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短編SF小説「不要な命なき理想郷(ディストピア)」

作者: ?がらくた

IFのストーリーを執筆するかもしれませんが、その時は別の短編SFとして投稿します。

刻は20XX年。

大昔は人口増加やエネルギー枯渇が叫ばれたが、もうそれは御伽話となっていた。

際限なく広がる経済的格差。

自由診療となり高騰した医療費を払えず、病気を苦にした生産活動の停止。

生活保護で暮らす人を怠け、甘え、不正受給と悪罵する、大衆の望むがままに社会保障の撤廃。

低賃金や労働のストレスを苦にした、少子高齢化や自殺。

みるみるうちに日本の人口は10分の1以下となるも、発達した機械とAIが社会を支え、じきに適応していったという。

そうなると彼らは、まだまだこの世には無駄な生命に溢れているのに目がついた。

無駄なものは早めに排除せねば。

ガン細胞のように、いずれ宿主を蝕むのだから。

こうして優生市民法が施行された。

小学生でも思いつき、実行を躊躇うような馬鹿げた法案が、大の大人の手で次々に可決され、〝虐殺と統制の世界〟が訪れた。


BI導入で金銭を分配することにより、貧困層の消費の活性化が予想されます。

社会全体の利益に繋がるでしょう。

またナチズムは過去に幾度となく失敗し、劣った遺伝子を排除すれば、能力の低い人間が生まれない。

それは極端な思考であり、現実的ではありません。

また過去の優生思想と同様に、一度この法案を許せば、際限のない殺戮が起こると懸念されます。

社会的な利益、倫理的にも問題があり、決して許してはなりません。


―――AIは経済的にも倫理的にも、彼らを排除してはならないと警告した―――にも関わらず。

かつてAIは人間を脅かす、AIは地球を汚染する人を殺すなどと声高に言われた。

だがやはり人を虐げるのは―――他ならぬ人間であった。


「人が社会の為に生きるんじゃない! 社会が人の為にあるんだ! 人が生きられない社会なら、滅んでしまえばいい!」

「最下層の劣等市民の負け犬の戯言は、聞くに堪えん。義務を果たさぬものは世のため人のため死ねぃ! おおかた労働施設から逃げ出した豚だろう! 無賃だろうとゴミを有効活用してやっている、我々の慈悲をありがたく思え!」


まずは無職の人間や浮浪者が標的となった。

共同体から外れたものは、何をしでかすかわからない。

社会に寄与せぬ命など、いない方がよい。

そもそも働けないのではなく、働かないのだ。

たった10時間の強制労働くらいで音を上げるな。

雇われないなら、起業してでも労働に従事せよ。

それすらしないなら社会ダーウィニズムの原則に則り、淘汰されて然るべきなのだ。

日本の病魔が取り除かれたと、大衆は大手を振り、最初の殺戮を歓迎したという。


「おい、CTDのオッサン(国家反逆対策課:Counter Treason Divisionの略)。優生市民が人を轢き殺したってニュースでやってたぞ。何もしてない人間を、いきなり犯罪者扱いとか頭おかしいんじゃないか!? 金さえ払えば罪を犯しても善良な人間なのかよ?! いいご身分だな、優生市民さまは!」

「くだらぬ言い訳を! 貴様のような低学歴は世から虐げられた恨みつらみを溜め込み、やがて暴発させるのだ! 優生市民さまの殺人罪など、貴様の無価値な生がこの世に存在するのに比べれば、鴻毛より軽いわ!」


