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裏:相互理解_4



そんな訳で俺の仕事は

早朝の手伝いと

買い出しが終わった後の食材の分類の手伝い位だ


一度、サバイバルナイフで皮むきを手伝おうとしたら

手をざっくり行きかけて、ルアに取り上げられた


切り傷はよほど深くない限り、初級ポーションで治るし

神経を切断するほど深く切っても、中級ポーションで大丈夫だが

切り落とすと上級、下手したら、特急ポーションが必要らしい


そして、一般庶民で上級以上を手に入れるには

それなりの金と伝手が必要らしく、

絶対に指を切り落とすな、と言われた


うん、俺も指を切り落としたいと思ったこと、ないよ

ヤのつく職業の人と関わったこともないからね



それ以来、絶対にサバイバルナイフは

ルアに触らせてもらえない


というか、刃物のコーナーに行くと

ルアの動きがちょっと遅くなって、こっちをこっそり観察している


かなり、心配をかけてしまったらしい

そして、俺の慎重さに対する信用が少し落ちた気もする



で、水場にI型のピーラーみたいなのがあったから

それでさつま芋みたいなのを剥こうとしたら

ルアに仰天された


なんでも、I型ピーラーは

シップみたいな外用薬を作るときに混ぜるワームの皮を

剥ぐときに使う道具らしい


別にワームの皮を剥がないで使っても薬効的に問題ないらしいが

匂いがきついらしく、ルアは祖母に教えてもらった通り剥くらしい


まあ、そんなことはどうでもいい


とりあえず、ワームを捌く物で

食材を切ろうとしてしまった俺にルアは困ったように笑った


本当に

形が似てるからって、なんでピーラーなんて思ったかなって

自分でも思う


未だ、ここが異世界であることの自覚が薄いのは

ルアに守られ、この家の中に閉じ籠っているからなのか

俺の頭が鈍いのか……


判断はしないことにしている



ルアは本当によく働く


早朝起きて、店の商品を作り

店を3時間ほど営業し、店の片づけやレジ締めを行う


で、ようやく食事を取り

それが終わると、買い出しに行く


使っているハーブがないときは森にも採取に自分で向かう


俺が倒れていたその森は、アンラースの森、と呼ばれていて

魔の森としてこの大陸で三本の指に数えられるほど深く、危険な森らしい


まあ、この町、バルトクーラの近くは

森を少し入ったところにダンジョンがあって、

そこに向かう冒険者がついでに魔物や危険な獣を狩っていくらしい


そのため、町近くの森の浅い場所なら

一般人でも採取できるほど安全なのだ、とルアは言う


それでも、俺はルアが一人で森に行くと聞く度

ルアが店に帰るまで、入口ドアの前の長椅子から動けない


そんな俺をルアは困ったような顔でみるけれど


きっと、俺が森についていけるようになったら、

この癖をやめることができるようになると思う。


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