一 終わりと始まり
主人公がTSする所まで書けたのでボチボチ開始!TSは六十話前後です……気長にお待ち下さいませ。
仕事からの帰り道を歩いていると、視界が突然、真っ白な光に包まれた。
すぐに上下も、左右も分からなくなり、全ての感覚が消え失せる。
何が起こったのか、皆目見当が付かない。
それは、一瞬の間のようにも思えるし、とても、とても長い時間だったようにも思える。
そうして、徐々に暗く沈んで行く意識の中で、自分の死を悟り──今までの事を後悔していた。
僕が物事に全力で取り組めるようになったのは、二十代も終わりに差し掛かった頃。
それまでは、世の中に対し常に斜に構えていた。
無意識のうちに恐れていたんだろう。
真剣に取り組んで出来なかった時に、自分のプライドが傷付く事を。
そんな根拠のないプライドなんて何の役にも立たないのに。
両親には大学まで通わせて貰ったけれど、理由は遊ぶ時間が増えるから、なんて下らないものだった。
卒業後は幸いにして定職に着けたものの、その後は無気力に同じ仕事をなんとなく繰り返して、惰性で生きていた。
自分を変える切っ掛けをくれたのは、転職先で出会った恩師。
最初はただただ鬱陶しかった。
なんだこのおっさんは、と。
今時そんな古臭い仕事の仕方はないだろ──そう思っていた。
仕事なんて自分一人が食うに困らず、金のかからない趣味をほどほどに出来ればそれで良かったのだ。
自分の時間を潰して仕事をするなんて馬鹿のする事だ。
なんて、言い訳をしてやる気を出さない僕を、その人は叱り飛ばし、しかし決して見捨てずに指導をしてくれた。
頑なになった心が素直になるまでには、少し時間は掛かったけれど、公私共に前向きに楽しく生きられる様になった。
──だが。
こんなにも突然、訳も分からずに終わるのか。
死を前にして今更ながらに思う。
もっと早くその事に気付いていれば、と。
更に、もっと楽しく毎日を歩む事が出来たのではないだろうか?
……そんな事を言っても、時が戻ったりはしない。
詮ないことだとは分かっているのだけれども。
もし、もしも、もう一度。
機会が与えられるのならば、次は、次こそは──!
……。
……。
……。
そうして、意識は完全に途絶えて、黒く染まった。
ちなみにこの話、書き始めて約一年くらいになります。
一年で六十話って無事完結出来るのでしょうか。
暫くは毎日更新していきたいと思います!




