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武具乙女  作者: ふきの精
第二章
11/41

10

 

 「ほぉぉ、近くで見ると威圧感があるねぇ」


 私は外壁を見上げながら思わず声をあげる。

日本の高層ビルなんかにくらべたらもちろん低いけど、

なんというか石を積み上げて作ったという存在感は

なんとも形容しがたい衝撃を感じる。



 ちなみに今は町に入る為に並んでいるところだったりする。

町に入るのにお金が必要なんてこともなく、

ただ怪しい人物かそうでないか

衛兵の人達が目を光らせている感じ。


 馬車に乗っている行商に来ている人なんかは、

何かお金を払っているみたいだけど。

税金か何かを支払ってるのかな。

賄賂とかだったらこんなに堂々とは渡してないだろうし。

並んでいるといっても時間はほとんどかからない。

旅人が少ないものね! 

流石にバルーザの町付近にくると何人かの人たちとすれ違ったけど、

それまでは旅人をみかけることもなかったし。



 それにしても……もうすぐ私達の番なんだけど、

なんだかたくさんの視線を感じるなぁ。

いや、そりゃまぁ当然といえば当然なんだけど落ち着かないんだよね。


 若い乙女が四人で旅をしているっていうのも普通じゃないし、

私達の格好もこれまた普通じゃない。

露出が高いとかはそれほど異常ってこともないんだけど

(ジュネに近い格好の人もみかけたもんね)

私は品の良い軽鎧を身にまとった貴族のお嬢様っぽい。

いや自意識過剰ではないと思うよ!?

エンテはまるで騎士のような出で立ち。

騎士というよりはお嬢様が騎士の真似ごとをしているかんじかも。

メイドさんが付き従ってるし、槍を持った護衛の戦士風の人もいるし。

ついでに私を守るかのようにみんなして私を囲んでいる。


 どう考えてもワケありな御一行様やん。


 並んでいる旅人達の視線はもちろん、衛兵さん達の視線も集中してますよ。

衛兵さん、今通っている人達のチェックはいいのかな?



 さて、私達の番となりましたが予想通り


 「君たち、すまないが少し時間を取らせてもらってもよろしいかな?」


 職質だぁー!




 「―――はい、私達はイバンからこちらに来ました」


 衛兵さんたちは特に詰問するというかんじではなく、

とりあえず当たり障りのない質問しかしてこない。

業務上のというよりは、

単純に好奇心からっぽいような気がするけど気のせいですよね?

こちらも当たり障りのない回答をしていく。

ちなみにイバンと言ったのは一番遠そうだったから。

衛兵さん達もよくわかってなさそうだし、具体的なことも聞かれないだろう。


 「では、町で滞在中は揉め事などを起こさないようお願いしますね。

 あと治安は我々衛兵が日々良好を保つように巡回しておりますが、

万が一という事もあります。

 お嬢様方はどうぞお気を付けください」


 最終的にはなんだか貴族のお嬢様が

身分を隠して旅をしているというのに落ち着いたのか、

えらく丁寧な口調で話をしていた。

後、ついでに聞きたいことを聞いておこうかな。


 「少しお尋ねしたいのですけどいいでしょうか?」


 「我々にわかることでしたらなんなりと」


 「この町の第二騎士団でガムンという名前の方がおられると思いますけど、

 その方はお戻りですか?」


 死人使いの件がどうなったのか気になるんだよね。

まだ帰ってない可能性もあるけど、

もしかしたら馬に乗ってたしもう帰ってるんじゃないかなと……


 「ガムン副団長ですか? 

 副団長でしたら今日の昼過ぎにもどられましたが―――」


 よかった、どうやら無事に死人使いを倒せたみたいだね。

昼過ぎということはどこか別のルートで帰ってきたのかな。

私達とはすれ違ってないものね。

その時もう一人の衛兵の人が何かを耳打ちする。ん? 

衛兵さん達の顔がみるみる驚愕の顔に……なんだなんだ?