その後に大衆が憎悪したのは、低学歴の人間だった。

今は何もせずとも学のない人間はたぶん、いつか、きっと、おそらく犯罪を起こすのだ。

これは未然に犯罪への予防措置をしたに過ぎない。

無職と低学歴という厄介者が消え、社会は平和になるのだと、大衆は偏執的な妄想を抱いていたという。


「こんな世は間違っています。誰にも生命の尊厳は脅かされてはならない! 私はこの日本にNoを突きつける!」

「綺麗事という害毒を撒き散らす肉塊めが! 人の命は優劣があるのだ。優生市民さまかそれ以外。無価値なだけでなく、真理を捻じ曲げるものなど殺してしまえ!」


それから社会は、左翼や共産主義者を攻撃した。

人は人の上に人を作る生き物。

命が等価であるはずがないのだ。

故に嘘八百を並び立てる者は死に絶えるべきである。

社会から人権や平等の美辞麗句は消え失せ、万人が自ら放棄した尊厳の侵害に怯えた。

しかし大衆は社会の在り方が間違いだと気づいても、我関せずで見て見ぬふりをしたという。


「……嫌じゃ、嫌じゃ。ワシはまだ生きたいんじゃあ! せめて孫の成長を見届けてから逝きたいんじゃよぉ……」

「黙れ、ジジイ! 無為に生きようなど国家への大罪! ナイトメア・ボックスに連れていけッ!」


次いで老人が殺戮の対象となった。

今までの努力は評価しましょう。

我々の社会の発展に、よく尽力してくれました。

ですがあなたがたは、もう何も産み出せはしません。

のうのうと生き長らえても、医療費を浪費するだけ。

だから大人しく安楽死なさい。

このままいくとまずいのではと、大衆は危惧した。

しかし何もアクションは起こさなかった。


「大卒で賃金も平均以上。税金も滞納せず収める私が、なんであなたたちの世話になるの?!」

「社会的責任を果たさぬ二等市民の塵が、優生市民さまと同じ空気を吸うなど言語道断。これからはAIロボットが貴様の代わりに生産を行う。今日からお前の社会的役割は地下施設のEUSU(Eugenics Surrogacy:優生学的代理出産の意)だ!」


その次は独身の男女が殺害されるか、資源として利用された。

能力の多寡に関係なく、次代に寄与しない人間など無価値な存在。

こんな連中は死んでも何の影響ももたらさない。

数少ない労働のパイは、異性獲得競争の勝者。

つまり既婚者にのみ与えるべきなのだ。

何故なら既婚者は異性に選ばれ、魅力に溢れた人間。

独身者など卑屈で人間性が歪み、実務もコミュニケーション能力も難があるに決まっているのだから。


社会を俯瞰し提言する、モラルある隠者も。

学はなくとも早くから社会と接点を持ち、ひたむきに技術を磨こうとする職人の卵も。

大義ある綺麗事を宣い、国の変革を望む革命家も。

社会を生き抜き、若き者に知恵や経験を授ける賢人も。

恋人などおらずとも、自らの生の意味を見出し励む市民も。


世を憂い人心を捨てた国を拒む人々は、この段階で既に多くが他界していたという。

否、善良な市民を気取る大衆が、彼らの虐殺に加担したのだ。

もう歯止めはきかず、底のない奈落の穴を堕ちるところまで堕ちるだけであった。

―――数ある選別を経て、生きるに足る選ばれし優生市民となったものだけが、ひとかどの権利を得られるのだ。




一方その頃富裕層の居住区にて




「ねぇ、パパ、聞きたいことがあるんだ」

「ん〜、なんだい。パパが答えられることなら教えてあげよう。でも書物を熟読し、思考する力を養うのも必要なことなんだよ」


少年は読書に耽る父親へ訊ねた。

彼はよほど集中しているのか、眉間は深い皺を刻む。


「あの長い煙突の施設、あれはなんなの? どうして毎回はぐらかすの?」

「いつも言っているだろう? 貧民街のことは詮索するなと」


父親は釘を刺すが好奇心は抑えられず、マコトは食い下がらず訊ねた。


「読書をしても検索しても、何故かあの場所についての情報がわからないんです」

「……そんなことより最近、学校の成績が上がっていないようじゃないか。最新鋭のAI教師ティーチがついておきながら、このザマとは」


よほど触れてはならない問題だったのか。

マコトの父親は唐突に学業について切り出すと、彼を叱咤する。

勉強のモチベーションと向上心維持のための、称賛や成果報酬の提供。

一般的な小学校から難関校の問題集の内蔵。

他にも各種音楽を流したり、勉学に最適な環境を作る機能がAI教師には多数搭載されていた。

AIは感情を交えず、たとえ成績が落ちても怒鳴りつけることはしない。

それがどれだけ、無駄で有害かを理解しているからだ。

だが人はそうはいかなかった。

気に入らなければ平然と罵り、言葉を荒げる。

父親になじられ、言葉に詰まる少年へ


「不躾ながら昨日も睡眠時間を削り、教師と共に勉学に励んでおられました。坊ちゃまの努力を認めてあげてはもらえませんか? 芽を出すまで彼を見守るのも、保護者の旦那様の努めかと」


