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わりとまじめに書いた物語(短編)

おばあちゃんのから揚げ

作者: 鳴海 酒

 ぼくのおばあちゃんは唐揚げを作るのがうまい。


 夕方になると山へ行き、野鳥に向かって出刃包丁を投げつける。

 ――ぶすり。ぼとり。

 おばあちゃんの包丁は、百発百中だ。


 あるとき本を読んで知ったんだけど、刃物を獲物に刺さるように投げるのは、とても難しいらしい。

 おばあちゃんはすごいんだ。ぼくはおばあちゃんを尊敬している。


 血抜きはおじいちゃんの仕事だ。

 そしてお母さんが揚げる。


 お母さんが揚げるのに、なんでおばあちゃんのから揚げって呼ぶのか、ぼくはずっとふしぎだった。


 ある夜、ぼくがトイレに起きたとき、お母さんは洗い物をしていた。眠い目をこすりながら見ていると、食器を洗い終わったお母さんは、おもむろに顔の皮をはぎ取った。


 中から出てきた顔は、おばあちゃんだった。


 そのとき、ぼくは思い出した。

 お母さんはぼくがまだ子供のころに、交通事故で死んでしまった。

 おばあちゃんはぼくが悲しまないように、お母さんの皮をかぶり、お母さんになってくれていたのだ。

 おばあちゃんはすごい。ぼくはおばあちゃんを尊敬している。


 お母さんだけど、中身はおばあちゃん。そんなお母さんが作る唐揚げは、やっぱりおばあちゃんのから揚げだ。

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― 新着の感想 ―
おばあちゃんを唐揚げにする話を想像したのは私だけじゃなかった。 良かった。
短い御作品ですが、とても意味深く、楽しく読めました。最初タイトルを見て、おばあちゃんの肉をから揚げにして食べるというのを想像してしまいましたが、そんな想像より楽しかったです。
やはり「ほうちょう」は投げてナンボのようだ……って、ンな感想は求めとらんという話ですよねすいません。(笑) しかしなかなか、短いながら想像のナナメ上をいく作品でしたなあ。 怖いとか思わないけど、でも…
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