 「あの……失礼ですが、お名前はヤト様でございますか?」


 …………なんで知ってるのかな? 

これはどうすれば…って今まで変な人に名乗った覚えないし、

ガムンさんから伝わったとしかおもえない。

とりあえず問題はないと思うので肯定しておこうか。



 「はい、ヤトと申しますがなぜその名前をしっ――


 「おおっ!!!やはり! あなたが聖女ヤト様でございますね」



 ……………はい?










 私達は衛兵さんに案内されて第二騎士団本部へ来ています。

外はそろそろ夜の帳が下りようとしている頃。

宿を取りたかったんだけどなぁ。


 「すまないな、どうも部下が先走りしすぎたようだ」


 急ぎ現れたのは懐かしいかんじがしないくらいぶりのガムンさん。

開口一番頭を下げて謝罪された。とりあえず何がどうなってるのか説明してほしいな。

本部に入って騎士さん達とすれ違うたびにキラキラとした視線で見られるんだもの。



 「うむ、実はお嬢ちゃんに加護をもらって

 その足でガングァの討伐に向かったんだが――


 ガムンさんの話によると、昼にウロウロしている怪しいアンデッド

(普通は昼にアンデッドはうろつかないらしい)

がいたので、その場所[アネストリア城塞跡]に部隊を率いて向かったそうな。

部隊を展開して中に踏み込んだところ、いるわいるわのアンデッド。

当然ガングァの配下にいるであろうアンデッド達。

しかも城塞跡ってことで豊富な戦力増強ができたらしい。

ひょっとしたらあえて騎士団を踏み込ませたのかもしれない。

それくらい待ち構えてたっぽいんだけど……。


 なにやら私の加護を受けた騎士さん達が凄まじかったらしい。

アンデッドでメジャーなものと言えばゾンビやスケルトンなど。

もちろんそれらのアンデッドも多くいたし、

それらの上位種と呼べるものもいたらしいんだけど、

バッタバッタとそれはもうすごい勢いで薙ぎ払っていったらしい。

アンデッドは普通だとなかなかに手ごわい。

なんといっても術者の魔力が続く限り、復活してくるしなによりタフなんだよ。


 ところがキラキラ騎士さん達の剣を受けるとそのタフさもどこへやら、

あっさりと倒せたみたい。

こうなると圧倒的に優勢なのが騎士団の人達。

アンデッドの怖さである無尽蔵のスタミナと、多少身体が欠けても動けるタフさ。

そういったのが関係ないなら、単体の強さは騎士さんの方が上だからね。

本来はガングァクラスの死人使いを相手にするともっと被害が多く出るとのこと。

時間が経てば経つほど疲労するし、

下手したら倒された仲間がその場で敵に回る可能性もあるんだから厄介だよね。


 なのに今回の討伐では重傷者は数人でたものの死者は0。

軽傷者はそこそこ出たという結果に。

重傷者の人達も今は治癒の魔法を受けて安静にしているみたい。

加護の力が働いてくれてほんとによかったよ。


 問題はここからで、当然ガムンさんや騎士さん達の驚異的な活躍に

何事かと他の騎士さん達が尋ねる。

そこで出てくるのが私の加護の話。

どうもこういった加護は司祭クラスの神職の人達が行うようなんだけど、

たいていは前線に出てこないので、

実際に加護を受けて戦う機会なんてほとんどないみたい。

死人使いが相手なら、

そういった神職系の人達も一緒に戦ってるのかと思ったけどそうでもないのかな?

とにかく加護の絶大な力によるものとわかったら、

今度はその加護を授けてくれたのはどんな人なのかとなってくる。



 たぶんかなり美化していったんじゃないかなぁ…。だって聖女なんて……。


 そこでガムンさんが改めてお礼をしたいと思ったようで、

衛兵の人達にこれこれこういった一行が来たら

名前を聞いてみて、ヤトと名乗ったらガムンさんに知らせる手はずになっていたとか。

私がバルーザの町へ行くっていってたからなのかな?