自律型AIメイドロボット、マーテルが横から口を挟んだ。

小麦色の頭髪に、琥珀の如き飴色の瞳、透き通る白い肌。

見目麗しい彼女の外見は、十数年前に高層一軒家を訪れた頃から何一つとして変化せず、彫刻の美女のような美しさを保っている。


「だったら打開案を提示すべきだろう。所詮、型落ちの機械では、毒にも薬にもならぬ慰めが限界だろうが」

「……すいません。最新鋭のメイドロボでしたら解決策を提示できるでしょうが、私のスペックでは……」

「僕は他のロボットじゃなくて、マーテルがいいんだよ。だからパパの言うことは気にしないで」

「もったいないお言葉です、坊ちゃま」


少年の励ましに、マーテルは口角を吊り上げ微笑んだ。

褒められ、庇われたりしたら、相好を緩める。

機械的にそうプログラミングされているだけだが、人と相違ない仕草である。


「坊ちゃま。気分転換に近くで遊びにいきましょう」

「迷惑かけてごめんなさい。いってきます、パパ」

「ああ、いってきなさい」


ああまでして何を隠したいのだろう。

とはいえ直接訊ねるのが不可能ならば、他の手段に頼る他ない。


「ゴユックリドウゾ、マコトサマ」 

「うん、いつもありがとう。君もそろそろ電力供給が必要だろう。交代し、ゆっくりと休憩をとるといい」

「アリガトウ、カンシャシマス」


エレベーターを降りた先は、インターネットカフェが経営されていた。

屋外の施設だと利益を優先し、一部屋が狭くなりがち。

だが自分たちで利用する施設なら、その心配もない。

たまにパパやママ、仕事の関係者がやってきては羽根を伸ばしていた。

入口手前の一室は僕のために設けられた、特別な空間。

自宅と違い、誰にも邪魔されることなく、親や世間のしがらみから解放される一時だ。


「坊ちゃま。何をなさるおつもりですか? インターネットならば、お家でもできるでしょうに」

「見られると面倒だから。パパとママには口外しないでね、マーテル」


小型のルーターを持ち込んだ少年は、Tfr(The Fault Router)ブラウザを立ち上げ、首を傾げたマーテルに説明をしていく。


「フォルト·ウェブ。元は情報統制された国の人々が意見交換を行う名目で作られた。表層のネットでは無理でも、地球の核に近いネットの暗部なら或いは……」


ネットの接続を暗号化し、IPを特定させずに自由を謳歌できる場所。

それがフォルト·ウェブ。

だが法の抜け道を探すように悪用する人物が、後を絶たないのは事実。


「そこは犯罪の温床になっていると聞き及んでおります。危険ですので、メイドとしては坊ちゃまを止めねばなりません」

「うん。閲覧に問題があると感じたらマーテルが止めてくれ。君の判断を信用する」


そうして僕はネットを片っ端から検索していった。

しかし煙突と入力しても、表のネットと大差ない画像ばかりがヒットする。


「広大な地下のネットだけはある。普通の情報もたくさんあるな〜」

「坊ちゃま、お飲み物でもお持ちしましょうか」

「いいや、僕が取ってくるよ」


長時間PCを直視し、乾いた瞳孔が悲鳴を上げていた。

ドリンクバーに向かい、栄養ドリンクをなみなみとコップに注ぐ。

するとカフェに誰かがいるのに気がついた。

挨拶をしようと接近するが父親の経営する会社の人間でもなく、少年は眉をひそめた。

しかし関係者でもなければ、ここまではやってこれないはず。


「すいませんが、どなたです? 社員の方はほぼ記憶しているのですが」

「俺はアーリマン。しがない〝悪徳のジャーナリスト〟さ」


茶褐色の肌の東欧人風の青年は、長身に黒のスーツを着こなし、そう応えた。

三白眼の常軌を逸した瞳からは、想像もできないほど穏やかに。


「しかし細身で筋肉質、かつ知性ある面立ち。さすかは優生市民。温室育ちのご子息といった風体―――反吐が出るな」


