全ての始まり
これで二作目となりますが、構想を練った時間が一作目よりも短いため、一作目よりも内容が浅い、もしくは文章が拙い恐れがあります。
また、前作とは違い、投稿が不定期となる恐れがあります。
あらかじめご了承ください。
産まれてきたばかりの赤ん坊が運ばれてきた時、彼女は驚いて尻餅をつきそうになった。
「この子、本当に……? 」
赤ん坊を運んできた助産婦も、今の状況を受け入れられない様子である。
彼女は首を振り、ため息をつく。
「…後は私が。あなたはもう下がってちょうだい。」
助産婦が部屋から退出するのを見届けると、彼女は再度ため息をつき、受け取った赤ん坊をベッドに寝かせる。
「少し、待っててちょうだいね。」
そう言い聞かせ、彼女はすぐ横のベッドで眠っている赤ん坊を抱きかかえた。そのまま部屋を出て、病室に向かう。
「もう、お済みになったんですか? 」
途中、助産婦に声をかけられた。
「いいえ、まだ。この子はあの子が来る前に検査が終わった子よ。」
「そうですか。…ところで、その子の検査の結果は…? 」
「異常なし。元気な男の子よ。」
助産婦は男の子の顔を覗き込んだ。
「かわいいですね。…あの子も、そうであれば…。」
「止めなさい!そんなことを言うのは。」
「…すみません。」
助産婦は頭を下げ、その場から離れた。
彼女は部屋についてからも、検査結果を夫婦に伝えてからも、まだ検査していない赤ん坊のことを気にかけていた。
その赤ん坊は、この国で産まれたとは思えないほど肌が黒く、痩せていて老人のようにしわだらけだった。かわいさのかけらもないその醜い赤ん坊に彼女は心から同情していた。