 ガムンさんは自分からお礼に行こうと思ってたみたいだけど、

なぜか丁重に騎士団本部まで案内されることに。

衛兵さんが先走ったというのはこういう意味なんだね。

まぁ最初に衛兵の人に止められたのは好奇心っぽい理由みたいだったけど、

もう一人の人は気が付いてたみたいだし

遅かれ早かれ騎士団本部に案内されるのは時間の問題だったのかもしれないけど。

それにしても今日の昼に帰ってきて、

すぐさま衛兵達に伝達したんだからどんだけ私達に会いたかったのか…。



 「いや、お嬢ちゃんの力がなかったらこうも上手くは達成できなかっただろう。

 下手したらアンデッドになってたかもしれねぇ」


 うん、それがいやだったから浄化の加護を行使したんだもんね。




 「ガムン君、そのお嬢さんが件の聖女様かな?」


 その時突然別の声がかかる。現れたのは年配の女性騎士。

意志の強さをかんじさせる視線。

なんだか強者のオーラをバリバリに放ってますけど、どなたでしょう?



 「わたしからもお礼を言わせてもらいます。

 我が第二騎士団をご助力いただき感謝いたします。

 わたしの名前はティーレ。第二騎士団の団長を務めております」



 えぇっ!第二騎士団の団長さん!? 年配の女性騎士とは想像してなかったなぁ。


 「ばあ――ティーレ団長、耳に入るのが速すぎますよ」


 いまなんて呼ぼうとしたのかな?

ティーレさんの視線がすごくすごく鋭くなったんだけど。


 「ガムン君、些細な情報もすべて私にいち早く届くようになっているのよ。

 特に聖女様ともなればなおさらね」


 おお、あのガムンさんがなんだかこせがれのような扱いだ。

まぁみるからに女傑ってかんじの人だしなぁ。


 「ティーレ団長様ですね。私はヤトと申します。

 あと……聖女様とよばれるほどでは……」


 横からエンテがそんなことありませんとか小声でいってるけど気にしない。


 「様はいりませんよ。あとヤト様がされたことはそれほどのことなのですよ」


 ティーレさんが言うには加護の力を授けることのできるクラスの人は

この国にも数十人はいるものの、

私が使った程の効果を出せるものは数人くらいだろうとのこと。


 それもほぼ神殿の奥にいるような人たちなので、

実際にそんな加護を受ける機会はないんだとか。

各地にいるハンターの中には、

最高ランクであればこのぐらいの効果を持つ人もいるだろうけど……

って最高ランクなの!? 


 ふむぅ…スペシャルスキル、思った以上にすごかったんだね。

一日一回の制限がなかったら無双状態だったのに。


 「ふふっ、これでヤト様がどのくらいすごいことをされたのか

 お分かりになられたかと思います。

 今夜はどうかこの本部でお泊りください。精一杯の歓迎をさせていただきます」


 これは有難い申し出だった。話してる間にもう外は真っ暗だし、

今から宿を探すのも大変だもんね。

町の散策は明日ゆっくりするとして、今日は旅の疲れをゆっくり癒させてもらおう。


 こうして私達は騎士さん達から凄まじい歓迎を受けることとなった。

元々戦勝と任務達成を兼ねてちょっとした祝勝会を予定していたそうだけど、

私達が来たことで盛大な打ち上げへと予定変更になったんだって。

ティーレさんともお話したけど、

なんとこの女傑さん元は第一騎士団の騎士団長もしていたとか。

どんだけすごかったんだ。


 今は年齢的な意味で第一線を退いたものの、それでも第二騎士団の団長を任されてるとか。


 「ガムン君に団長を継いでもらいたいんだけどね。なかなか戦闘以外が未熟なんだよ」


 ガムンさんがへこんでる。

戦闘能力自体はティーレさんよりもガムンさんの方がなんとか上回ってるそうだけど、

部隊の指揮とか騎士団全体の統括だとか事務処理能力だとかがまだまだらしい。

脳筋ってやつでしょうか?


