ランク1の専門技能を必要としない本当に簡単な依頼は、此方に貼られる事が多い。

それは例えば、配達や現場仕事、店番などだ。

これらはランク1のギルド員になった一般の人達も受けられる。

逆に魔道具の整備や帳簿を付けたりする仕事は、ランク1でも冒険者専用の窓口に貼られる仕組みだ。


資料の整理なんかはグレンが嫌がるだろうから避けたい。

かと言って、荷物の搬入や現場仕事は僕の見た目と身長でアウト。


「あ、これなんてどうだ?」


そう言ってグレンが手に取ったのはカフェの臨時店員の募集だった。

紙は真新しく、つい最近貼られたもののようだ。


「えと、ふむふむ」


『この度カフェをオープンして一周年を迎える事が出来ました。

細やかながら、常連のお客様をお呼びして一周年パーティーを開きます。

混雑が予想されますので、臨時スタッフの募集をさせて下さい。

実働五時間程度。条件などは面接時に応相談。


──面接有り、制服貸与、報酬 500C


アルトアカフェ店主 ガミエ=アルトア』


なるほど。

これなら退屈はしないだろうし、僕でも問題なく仕事が出来そうだ。

報酬額も業務内容を考えれば妥当だと思える。

……まぁ、妥当でなければ依頼の許可は下りないのだが。


「うん、いいと思う。楽しそうなお仕事だね」

「だろ?」


二人で顔を見合わせて頷くと、依頼書を持ってカウンターへと向かう。

受付をしてくれたのはにこにこと笑顔を絶やさない、明るい茶色が特徴的な犬獣人のお姉さんだ。


「すみません、この依頼を受けたいのですが」

「はい。それでは、ギルドカードの提示をお願いします。

──あら?」


僕とグレンのギルドカードを見たお姉さんが、首を傾げて此方を見詰めた後、納得した様に首肯した。


「なるほど、貴方達が……っと、失礼致しました。

この書類を持って今日か明日の内に面接を受け、アルトアさんから合否の結果を貰ってきて下さい」

「分かりました。面接は今日にも受けられるんですか?」

「ええ」


女性は壁掛けの黒いアナログ時計へと目を移した。


「午後六時までなら面接を受け付けると伺っています」


ふむ、時間的に余裕はあまりないかな。

でもこう言うものは早く済ませておいた方がいい。

ちょっと急げば全然問題もないだろう。

グレンとアイコンタクトを取ると、頷き返してきた。


「では今から面接に行ってきます」

「そうですか。行ってらっしゃいませ」


お姉さんは深々とお辞儀をした後、ひらひらと手を振り笑顔で送り出してくれた。

人当たりの良い優しそうな人である。


アルトアカフェは平民街の飲食店が立ち並ぶ一角にある路面店だ。

建物自体は石造りだが、扉は木目調で静かな佇まい。

落ち着いた時間を過ごせそうな喫茶店だった。


扉を押して開くと、ドアベルがカラカラと音を立てた。

店内にはお客さんは何人かと、カウンターの奥には白髪が少し混ざった初老の男性が立っていた。

身長はグレンより少し大きいくらいで、背筋はピシリと伸びている。

この人が店主であり、オーナーのガミエさんだろう。


「いらっしゃい。可愛らしいお客様だね、二人かな?」

「いえ、僕達はギルドで依頼を見てきた見習いです」


ガミエさんは、おや、と細い目を少し大きくした。


「そうかい、じゃあ面接を受けに来てくれたのかな?」

「はい」


臨時スタッフの募集とは言え、面接なんて久し振りだ。

ちょっと気合を入れて頑張ろ──


「うん、じゃあ当日はよろしくお願いするよ」

「う?」


ん?あれ?面接は……?

呆気に取られてグレンの方を見ると、グレンの方もぽかんとしていた。

目が合うと、彼は驚きの表情のまま、肩を竦めて首を傾げた。


「あ、えと。合……格で、す?」

「あぁ、合格だよ」

「何も聞かれていないのですが、良いんですか?」

「あぁ、構わないとも」


理由を尋ねたところ、ガミエさんの息子さんも冒険者なのだという。

息子さんも見習い期間では方々で色々な人の世話になったそうだ。

その恩返し、と言っては可笑しいが、自分も新人冒険者と会った時は出来る限りの応援をすると決めているのだとか。


「俺たちが言うのも変な話ですが……人となりを見なくても良いのですか?」


グレンの言う通り。

大切な一周年記念に、揉め事があったら困るはずだ。


「──ふ、問題のある子ならうちの店の心配なんてしないさ。

それに、私も長く商会に勤めていたからね、ちょっとは人を見る目があるつもりだよ」

「そう、ですか。では当日はよろしくお願いします」


ギルドで預かった書類に合格の印とサインを貰うと、アルトアカフェを後にした。

書き溜めていないので、文章の見直しが出来ていません。

たまに後で修正したくなるんですよね……笑

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