序章
『深窓令嬢かぐや姫』この国、いや、近隣諸国でも知らぬ者がいない程に有名だ。
その輝かんばかりの美貌から数多の国の王、貴族が我が妻にと求婚した存在。
その尽くをバッサリと断っていたが、国としての思惑か、はたまた両親を安心させるためなのか、最終的にかぐや姫は三国の王子を候補として選んだ。
火の国の王子、フレイ。
水の国の王子、アクア。
風の国の王子、ウインド。
そしてかぐや姫は三国の王子に対して課題を提示した。
火の国の王子に対しては『消えることのない炎』
水の国の王子に対しては『尽きることの無い水』
風の国の王子に対しては『止むことのない風』
これを用意できた国の王子と結婚することとした。
課題を告げられた王子達の反応は三者三様。
火の国の王子、フレイ。
『ガッハッハ!尽きることの無い炎?そんなのは簡単だ!暫しまっていろッ!この筋肉の前にッ!出来ぬことなどッ!無いッ!!ムンッ!』
水の国の王子、アクア。
『尽きることの無い水…。それが出来たらどれだけ苦労しないことか…。いや、あの魔術を組み込めば擬似的に…いやしかし、そうなると暴発のリスク、いやいや、そもそも魔力量から出来る人間が…』
風の国の王子、ウインド。
『君はあの輝く月夜のように美しい…。どうだい?世のしがらみは一旦置いて、私と一曲踊らないかい?』
『深窓令嬢かぐや姫』
果たして姫を射止める事は出来るのか。
今ここに、姫を求める男達の争いが幕を上げた。