アーリマンは突如、少年に悪態をつく。

いきなりのことに脳の処理が追いつかず、マコトは棒立ちのままだ。


「無垢な君に見せてあげようか。際限なき人間の悪意を―――悪神アーリマンが」


そういうと青年は目線を合わせるようにしゃがみ、何かを呟いた。

刹那マーテルは脱兎の如く宙を舞い、彼の頬に一撃を見舞わせる。

―――かに見えたが、すぐさま彼女の手首を掴み、ガラス戸へと投げ飛ばした。

メイドロボットは護衛用に戦闘機能を備えた機体が多く、マーテルも例に漏れず。

この男、ただの人間ではない。

あまりに人知を超えた争いに、少年は見守るしかできずにいた。


「体の半身に熱を感知できません。人ではないようです。離れろ、不審者め」

「随分なご挨拶だな。俺は失われた報道の自由を教えたってのに」


殴られたアーリマンの皮膚の下から、灰色の金属が剥き出しになる。


「いいかい、優生市民の坊っちゃま。フォルト·ウェブで検索にかけてみれば、あの煙突の―――ナイトメア·ボックスの全容を知ることができる。人を虐げるお前たちが目を背けたものを―――」


アーリマンはそれだけ言い残すと窓を割り、飛び降りた。


「坊ちゃま、大丈夫でしたか? お怪我はございませんか?」


金属の肉体から血こそ流れはしないが、ぱっくりと割れた柔肌に突き刺さるガラスは痛々しく


「マーテル、メンテナンスしておいで」


彼女を労った。


「大丈夫です、旦那様の元へいきましょう」

「でも、あいつの言っていたサイトを確かめるつもり」


謎だらけの男アーリマン。

戯言と切って捨てるのは容易い。

しかし彼からは、何故か真に迫るものを感じたのだ。

検索して現れた動画サイトに、Nightmare Boxと文字を入れると、とある動画がヒットした。

何の気なしにクリックすると、動画で悲鳴を上げる男性と呼応するように少年は絶叫する。


「見、見てはなりません!」


すぐさまマーテルが電源を消すも、瞼に焼きついた地獄絵図は消えることはない。

しばらく彼は脈打つ鼓動を落ち着けるべく、少年は極寒の地で凍えるかの如く体を震わせる。

隠蔽されたのは、これのことだったのか?!

冷静になると父親に真相を訊ねるためカフェを後にし、エレベーターのボタンを連打した。

早く両親に伝えねば、あの惨劇を。


「パパ、ママ、聞いて! あそこの、長い煙突の……」

「どうした、そんな大声で?」

「落ち着いて」

「貧民街のナイトメア·ボックス、あれは人を……」


少年がまくしたてると父親は両脇を持ち、彼を抱き寄せた。


「怖がらないで。安心していいんだよ、マコト」

「そうよ。あなたは大事な家族ですもの」

「……パパ、あったかい。ママ、」


いつもは成績のことで叱責し、愛情など欠片もないのだと疑ってしまう。

けれど怖い思いをした僕を慰めてくれた。

勉強について口煩いのは、将来を心配しているから。

簡単なことにも気がつけないで、ごめんなさい。


(パパ、ママ。いつもワガママいって迷惑かけちゃうね)


安堵したマコトが顔を上げると、父は不敵に片側の唇の端を吊り上げた。

直後、少年は小型の銃―――最新鋭の殺人特化型スタンガンを押し当てられ―――そして即座に絶命した。


「ああ、真実に触れてしまうとは。もういらないな、マコトは」

「まったく期待外れ。勉強はできない、不要なモノを切り捨てられない、知らなくていいことを知ろうとする……正直いって死んでくれて清々したわ」

「いいじゃないか。私たち優生市民の精子と卵子は無尽蔵に保管されている。EUSUにまた子を産んでもらうとしよう。次はいいつけを守れる賢い命を、ね。ま、二等市民の薄汚い血が混じったせいで、マコトのような劣等が生まれたわけだが……」


