登場人物(または人物背景と裏設定)
○セリオン・レイロード・メリア・レーゲンハイム(二十二歳)
ヴァルドラ国の新国王。魔女の子の力業で即位等の全てがハイスピードで進んだ。ついでに、今まで完全無欠の完璧王子様で通っていたが、魔女の子に振り回されすぎて色々露呈することも決まった。よく効く胃薬を探そうか検討中。最近権力について新たな知見を得た。正直知りたくなかった。俺が目指した理想的な王の姿は一体どこに……。
婚約者がいないので王家の信頼回復と並行してお嫁さんを探す必要がある。文句なしのイケメンなのにモテない新国王陛下。最近、王宮勤めの役人や貴族たちが「私だけはお力になります!」といった眼差しを向けてくるのが悩み。胃薬が友達になる日は近い。
○ウィルベルト・ターナー(二十二歳)
セリオンが心配な幼馴染み兼側近兼従者兼忠実な臣下。とりあえずセリオン第一。国王即位が決まった直後に会ったセリオンには同情した。相変わらず魔女の子は怖いが、ジストなら大丈夫になってきた。し、その上ツッコミを入れられるほどにまで進化した。慣れって怖い。クリスロードのセリオンに対する不敬な態度は、誰かに見られたら危ないと冷や汗をかいている。でも止めない。
周囲の狸爺(アーサー除く)からウィルベルトなら大丈夫だと太鼓判を押されているが、近くにいる三人が可笑しすぎて自信はいまいち。
○クリスロード・リアライト(二十四歳)
登場一番でなかなかの図太さを披露した、本編では影も形もなかった若公爵。実はセリオンの次にモテないイケメン公爵。側近達の力不足について、そうりゃそうだろうと思っている。見たかあの爺(先王ら)め。そんなわけでセリオンに対してなめた態度を取る。でも馬鹿ではないので、時と場合に応じてセリオンへの対応は変えている。立派な臣下として振る舞った時に見せる引き攣ったセリオンの顔が大変面白い。
セリオンとウィルベルトが幼馴染みであるように、ジストと幼馴染み。食にうるさく、よくジストにご馳走をたかりに行ったり、良いところに連れ出したりしている。
○ジスト・シャルトル(十九歳)
もしかしたら最後の良心かもしれない、心を代償とする魔女の子。知識量がおかしい。誰にも話していないがブリジット相手に「死にたいなら後腐れなく死ね」と切り捨てたことがある。当然ブリジットは泣いた。何故交流が途切れなかったのかジストは心底不思議に思っている。とんでもねえヤツだ。ちなみにキシュリア旅立ちに関してファナリナを推したのは、その時の経験による判断である。執務室ではリボンを魔法で編んでた。
超技巧型オールラウンダーで芸の細かい魔法は朝飯前。ふわふわファンタジー魔法のバリエーション豊富。なお、極光の魔法は初披露。
○エヴァンス・サラ(二十六歳)
爽やかと穏やかと優しいの分厚い皮を被ったエセ好青年。腹の中はドス黒い。身内判定した相手でなければ見捨てるのに否やはない。嘘。めっちゃ見捨てる。擬態とかいうレベルじゃない。きっと内側で何か飼ってる。忠犬科猛獣属狂犬型バーサーカー。ジストに泣かされた経験は多々あるが、エヴァンスは学習型のため何度目かで「嘘泣き」と「泣き落とし」を習得した。よくジストに使う。別にセリオンは嫌いではないが特段好きでもない。
高水準高性能型器用貧乏のため、花を振らせる魔法等は苦手ではないが得意でもない。が、気分にむらっ気があるため失敗して何度か花びらを破裂させた。
○ファナリナ・ユグシル(××歳)
作中一口が悪いアダルト絶世美少女。毒舌ではなく、口が悪い。代償による長い命を厭っていたが、ブリジットとの出会いで希望を見出した過去を持つ。ジストのことは敬愛している。長い人生で恋愛感情は根絶やしになった。ファナリナに年齢を尋ねて無事だった人はジストを除けば一人もいない。
細かい魔法とか超苦手。爆破と爆発と花火の魔法(ほぼ同じ)なら任せろ。そのためキシュリア見送りの時は直前まで花を出す魔法を必死に練習していた。魔法成功の代わりに贈り物の中身と伝言の内容は吹っ飛んだ。