 「どうにもそういったのは苦手なんだよな。剣を振るってる方がよっぽど気楽だぜ」


 本来は副団長が前線に出るとか有り得ないそうだけど、

ガムンさんは嬉々として先頭に立って進撃するみたい。


 「もちろんそれで部下も奮い立つし、部下からも慕われてるみたいだけどね。

 もうそろそろ自重って言葉も覚えるべきだね。あと全体を見渡す視点もね」


 色々と痛いところをつかれたのか、

今日のガムンさんは飲んでても酔っ払えてないみたいだ。がんばですよ。




 宴もたけなわになった頃、私達は退出することにした。

旅の疲れもあるし、たくさん美味しいもの食べたしで

睡魔が襲ってきたんだよ。

あっ、ベッドは四つありました。ジュネが悔しそうな顔をするのはわかるけど、

なぜエンテとウイナも悔しそうなのかな?





 夜も深まった頃、騎士団のある一室。




 「さてガムン君。彼女達は何者かな?」



 「団長、それはどういう意味です? 

 お嬢ちゃん達はどこか遠い国から来た貴族じゃないんで?」



 「遠い国ではない、イバンだ。衛兵の質問に対してそう答えている」


 「イバン!? それはまた遠いところから……」


 「あと貴族なのかねぇ? たしかにあの所作はただの町民ではないだろうけど、

 貴族特有の飾った振る舞いはしてないね。むしろ自然体だ。

 ある一定以上の教養を受けているのは確かだろうけどね」



 「しかし貴族じゃなければなんだっていうんですかい?」


 「それはこっちが聞きたいね。

 どこかの神殿の聖女っていう可能性もあるだろうが――」


 「しかし団長は何をそんなに気にしてるんで?

 お嬢ちゃんたちが何か悪意ある行動を取ろうとしているとでも?」



 「ガムン君、そんなに怒気を強めるなよ。

 別に彼女達を要注意人物としていってるわけじゃないさ。

 純粋な興味からだよ。ガムン君はカンテ村で彼女達と色々と話をしたのだろう。

 ならば何かしら知っているのではないかと思っただけだよ」



 「それならいいんですがね。お嬢ちゃん達にそういった視線を向けるのは

 団長でも納得できないものがありますんで……」


 「ふむ。ずいぶんと聖女様の肩を持つな。まぁあの器量にあの力だ。

 わからないでもないが……

 ずいぶんと歳の差があるんじゃないかね」


 「ちょっ!? そんなんじゃありませんよ!」


 「くくっ、冗談だよ。それに彼女達のお付きが許さないだろうよ」


 「お付き? 」


 「おや、気が付いてなかったのかい? 私が部屋に入って彼女、

 ヤトさんを観察した時の威圧を」



 「……いや、気が付きませんでした」


 「私にだけ向けたんだろう。

 三人ともが私を逆に観察するように視線を向けてきたよ。

 とびっきりのプレッシャーといっしょにね。 

 数十年ぶりかね。冷や汗がでるほどの威圧をかんじたのは」


 「…………」


 「あと三人とも腕がたつだろうが、特に白銀の鎧の女性。

 彼女はガムン君よりも数段上の実力者だよ」


 「……まじですかい?」


 「これでも多くの人間を見てきた目だ。確信していえるね。

 彼女は第一騎士団長のディオルドに匹敵するだろうと」


 「ディオルドはこの国最強の騎士だった気がしますが」


 「気がするじゃなく、実際騎士たちの中ではあれより腕の立つ者はいないよ。

 我が国にはね。彼女はそれと同等クラスの力を持っている」


 「………」

 

