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武具乙女  作者: ふきの精
第二章
12/41

11


 うぅーーーん! 精一杯の背伸びをして目覚める。


 慣れない野宿で思った以上につかれてたのかな。

その上歩き通しだったもんね。

日本じゃこんなに歩くことなんてなかったし。

とにかく気持ちのいい目覚めでした。








 「それではお世話になりました」


 私達は見送りに来ているガムンさんと騎士さん達数十人に見送られています。

ほんとはもっと見送りに来たかったみたいなんだけど、

職務があるから駄目だったとか。


 「何か困ったことがあれば騎士団を頼ってくると良い。

 前にもいったが国が違えば勝手も違ってくるだろう。

 なに、俺を含めてお嬢ちゃんの力になりたい奴はわんさかいるからな」


 「はい、ありがとうございます。もしもの時は頼らせていただきますね」



 なんだかいきなり強力な伝手が出来た気がするけど、

まずは自分たちの力でがんばっていかないとね!





 私達は騎士団本部をあとにして、町の散策を開始した。

目指すはハンターギルド。

やっぱり身分証明書は欲しいもん。

ただ、懸念がないわけでもないんだよね。異世界物の定番的に。


 私達は町中をキョロキョロしながらハンターギルドを目指す。

時刻はだいたい朝遅く、昼には少し早いくらいだろうか。

結構な数の人が歩いている。

ふむふむ…異世界だけあっていろんな種族の人が見えるね。

エルフ、ドワーフ、猫耳は獣人の人かな?

あれは……リザードマン?  

羽根が生えてる人は天使じゃなくてバードマンだったかな。

「武具乙女」でもNPCとして出ていた種族や、敵としてしか見たことなかった種族。

「武具乙女」では見たことないような種族の人もいて、なかなかに新鮮だね。


 格好も千差万別だ。

鎧などを着た戦士風な人もいればローブを着た魔術師っぽい人。

おお! ジュネより凄い格好の人がいるなぁ。

ナイフっぽいの持ってるけど、なんの職なのやら。

もちろん普通の町人の格好をした人も多い。

行商の人のテントで売ってた服はこんなかんじの服だったよねぇ。


 行商といえば、道のわきには結構な数の露店も並んでる。

流石は交易の町ってかんじだね。

多いのは果物や野菜類。見たことあるような物から、

珍しいものまでこれまた色々。


 なんだろうと思ったのは小石のような物が山積みになって売っている露店。

ホームセンターなんかで砂利や土が売られているのに近い感じ。

小石は薄い青みがかかっていて綺麗といえば綺麗なんだけど。


 「ん? これかい? これは魔法道具へ魔力を供給する魔石屑だよ。

 ひょっとして初めてみるのかい?」


 露店のおじさんが何やら親切に教えてくれた。

どうも魔法道具は私が行商の人のテントで見たような物とは別に、

魔法技師と呼ばれる職の人が作る物があるみたい。

それらは道具内に魔力媒体を備えるのではなく、

外から魔力を取り入れる形にしているとのこと。

それのエネルギーとして使われるのが、

純度の低い魔石屑とよばれるこれらなんだって。

もし魔力が電気やガスに変わったら、

現代の家電製品に近いのかもしれないね。

「武具乙女」の世界ではそんな話聞いたこともなかったし、

私は露店のおじさんの話に聞き入っていた。


 なんだか気を良くしたのか、おじさんから魔石のペンダントを貰う。

これは魔石屑よりも純度が高めの石を使ったアクセサリー品で、

魔力を少し増幅させる効果があるとか。

ちなみにペンダントはこの魔石屑の横で売られているもの。

結構高いんだけどもらっちゃっていいの?


