反抗期?
主人公は根暗では無いのですがね…… いや、ある意味根暗か?
ダメな面が出ている回ですが。出てるかなぁ。伝わっているかしら?
だが、私の平穏は、雪が止むのと一緒に崩れ去った。
まず、バル様とカリーネさん、その他一名が朝っぱらからやって来た。用件は【伝書鳩ならぬ伝書フクロウ】を連れて来た。それは理解する。この世界には電話が無いのだから、むしろ嬉しい。だが、その日の午後から、絶えず返事を書き続けるなんて地獄だ。7日間、チョコチョコと文字を練習していたのはこの為じゃ無い!
途中から、気付かない振りで、返事を出さないでいたら、バル様が鬼の形相で駆けてきた。馬が可哀想だ。
ここで否定しておかなければ、今後も続くと思い、
「バルデュール様、私の為に親身になって下さるのは大変有り難いのですが、生活を整えている最中の為、返事にばかり時間は取れません。よって、緊急時と、朝・晩のお手紙だけにしたいと思います」
おかげで予定より早く覚えたが、常に監視されている様で気が滅入ってしまうからやめて貰った。なのに、雪が溶け始めると、今度はカリーネさんが襲来する様になり鬱陶し。
一度町から戻ってみると、門の前で中に向かって、呼び掛けているカリーネさんを見た。
「訪問以前に連絡を下さい。もし私が夕方まで帰って来なかったら如何するのですか?」
「申し訳ございません。ご連絡が無いので神域にお出でに為るものとばかり。お出かけに為るのでしたらご一緒いたします」
「一人でも事足りる事です。まして何故、連絡しなければ為らないのですか。私、監視されてます? 変な事はしませんよ?」
彼らにそんな積もりが無い事は、分かっているけど、敢えて嫌味たらしく言ってみた。カリーネさんが、今にも泣き出しそうにオロオロと取り乱すのを見ながら、【困ったわ】ポーズ。
「向こうでは【個人】を尊重し、干渉は控える傾向なんですが、こちらは干渉どころか、過干渉ですね。見張られて居る様で、息苦しく感じます。私、一人の時間を大事にしたいのですが… 穏やかに生活するのは無理かしら? ハァー」
ワザと溜息を着いたりした。
御免なさい、でも本当に苦しいの…
バル様からお手紙が飛んできた。カリーネさんの報告を聞いたのだろう、謝罪したいと。良い機会だから意識のすり合せをいたしましょう。
「私は、政治的な駆け引きは出来ません。異世界の知識が必要なら、出来る限りお手伝いします。もっと自由にしたいのですがダメですか?」
「勿論構いません。何が不自由だと感じたのですか?」
そこからかい…
「私は、料理・洗濯・掃除、全て一人で出来ます。ですから、人を派遣したりし無いで頂きたいのです。出掛ける時も一人で行くと、付いて行くから呼ぶように言われますが、私は子供ではありません。ここでは、女一人で出歩いてはいけ無いのですか」
「違います!ただ麻奈様がお困りになった際に、すぐお助け出来る様にと思っていただけです」
「困る事って何でしょう」
「いろいろです。道に迷ったり。強引に物を売りつけられたり。如何わしい所に連れ込まれたり」
ハァー、何じゃそりゃ。まるっきり子供扱いじゃ無い。これは大げさに嘆いた方が良いね。
「…ここでの異世界人は、3歳児の扱いなんですね。向こうでは『知らない人に付いて行ってはいけません』って歩き出したら教えられる事ですよ。道に迷ったら人に聞くし。強引な者には大声を出せば良い、最終的に金◯に蹴り入れれば良いでしょう」
「なっ! 女の子が、何を仰って居るんですか!」
「カリーネさんこそ何を言っているんです? 無抵抗に、メソメソ泣いていろとでも? あり得ませんよ。此処ではそうなんですか? 常に集団行動? バカバカしい」
頭を振りながら、大きな溜息をつく。ワザとじゃなくマジだ。やってられん。
「買い物ぐらい、一人で行けます。家の中の過ごし方も人それぞれなので、毎回手を出そうとしないで下さい。私、自分の【テリトリー】に他人が入ってくるのが嫌いなんです。落ち着かないんです。御免なさい」
無言で私とカリーネさんの話を聞いていたバル様は
「… 分かりました、今後は気を付けよう。が、私からの頼みを聞いて欲しい」
「何でしょう、初めに言ったとおり、私に出来る事は致します」
「難し事ではありません。朝・晩の手紙。それ以外の気付いた事なども知らせて欲しい。あと、【ダイナマイト】だったか? その話も聞きたいのだが」
何でも、トンネル作業は難航しているとか。火薬が有るのに使い道が少ないって、この世界の人たちって損をしているよね。何で応用しないのか分からないよ。
「私程度の知識で良ければ」
「ありがとう! 済まないが、料理も頼む」
「……はい… 」
女性の家に男が頻繁に訪ねるのは外見が悪いので、春の作業が落ち着いたら、私が領主館のバル様の執務室を訪ねる事になった。
結局、他人と付き合うのか。上手く誘導されたか?
バル様、恐るべし。油断の為らない男。