○アーサー・レイン(七十三歳)
狸爺。魔女の子に成る前、王宮魔術師長を務めた経験がある。時間が物を言うとばかりに全力で外堀を埋めにかかった。これが魔女の子最速の反応速度を誇る爺の実力。事実が全てじゃ。あの後続いた会議では「だってわしお爺ちゃんじゃから~」で全てを乗り切った。何だかんだセリオンが新国王になるのに対して一番賛成・協力をしていたが、やり方が小賢しすぎて警戒心をうなぎ登りにして終わる。
封印具の調子を見るために幽閉塔へ茶をしばきに行ったのに、ランネルをつつき回して帰った。ほら、これでも経験豊富なお爺ちゃんじゃからして。
相手を惑わす魔法が得意だが、街を飾って彩る魔法くらいはお茶の子さいさい。ほほ、ここ(玉座)彩って帰っちゃお。魔女の子の邪心。
○キシュリア・レーゲンハイム(十八歳)
心が海のように広い青年。父と生みの親から譲り受けた美貌を持つ。世の中嫌いな物が物理的に溢れているという人生ハードモード。やり直しは出来ないが違う人生を進みたいと国を出る決意をした。ら、ファナリナに色々とめちゃくちゃに掻き乱された。最終的には良い感じに落ち着いて出国したが、これは偏にキシュリアの善性による所が大きい。普通はぶちギレる。
かなりの背景が潜んでいるにもかかわらず、実は貴族が通う学院等で陰湿な憂き目に遭うことはなかった。さすがに囀り全てを潰すことまではしなかったが、悪意が明確な形になる可能性や芽はジストが全て裏で処理済み。知らないのだから全ては無かったのと同じこと。無認可激やば守護(破壊)神持ち。
○ランネル・ヒースグリーン(三十三歳)
幽閉塔で悠々自適な生活を送る元宮廷魔術師長。許されないことした自覚は当たり前に持っており、自分への待遇が腑に落ちない。本編では敵対心剥き出しだったが、魔術師の一人として魔女の子には強い憧れを抱いているため、アーサーに対して様付け+敬語。他三人にも同じ。
自覚はないが、キシュリアとリシュリアナにした仕打ちに自分で自分の心を痛めている。そのせいかリシュリアナへの当たりが強い。幾度となく世の清濁を飲み込んできたため善性と悪性両方を併せ持つ、ある意味真っ当な大人。ただし手段は悪性に全振り混沌悪。
ちなみに封印具は天才魔術師と呼び声が高いランネルに対抗するため、アーサー(元宮廷魔術師長・現魔女の子)が作成したので外せる可能性はない。
○リシュリアナ・スウィントン(二十歳)
実家が大変なことになっている公女。弟のこともありランネルにほのかな恋心を抱いていたが、先日の一件により恋破れてしまった。世の理不尽さを呪い、自分の無力を嫌悪し、数日間泣き暮れた。それでも長子として家を継ぐという責務を放り出すことはせず、唇を噛みながら立ち上がった。失恋というにはあまりにも悲惨である。当初の主役から選手交代になった一番の要因はここ。
窮鼠猫を噛むの精神でランネルに告白した。正直ざまあみろと思っている。今後は伯母、父、母を辺鄙な領地に押し込み女傑公爵として花開く予定。白馬の王子とかナメてんのか。脳内花畑は黙ってろ。未来は英傑美女。
○ブリジット
全編を通して根幹的部分に関わっている女性。一時期希死願望が強く、自害衝動に駆られていたが全てジストに阻止された。そしてとんでもねえ切り捨て発言を経て、残りの人生を悔いなく生きることを選んだ。ブリジットは聡明で前向きな光属性(極み)の女性なのである。そしてこの善性が、どういうわけかキシュリアに引き継がれた。いいか、理屈じゃねえんだよ。
死期を悟り、そういった面で最も信頼していたジストにランネルとキシュリアを託して逝った。その結果ジストは見守ることを選択し、本編での「見届ける義務」に繋がる。人選は多少ミスった。
※魔女の子は根本的な代償として共感力の欠損があるため、ある意味やたらめったら強いしアホなほど無神経。