 私は魔法が使えないけど、

綺麗だしせっかくの好意なので有難く受け取っておきました。


 そんなこんなで露店を見ながら歩いていると、

ハンターギルドに到着するころには結構時間がたっていたよ。

いやぁなんだか若返った気分がするね。

いや外見は若返ってるけど、精神的な意味で。

ほら、童心にかえるっていうじゃない。

ただ私は異世界の街並みを見ながら歩いてたので楽しかったんだけど、

みんなは退屈だったのかも。


 「そのようなことはありません。

 マスターが楽しそうでしたら私も楽しいですから」


 エンテ、あんたほんとにいい娘やでぇ。


 「お嬢様と共にいる時間が私の幸せですので」


 ウイナ、なんて健気な娘よ。


 「退屈ではないけど不満はありますわ。

 どうして主様は腕を組んでくださらないんです?」


 ジュネ、あんたぶれないな。




 さて無事にハンターギルドに到着ですけど、なかなか立派な石造りの建物です。

バルーザの町は結構大きな町なのでギルドも大きいとのこと。

カンテ村にはなかったけど、小さな町や村にもギルドがある場所もあるとか。

ただこんなに大きな建物ではないって聞いたけど。あれかな。

警察署と派出所の違いみたいな。

このあたりの知識は昨日騎士団の人から教えてもらった。

騎士団からハンターギルドに依頼をすることも多くて、結構親しい関係なんだって。




 ギギィと音を立ててドアを開く。

中は酒場と兼用みたいな酒場風ギルドではなくて、

さっぱりとした事務手続きを行っているような風景。

市役所とか銀行とかこんなかんじだよね。

よく異世界もので初心者が絡まれたりする場面があるけど、そんな心配はなさそうだ。

けど好奇心を含んだ視線はいくつか感じる。

まぁ乙女4人組のパーティってそんなにいないんだろうね。


 とりあえず上に案内板がでているので、

[新規手続き]って書いてる場所へと向かう。



 受付の女性はシンプルな事務服に身を包んだ、なかなかの美人さん。


 「いらっしゃいませ。

 こちらは新規の受付となっておりますが、お間違いないでしょうか?」


 受付の女性が笑顔で対応してくれる。うむ、やっぱり女性の笑顔はいいものだね!


 「はい。私と……こちらの三人をお願いしたいんですけど」


 やっぱりみんなの作っておきたいよね。武具乙女達が作れるかどうかわからないけど。


 「四名様のギルド証ですね。では説明させていただきます」





 結論から言うと、あっけなく発行された。

どうにも現代の考えから厳しい審査とかあるんじゃないかと思ったけど、

そうでもなかった。

ギルドカードに本人の生命の波長を同調させることで、

本人であると証明できるとのこと。

指紋みたいなものなのかな? 


 ただ手っ取り早く作れるのは良いんだけど、

ギルドランクをあげないと最低限の効力しかないらしい。

本人であるとの証明にはなるけど、それが悪人じゃない可能性はないからね。

だからこの身分証明書はあくまでスタートラインで、

ここからギルドランクを上げることで

「この人は危ない人じゃありませんよ、大丈夫な人ですよ」

ということが周知されていくかんじ。

ギルドランクの高い人なんかはいわゆる名士のような扱いを受けるんだとか。


 この形式は他のギルドには無く、

ハンターギルド独自のものだそう。

魔物との戦いで命を落とす人が多いので発行を簡易的にしてるというのと、

ギルドに貢献することで、

その人の身分にギルドが責任を持ちますよという意味もあるみたい。


 だからただ強いだけではギルドランクは上げられない。

作るのは簡単だけど昇格にはなかなか厳しい審査があるという説明もうけた。


 ちなみに図書館などを使用できるようになるには、ギルドランクでダブルから。

ギルドランクはルーキーから始まって

★シングル、★★ダブル、★★★トリプル、★★★★クアドラプルと続く。

なんだか「武具乙女」のレアリティみたいだね。

ちなみに★★★★★でクインティプルってないんですかと聞いてみたところ、

怪訝な顔をされた。

クアドラプルの時点で世界に数人なんだそうな。

その上はそれこそ伝説上の人物じゃないとあてはまらないのかもね。


 ガチャ率2%はどんだけすごいんだろう。

いや、単純に「武具乙女」のレアリティと

この世界のギルドランクが同程度じゃないかもしれないけど。


 けど思わぬ収穫もあった。

それはこのギルドにも簡易的ではあるけど、図書館のようなものがあるとのこと。

図書館っていうのは大袈裟だけど、資料室っていうのかな?


