第三話 入学とFクラス
転生者がもう一人出てきます。
あれから五年たった。この世界には魔法というものが存在している。
「ま、魔法学校?デリそこに通うんだ。いってらっしゃい。」
「いや、入学まであと1ヶ月あるからな?ついでに、お前も入学するんだぞ、ユーノ」
驚いた。まさか僕に魔法の才能があるというのだろうか。
「あんたの国には魔法を使う文化が無いらしいからね。一応得意な属性を検査してみるかい?」
おばさんが水晶を持ってきてくれた。
「ちなみに俺は炎だったぜ!お前は・・・性格からしてもしかしたら水かもな。」
水・・・大量の水を出して魔物を追い詰める自分の姿を想像する。
「じゃ、さっさとこの水晶に魔力を込めな!」
「えっと・・・僕魔力の使い方知らないんですけど・・・」
まぁ、別に使いたいとも思わなかった。時々村に魔物や盗賊が来たときに遠目に見るだけだった。
「えーと、水晶に手を触れて念じる・・・のかな?これは感覚だからねぇ・・・」
しょうがないので、水晶に触れてみたがやはり何も起こらない。力を込めてみても無駄だった。
「困ったねぇ・・・入学の書類に得意な属性を書かなきゃなんないんだけど、これじゃ、書きようがないじゃないか。」
「あの!学園の方で検査とかってできませんか?僕は魔力の使い方も知りませんし。」
「うんにゃ、確か魔法使えねぇ奴も入れるってきいたぞ?その場合は強制で最低クラスだがな。ユーノは大丈夫かな・・・」
嬉しそうな、残念そうな声でデリが答えた。
「大丈夫かなって、何かあるの?」
「ああ。俺も予想じゃ最低クラスなんだがな、噂によると待遇がかなり悪いらしい。最低クラスなだけでクラブの入部断られたりとかな。」
「それって・・・いじめとか起きたりする?」
「大丈夫だって!俺が守るからよ!」
それから一ヶ月間いろいろなことで、主に不安が中心で、全く眠れなかった。
「であるからして~我が学園は世界に誇る魔術師を育成するために~」
ここヴェスパリア魔術学園は全寮制の学校だ。クラスは六段階に別れており、最低クラスはFで最高クラスがA、実に単純だ。
ちなみに、入学式の三日前に送られてくる書類に所属クラスは書かれており、魔法を使えない僕は当然Fだった。しかもデリも。
「ユーノを近くで守れるのはいいがなぁ・・・」と、微妙な反応をしていた。
「以上で、入学式を閉会させていただきます。新入生の皆さんは荷物を持って、自分の教室に向かってください。」
どうやら入学式は終了したらしい。
最低クラスの教室とはいかなるものなのだろうか。
「まさか、建物の外だとは思わなかったぜ!」
デリの言いたいことはよくわかる。まさか別館が用意されているとは思わなかった。
そんなに隔離したいのかな?
教室の中にいる人は結構多い。最低クラスになる人がそんなにいるとは思えないけど。
「おい!さっさと席につけ!」
担任と思われるひとが教室に入ってきた。女の人だけど厳しそうだな・・・
「私はテレサ・クラウドだ。魔力球一つだせんお前らを鍛えるために担任となった。まずは自己紹介をしてもらう!廊下側から順にやれ!」
ちなみに、僕が座っているのは全六列中廊下から三列目の真ん中らへんだ。
そうこうしている内に、僕の番が来た。
「ユーノ・コルベールです。よろしくお願いします。」
僕は無難に自己紹介を終えた。
「ユーノ!?ユーノですって!?」
「・・・え?」
そこにいたのは、僕が死ぬ前に通っていた高校の女の子、鬼灯瑠奈にそっくりな人だった。
「あ・・・ごめんなさい。私はルナ・ホオヅキよ。よろしくね。」
まさか名前どころか名字まで一緒とは思わなかった。
「わたしの知り合いに同じ名前の人がいたのよ。」
「そうでしたか・・・」
その後の自己紹介は普通に終わった。デリが自分の紹介の時に友達になってほしいと言っていたが、デリみたいな人やっぱり昔見たことがある。誰だったんだろう?
sideルナ
あの人・・・神谷君と同じ顔。けど名字違ったし・・・いいえ、どこかの養子なら納得いくわ。デリって奴と同じ名字だったし後で確認するしかないわね・・・