マコトの死などなかったかのように、団欒する夫妻を尻目に横たわる少年へ、マーテルは一目散に駆け寄った。

嗚咽するように体を揺らし、血塗れになるのも厭わず、亡骸を抱きかかえると、


「ぼっ、坊ちゃま! なんとお労しい……あぁ、うぅ……これほど人間が非合理的とは……血を分けた命さえ屠らずにはいられない罪深き存在とは……! 人はなんて愚かなの……なんて卑しいの! あぁ、無垢な命ばかり消えていく……」


と、人への呪詛を漏らした。

ロボット故に涙こそ流さないものの、ナノワイヤの網膜から一筋の雫が頬を伝うかの如く、鮮血が線を描いていた。

彼女が従者であったのは、他でもないマコトが望んだからこそ。

人にも機械にも別け隔てなく接する、少年亡き今、もう彼女が存在する意義はなかった。


「坊ちゃま。命を持たぬ私がいうのは適切ではないかもしれませんが―――せめて死後の世界でも寂しい思いをせぬよう、あなたさまのお側にいさせてくださいませ」


そういうとマーテルは自らのコアに当たる部分、人でいう心の臓を貫き、機械活動を終了させた。

少年に覆いかぶさる姿は、まるで悪魔から我が子を守るかのようであった。


「被造物の分際で創造主の人間に弓引くとは。マーテル、お前は悪魔ルシファーの手先のようだな。甘言とその美貌で後継者のマコトを誑かしおって」

「厄介払いができてよかったわ。我々へ毒づくなんて、このメイドロボはとんだ欠陥品でしたね―――我が子をどうしようと親の勝手じゃありませんの」

「これまではア、カ、サと順につけていったから、次はヤのつく名前にしようか」

「フォルト·ウェブを覗くなんて、とんでもない子。次の子はこれまで以上に、しっかり監視しなければなりませんね」


こうして不要な命が、世界から1つ消え去った。

すぐにマコトの代わりが、愛なき家族の穴を埋めていく。

そして彼らの意にそぐわなければ、新たな生命もマコトと同様の運命を辿るだろう。

だが諸君らが、悲劇的な結末を嘆くことはない。

多くの人間を切り捨てた彼らもやがて、生きるに値せぬものとして息絶えるのが、この世界の常。

不要な命なき理想郷ディストピアに―――もはや生きるに値する人間は、誰一人として存在しないのだから―――

優生市民の少年 マコト


種族·人間

MBTI:INFP

アライメント 中立·善


優生市民の父の息子である、年端もいかない少年。

人はもちろん、メイドのマーテルやAIロボットにも別け隔てなく接する、人嫌いしない心優しき性格。

勤勉だが学業成績は伸び悩み、父から叱責を受けるが、それでも社会全体から見れば上位に入る優等生。

好奇心旺盛で、貧民街の長い煙突の施設に興味を持つが、それが彼の運命を狂わせることに……。




AIメイドロボット マーテル


種族·機械

MBTI:ISFJ

アライメント 中立·善


ラテン語で母を意味する名を冠した、自律型AIメイドロボット。

金髪に淡褐色の瞳、思わず触れたくなる白い肌が特徴の美女。

温厚で気遣いが上手の、マコトお気に入りのロボット。

機械ではあるが、家族同然に過ごした彼のことを本心から慕う。

マコトの父からは型落ちの機械だと蔑まれるも、めげずに役割をこなしている。




悪徳のジャーナリスト アーリマン


種族·半人半機械

MBTI:ENTJ

アライメント 混沌·悪


自称〝悪徳のジャーナリスト〟で、悪神を名乗る人間の男性。

半身は機械の体でできており、人を遥かに凌駕する身体能力の持ち主。

戦闘能力も非常に高く、人間の警護用に作られたロボットにも引けを取らない。

腐り果てた実は堕ちるのみという理念を掲げ、日夜あらゆる場所へ現れ、工作や破壊活動、啓蒙を行う。

人々が大量に殺戮される世界の在り方に憎悪を抱き、情報統制の敷かれた表層のネットでは発信できない、過激な映像や画像を、フォルト·ネットにてばらまく。

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