表:看視_8
今回は兄貴分の伝手で飛竜を借りたので、
馬車などで行けば、優に数か月かかるだろうバルトクーラにも
3日弱で行けた
当たり前だが、町から出た時が一番、襲撃が多く
主戦力であるウルドとマクロムは交互にしか休めなかったので
飛竜の存在にはとても助かった
ウルドたちはバルトクーラに着くとすぐ
冒険者ギルドに向かった
そして、兄貴分の紹介状のお陰でギルマスにすぐに会えた
それだけじゃない
兄貴分は先にギルドの電報、
送れる文字数は少ない上にめちゃくちゃ高い、
をギルマスに送ってくれており
ウルドたちがなんらかの事情を持ち、助けを有していることを
既に知ってくれていた
そして、
詳細を聞いたギルマスはウルドたちをある場所へ連れて行った
そこは第三防壁地区の端、第四防壁地区にほど近い場所にある
周りから少し離れた場所にポツンとある小さな店だった
ギルマスが声をかけ、扉を押して中に入る
ウルドたちはそれに続いた
薄暗い店内はガランとしていて
店として機能はしていない様子が見て取れた
そんな中、小柄な老婆がフッと目の前に現れた
そのことにとてもつもなく驚いたし、警戒したが
ギルマスが平然としているので、敵ではないのだろうと
ウルドは力を抜く
隣でマクロムが同じ動作をしていたので
きっと、同じことを思ったのだろう
ギルマスが老婆ブランにウルドたちの事情を説明すると
ブランはその目を細め、ウルドたちを一人ずつ流し見た
そして、ギルマスに小さく頷く
ギルマスはそれだけで分かった様子で
エリーの隠れ場所の相談を始めた
でも、その瞬間
火が付いたような赤子の鳴き声が突然響き渡った
驚いて、ウルドたちは気配のなかったはずの店内奥を見る
ブランが突然気配なく現れたように感じたのは
入ってすぐだったし、何らかのスキルを考えれば理解できた
でも、スキルを使えるはずもない赤子が店奥に存在しているのに
気配も魔力も感じないなんて絶対におかしい
緊張する中、ブランは淡々と言った
「魔力に、特別敏感な子でね
己の魔力にすら怯えて泣き続けるから封じてあるんだよ」
ふっと息をつくウルドたちに
ブランはジッとウルドを見つめてから、ギルマスに言った
「沢山の種類の魔力に怯えているようだ
今度はこの狼と二人で来な」
それに、反論を上げようとしたマクロムたちに
ブランは素っ気なくいう
「気に入らないなら、勝手にしな
町のどこでも、好きに場所を選べばいい
……10日もしないうちに、ハイエナが回りを囲むだろうがな」
さっさと出ていけ、と手を払うブランに
ギルマスは苦笑して
明日昼頃、また二人で来る、と言いおいて店を出た
マクロムはもちろん、ウルドも腑に落ちない気持ちを抱えたまま
仕方なく、ギルマスに続いて、店を出た
ギルマスがいう
「ばあ様がああいうなら、それが最善だ
今日明日くらいなら、ギルドの個室を貸してやるからそこにいろ
どんな貴族であろうと
バルトクーラの冒険者ギルドの奥庭に入り込めることはないからな」
ニヤリと笑ったギルマスの目は獰猛に光っていて
ウルドたちはそれ以上の言葉を飲んだ。




