4/4
4.アパート
僕には夢の中に行きつけのアパートがある。
そこにあるのは綺麗に洗われた食器に、買い替えたばかりのカーペット。見慣れたカレンダー。湯気の立つ珈琲。妙に音の大きい秒針。焼いたばかりのトーストの香り。そして目を閉じた"君"。
着古した紺色のカーディガンにジーンズを履いた君は口を閉じたままだ。
僕は何も分からなかった。彼女は何を抱えていたのか。僕は彼女の何だったのか。僕にできたことは何があったのか。そもそも彼女は僕に何かを求めていたのか。彼女は最後まで赤子のままだったのか。
「ほら、今も」
僕と、私の意識は遠のく。




