喫茶店ローズ番外編「ある人殺しの双子の話」
喫茶店ローズの奥、客用ではない小さな部屋。
椅子に座らされている男は、終始落ち着かなかった。指先が机を叩き、視線が定まらない。
「……それで、その人物を消してほしい、と」
エドワードが淡々と確認する。声には抑揚がなく、事務的だった。
「はい。報酬は十分に用意します。確実に、痕跡も残らず――」
男は言葉を続けようとして、途中で詰まった。
アルフレッドが、いつの間にか机の横に立っていたからだ。
表情は穏やかで、口元には薄い笑みすら浮かんでいる。
「ねえ」
軽い呼びかけ。
次の瞬間、乾いた音が一つだけ鳴った。
男の身体が、糸を切られたように崩れ落ちる。
床に倒れたまま、もう動かない。
エドワードは眉一つ動かさず、ため息をついた。
「話の途中だったんだけど」
「だってさ」
アルフレッドは肩をすくめる。
「目が悪かった。自分が殺される側の顔してた」
エドワードは床に視線を落とす。
依頼内容も、報酬も、もう意味はない。
「店の方針は覚えてる?」
「うん。面倒なのは嫌い」
アルフレッドはそう言って、死体の横をまたぐ。
「それに、ローズに来て“殺してほしい”って言える神経がさ」
少しだけ、声が冷えた。
「生きて帰れると思ったのが間違いだよ」
エドワードは立ち上がり、扉に向かう。
「処理は任せる」
「はーい」
アルフレッドは軽く手を振った。
その仕草は、まるで閉店後の片付けを引き受けるだけのようだった。
喫茶店ローズは、今日も静かだ。
客席では、何事もなかったかのように、コーヒーの香りが漂っている。
この双子やべー