 「それに比肩するお供が二人。守られている彼女は聖女クラス。

 気にならないほうがおかしいとおもうがね」



 「………」


 「別に彼女達を警戒するとかの話じゃないよ。

 逆だ。むしろ友好関係を築くべきだ。

 幸い加護を授けてくれるくらいだ。

 ガムン君とは友好的な意志を持っていると思っていいだろう」


 「俺にどうしろっていうんですかい?」


 「特に何も。ただ困っているならば出来る限りの手助けを。

 ただしこちらからの行動はなしだ。

 彼女はどうにも一線を置きたがっている節がある。

 下手に近寄ろうとすれば逆に遠ざかるだろう。

 あとは―――」


 「あとは?」


 「聖女と呼ぶのはできるだけやめてあげなさい。

 顔を赤くして恥ずかしがるのは見ていて可愛いものがあるが、

 本気で嫌そうだからね」








 「さて、話はそれだけではないんだ。

 ガングァ討伐の報告書を読んだがいくつか質問がある」


 「なんでしょう?」


 「討伐したのはガングァ。これは間違いない。

 王都の魔術院の者に検分を頼んだからね。だがガングァには協力者がいた」


 「!?  初耳ですぜ?」


 「私も魔術院の者を問いただして初めて知ったよ。

 あまりに検分の者の挙動が怪しかったからね。

 まったく、あいつらの隠蔽癖には困ったものだ。

 王都にいた時からちっとも体質が変わっていない」


 「まぁまぁ、抑えてくださいよ。それよりその協力者というのは?」


 「なんでも黒ずくめのかなりの長身の男だったそうだ」



 「………そんな男、城塞跡にはいませんでしたが」


 「ひょっとしたらガングァとともに逃亡したものの、

 ガングァに裏切られてアンデッドにされたのかもしれないけど、

 楽観的な考えすぎるね」


 「………」


 「それともうひとつ。魔術院の高位の術師の死体が見つからなかったことだ」


 「戦闘になったアンデッドはスケルトン、ボーンウォーリア、ゾンビ、グール。

 部下の報告からもそれ以外のアンデッドは見ていませんね。

 ゾンビにまぎれてたんじゃ」


 「それはないな。ガングァがなぜ危険を冒してまで、

 魔術院を襲撃して高位の術師をアンデッド化させたか。

 リッチは流石にありえないが、ワイトと化している可能性は高い。

 悪くともホーンドメイジとしているだろう。

 どちらにしろ襲撃して殺害した魔術師達の死体、計2体がでてこないのは不可解だよ」

 


 「……その黒ずくめの男がどこかにまだ潜伏していると? 

 その魔術師のアンデッドとともに」


 「そう考えて動かないと危険だろうね。報告では王都から逃亡する時、

 馬車にはガングァと黒ずくめの男がいたそうだ。

 荷台にはおそらく魔術師の遺体。

 しかしカンテ村付近でガングァらしき男を見た時は一人だったと聞いている」



 「うーん……わかりませんね。逃げるなら戦力が多いほうがいいだろうし。

 だいたい逃げるなら城塞跡に立て篭もろうともしないだろうに」


 「報告によると待ち構えていたかのようだったそうだね。

 アンデッドを見つかるように仕向けたのも、騎士団をおびき寄せる為だったのか…。

 まぁヤトさんのおかげでガングァの目論見は外れただろうがね」



 「たしかに……下手したら返り討ちにあってたかもしれません」



 「彼女には改めて感謝だな。とにかく黒ずくめの男の捜索は続ける。

 バルーザに寄った可能性もある。馬車の特徴と黒ずくめの男の特徴を衛兵たちに伝えて

 目撃情報がないかあたってくれ。あとハンターギルドにも依頼をだす必要があるだろうね。

 彼らは街道を行き来することが多い。なにかしらの情報が得られるかもしれない」


 「わかりました。しっかし…討伐したっていうのに事件が続いてると考えると、

 いまいちすっきりしませんぜ」


 「ガングァを討ち取ったのは確かなんだ。進展はしてるさ。

 ガムン君も疲れてるだろうに遅くまですまなかったね。

 ゆっくり休んでくれ」


 「はっ! では失礼いたします」






 一人部屋に残るティーレ。その表情は険しい。



 「………どうにも嫌な予感がするね……」





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