十七 王都グローミュート
一つ目のミノタウロスを打ち倒してから六日。
僕達の乗った馬車は、王都グローミュートに辿り着いた。
あの後、僕とグレンが手分けをしてミノタウロスを解体している間、クラフトさんには先に進んだ馬車を追い掛けて貰った。
戦闘時間はそれほど長い時間が掛からなかった事もあってすぐに追い付けたようだ。
そうして解体を終えたら今度はミノタウロスが一体とは限らないので、最寄りの街のギルドに報告をした。
斥候に長けた熟練冒険者の調査によれば、やはり番いだったようで、別途緊急クエストが発布されたようだ。
そんな諸々の事情で到着が少し遅れたものの、十分な猶予を持っていたので問題はなかった。
今日は時間的な余裕もあまりないし、宿の確保だけをして、受験申請は翌日かな。
「それじゃ、また試験の日に会おう」
「道中は楽しかったよ。また会えるのを楽しみにしているね」
約十日の間、一緒に旅をしてきたグレンとはここでお別れだ。
まぁ試験の時にまた会えるだろうけれども。同年代と比較しても身長が高くて目立つしね。
そう言えば不幸中の幸いと言うべきか。
ミノタウロスを倒して解体をした結果、思わぬ収入になった。
魔物には魔石が存在していて、強い者ほど純度の高さが増す。
それに加えてミノタウロスは皮、骨に肉と内臓……捨てる部分はほとんどないらしい。
あんなに硬い肉が食べられるのか、とグレンが首を傾げていたのだけれども、魔力の巡りがなくなると柔らかくなるらしいのだ。
ともあれ、そんなわけで売却益は手数料を引いて一人20万c──約200万円──くらいになった。
グレンは当面の学費に困る事はなさそうだ。
僕は……大半を家に入れることになるだろうけれど、父様と母様に何かお土産でも買って帰ろうかな?
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王都グローミュートは、中央に大きな交差点があって、初代の国王像と噴水が存在感を示している。
その交差点から十字に伸びる道が主要道になっていて──大まかにだけれど──北は貴族街と王城、南は平民街、西に職人が集まり、東は学生街になっていた。
大通りは人通りがとても多く、流石は王都というだけある。
ロイグだって大都市だと言っても良いが、王都はちょっと規模が違う。
高層建築と言える建物もあり、教会や塔、城がそれに当たる。
普通の建物もちょっとしたマンションくらいの大きさを持つものがザラにある。
行き交う人種も様々で、驚いたのは手の平サイズの妖精とも言うべき存在だ。ロイグでは見た事がなかった。
試験の間に僕が滞在をするのは貴族街にある、身元のはっきりとしない者は泊まれないようなお高い宿である。
貴族街には父様が王都へ滞在する時に使う邸宅があるのだが、家長がいないのに僕が一人で使うわけにもいかない。
貴族街に入ると雰囲気が変わって通行人は減り、巡回をする警備員が増える。
どこかの家に仕えている使用人と思わしき人も澄ました顔でしゃきしゃきと歩いていた。
まぁ、だらだら歩いていたら雇っている貴族の家の品格が疑われるからだろう。
多少は慣れてきたものの、お堅い空気はあまり得意ではないなぁ。なんだかんだで根は小市民なのである。
そんな事を考えていたら、一際大きく、造りの豪華な馬車とすれ違った。
金、銀、赤を基調に作られた馬車は、煌びやかなのに品を失う事がなく、職人の腕の良さとセンスの良さを感じさせた。
付けられたエムブレム……あれは確か、三大公爵家の一つ。ブリオングロード公爵家だったっけ……?
そういえば、学校に入ればそういった貴族の付き合いもあるのだろうか。
建前上は生徒は全員平等であり、序列が着くとすれば成績の順位である、なんて言うのだけれども、どこまで徹底されているのだろうか。
人と接するのは好きだが、常に距離と立場を考えなければならない貴族社会は胃が痛くなりそうだなぁ……。