 移動の多いハンターにとって重要な国や町や地形などの情報。

魔物と戦う事が多いハンターにとって重要な魔物の生態や発生地域。


 そういった情報はこの資料室で得られるみたい。

もちろん図書館はもっと膨大な情報があるみたいだけど、

私としてはこの資料室だけでもありがたい。

時間がある時は出来るだけここに入り浸ることにしよう。

ちなみにこういった資料室があるのも、大きな町にあるギルドくらいなんだって。

ここベルト国だとこのバルーザの町とあとは王都だけなんだとか。

あってよかった資料室!




 ただここで問題が一つ発生した。

ギルドに来る前に異世界物の定番として懸念してたことだけど―――


 魔物討伐の依頼は達成証明として魔物の部位が必要になる。

これでもうわかるよね? 

そう、私達は魔物討伐でギルドランクをあげられない!

なんせすべて光の粒子にかわるからね。

今までは楽チンだなぁと思ってたけど、まさかここでこんな事態になるとは。


 いや、魔物の部位を大量に持ってきてギルドの人を驚かせるとか

異世界物じゃあよく見かける光景だから、

やっぱりなぁというところでもあるんだけどね。


 ちなみに「武具乙女」では依頼という形でクエストが発生して

それをクリアすることで報酬が得られる。

魔物を何体討伐しようとかのクエストはないんだよね。

そもそも素材というアイテム自体が存在してないし。


 せっかく私達は強いのに(強いのはエンテとウイナとジュネだけど)

それを生かせないのは痛いなぁ。

まぁ魔物討伐以外にも依頼はあるし、そっちのほうでがんばろう。

お金稼ぎは今までどおりに魔物を倒せばいいんだしね。



 気を取り直して依頼の書かれた張り紙を見て回る。


 護衛や輸送の仕事がちらほらとあるけど、

★★からだね。ある程度の信用がないと受けれないんだろう。

私達が受けれそうなのは薬草採取や、

ギルドランクが高い人達のサポート的な仕事が多い。

ただ薬草採取は当然取ってきた人にだけ貢献度がつくし、

サポートの仕事は四人で行くようなものではないらしい。


うーん……と悩んでいると一つ出来そうなのが見つかった。


[町周辺の巡回]


 バルーザの町周辺の指定のポイントを巡回し、もし魔物が現れたらそれの撃破。

魔物の撃破の有無は報酬には関係ないものとする。

ただし一部危険指定されている魔物に関しては別途報酬を増額する。



 これって「武具乙女」の警備クエストじゃないかな?

警備クエストというのは第一部隊ではなく、

第二部隊や第三部隊などで受けるもの。

このクエストは完全に自動で行われるもので、

数時間の間はその部隊が警備中となり入れ替えできなくなる。

時間が経過するとクエスト完了となり、報酬が色々と入ってくるというもの。

達成率によってレアなアイテムを入手できる確率が上がるから、

育てたキャラで第一部隊から離れたキャラに頑張ってもらってたんだよね。



 これなら私達全員で受けても問題なさそうかな。

むしろ個人よりはパーティ推奨っぽいからね。



 さっそく受付の女性に説明を聞きに行く。

指定のポイントを巡回というのは、

ギルドが設置している魔力を発する魔道具を置いてあるポイントを周って、

確認板にそのポイントの魔力跡を残してくるというもの。

スタンプラリーかな? 

まぁ不正を防止するためにちゃんと巡回したことの証明としてなんだろうけど。


 このポイントを定期的に変更することで、

町周辺の魔物が増えすぎないように注意しているんだって。


 私はこれを受けることにした。



 時間にして三時間くらいのコースと八時間くらいのコースがある。

もちろん八時間コースのほうが報酬は高いけど、

今日は三時間コースにしておこう。とりあえず様子見ね。




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