表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

第4話、癒しの聖乙女、異端審問される。

「で、あなたの名前はなんていうのですか?」

 禿頭の男性が聞いた。

 銀色のフレームのメガネ。

 顔の皺から六十歳くらいだろうか。

 白粉を塗ったような白い肌をしていた。


「ピンクフロイドよ」

「癒しの聖乙女でヒロインよっ」

「早く偽聖女を断罪しなさいよっ」


「で、あなたの名前はなんていうのですか?」

 穏やかだが目は笑っていない。


「……江崎桃華よ」


「うむ」

 男性がよく出来ましたと言わんばかりにうなずいた。

「で、ゲームの名前は? タイトルというのでしたっけ」


「えーと、”癒しの乙女はひざまずかない”よ」


「ふうむ、あなたが来た魔界……異世界は、”日本”というのでしょう」

 

「な、なぜそれを」

 江崎桃華が驚く。


「ああ、四角い建物が立ち並び、鉄の車や空を飛ぶ機械があるのでしたっけ」

「そして……」

「全てのヒトを何回も滅ぼすことが出来る武器があるんですよね……」


「え」


「デイビークロケットシステム」


「な、なにそれ」


「携帯型の核バズーカシステムだそうです」


「か、核……!?」


「昔、インベントリにひそませてこの世界に持ち込んだ異世界人がいましてね」

「私は、その核で滅んだ小国の生き残りですよ」

「数千人が一瞬で消えました」

「地獄という言葉では言い表せませんでしたねえ」

「放射能……の影響ですかね、私はまだ三十代ですよ」

 淡々と言う。

 禿頭で異様に白い肌。

 どう見ても六十歳くらいにしか見えない。


「ま、まさか放射能の影響? ひ、ひいいい」

 禿頭を見ながら、江崎桃華が悲鳴をあげた。


「女神軍は、そんなものがある世界を()()、異世界人を()()と呼称しています」

「ああ、大丈夫です、 放射能は浄化聖女が浄化できますから」

「まあ、放射能と魔力が混ざって瘴気になるのですけど」


「わた、わたしはどうなるのお」


「ふふ」

 男性が本当に楽しそうに笑う。


「ひいっ」

 江崎桃華が、その笑顔の意味に気づいて意識を手放した。


 攻略対象者である王子たちも同じような末路をたどった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