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二十二 最終試験は?


三種の試験を終えて、全員が一箇所に集まっていた。

改めて見ると凄い人数だけど……何人居るんだろうか。

一際高い場所に作られた台へ、一人の老人が上がった。

台の上では、拡声器のような魔法が働いているのだろう。風に乗って声が聞こえてきた。


「うむ、皆の者、聞こえておるかな?

私はこの学園の長で、ハーベストという。

此度は当学園の門戸を叩いて貰った事に感謝をしよう」


そう言うとハーベストは周りを見渡し、うむ、と一つ頷くと、好々爺のような表情を浮かべた。


「聡明そうな顔が並んでおるな。

これまでの試験の結果に点数を付けておるところだ。近日中に結果が出せる事と思う。

それで、最終試験なのだが──一部の者だけで行う事にした」


おや……じゃあ受けなくても良い可能性があるのか。


「点数に優劣をつけ難い者達がおる。

その順位をはっきりとさせる為に、最終日を使う事にしたのだ。

よって、係りの者から名前を呼ばれた受験生は残って説明を受けて欲しい。

今日までご苦労であった」


そう言って学園長は壇上から降りて行った。

受けなくて良いのかとも思ったけれど……うーん、呼ばれる気しかしないぞ。


「どう思う?」


問い掛ける相手は隣で腕組みをしているグレンだ。


「呼ばれそうだな」


と苦笑を一つ返された。


---


最終試験の内容を聞く為に連れてこられた場所は、大きな宴会場だった。

呼ばれた人数は百人くらいだろうか。意外に多い。


「さて、揃ったみたいだね。明後日の試験について説明をさせて貰うよ」


一段高い所で説明を始めたのは、あの試験官だ。


「ここに集められた諸君は、何らかの理由で追加の審査をしたい者なんだ。

さて、それで最終試験は……社交界を開こうと思う」


社交界の試験、ねぇ。隣にいるグレンは天を仰いだ。

想像通りの展開につい苦笑が漏れる。


僕も社交界の経験はないから不安だけれど、これも人生経験になると思えば良いかな。

あまり気負っても仕方がない。


「受験生諸君の立場は様々だが、試験の日は学内と同様に平等とさせて貰う。

社交界を楽しむ事が一番の点数を上げるコツだと思って欲しい」


その他、詳しいルールは当日に説明されるようだ。

必要ならば衣装は貸し出すので、衣装を借りる者はこの後か、明日の午前までに申請をする事などが話された。

臨時収入はあったし、自分で用意ができないわけではないけれど……衣装は借りた方が良いかな。

今作っても着る機会は殆ど無くて無駄になりそうだし。

グレンも同じように衣装は借りるらしい。


「見事に剣で解決できない問題になったねぇ」

「口は災いの元、か。でも、いつ社交界に出る事になるか分からないし、良い機会かもな」

「うん、実際に見るのと伝聞じゃ全然違うもんね。

僕も社交界は初めてだよ」

「へぇ、意外だな」

「幼い貴族の四男なんてそんなもんだよ」

「自分で幼いって言うのもなんか可笑しいけどな」


……そう言えば、社交界と言えばコミニュケーションの一環としてダンスが付き物だ。

僕も母様に練習をさせられたけれど、グレンは踊れるのだろうか。


「ところでグレンはダンスって踊れるの?」

「えっ」

「えっ」

「踊りなんて、村の祭りでしか踊ったことないぞ」

「それは、多分、違うやつ」

「だよな……」

「あー、付け焼き刃にしかならないだろうけれど、少し教えようか?」

「おおぉぉ、マジか!?それは凄く助かる」


人に教えるのは、自分が習熟していなければ出来ないので、復習が出来て丁度良い筈だ。

明日の休みはグレンの踊りの猛特訓をする事になった。

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