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三十八 学生寮


父様の公務の最終日に初めてちゃんとした社交界に出たり、そこで久し振りにファラと再会して、スーツ姿を大笑いされたり。

家族三人で王都を見て回って、父様の行きつけだという鍛冶屋で父様が親馬鹿振りを発揮して白い目で見られたりと、充実した日々はあっという間に過ぎていった。


卒業式と寮の引き払いが問題なく終わったようで、入る部屋が決まった。

身体が小さく、思春期を迎える高等部に入るまでは、二人部屋になるようだ。

相部屋の相手はグレンだった。

んー……入学試験の結果か、誰かが作為的に組み合わせたか、その両方か迷うところだ。

新入生は三百人程。

その約半数が男子生徒だと考えると、偶然という線は薄いかな。


寮の生活では時間割がしっかりしている。


朝の七時までに食堂へ行き、朝食を取る。

洗濯物などは八時までに出し、支度をしたら八時四十分までに登校だ。

一日の授業が終わるのは午後の三時。

午後七時までに夕飯を済ませ、夜の八時に点呼をして、その後は自由時間だ。

まぁ大体十時までには寝ていなければ見回りに来た寮母さんに怒られるようだが。

初等部の間は部活動もなく、授業の単元数も少ないので、自由時間が多いのではないだろうか。

土曜日も午前中しか授業がない。

子供のうちは自由時間で友人とコミニュケーションを取れという事かもしれない。

遊ぶのも立派な学習だ。


「きっちりと行動する時間が決まってるのな。

村じゃ明るくなったら起きて、暗くなる前に帰る、くらいしか意識した事ないぞ」

「時間を管理できるようになるのも、一つの教育なのかもしれないね」


時間を守らない人間が必ずしも悪い人間とは言わないのだけれども。

少なくとも、時間を守る人間にいい加減な奴はいない。

ただまぁ、あまりガチガチに時間が決められていると肩が凝るんだよね。

何事も状況に合わせて柔軟性を持たせたいところだ。


しかし、これから頑張らねばなるまい。

僕は自ら──両親に頼み込み、お金を出して貰ってまで──学びに来ている立場だ。

強制されたわけではないし、学校に行かなければ生きられないわけでもない。

責任と義務を背負って金銭を頂く立場しごとに比べれば、遥かに気安い。

結局のところ、真面目に学ばなかったツケは自分一人が負うだけで済むのだ。

だが、それだけに怠惰で自堕──


「ひん!?」

「ミアン、まーたなんか、耳がぴくぴくしてたぞ。

あんま変な事を考えるなよ」


むぅ……確かにちょっと気負い過ぎていたかな。

努力を重ねて、色んな人といっぱいお話をして、楽しい学生生活を送れば良いだけなのだ。

なんか、グレンがいると変な思考の渦から引っ張りあげてくれていいなぁ。

でも。


「耳を触るのは、なんか、くすぐったいから止めて」

「いやぁ……反応が面白くて、つい」


あまり止める気はなさそうである。くそう。


「ところでグレンは、荷物ってあんまりないんだね」

「おう、ミアンは逆に多いな」

「母様が部屋着をたくさん買ってくれて……グレンも着る?」

「いや、そら色んな意味で無理だろ」


うん、まず第一にサイズ的に無理だね。そして色んなに含まれる他の意味は、デザインだろうなぁ。

白くてふわふわしたのや、ひらひらしたのが付いていたりと、六歳なら……まぁ、男の子でもありかなと思うのだが。きっと。


「おい、こっちを見てにやにやするな。何を想像しているか丸分かりだぞ」

「くすくす。ちょっと、無理だねぇ」

「いや、それを着て違和感がないお前がおかしいんだからな!?」


グレンが珍しく慌てていた。

うん、学校生活が楽しみだな。

少し分かり辛い話になってしまっているので補足です。

主人公の前世は男で、現時点では女の子に見える男の子、です。

TSをするのは約二十話後になります。

もう暫くお待ち下さいませ……!


どうにも話が拙い様なので、折を見て全て書き直したいな、とは思っております。

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