表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/8

ハイリスク・ハイリターン

遅いことには他の追随を許さぬほど自信のある作者です。

 聞いてないっ…!


 そんなの、聞いてないよっ…!


 わたし一人でも冒険者くらいできるんじゃないの!?


 魔物の中で弱い分類って言われてるウルフがこんなに強いなんて聞いてないっ!






 わたしは今期から学園に入ったただの新入生の一人だった。


 冒険者を目指そうと思ったのは、楽にお金を稼げると聞いたからだ。


 うちは昔から貧乏でその日暮らしなんてザラだった。


 しかも、わたしが幼い頃に父は借金をいくらかこさえて蒸発し、体の弱い姉と、いつまで明るかったかも思い出せないくらい前から昏い目をして仕事をしている母がいる。


 いつまでもおんぶにだっこではダメだって、そう思った。


 確かに、自分が怪我する可能性もあったけど、慣れれば他の仕事より簡単だって聞いて、コレしかないと思った。


 運良く学園に入学できたのは本当によかった。


 なんか、入学金とかその他諸々は冒険者になって稼いだお金から払う…しゅっけ払い?でいいらしい。


 それからは、学園で必死に戦ったり、生き残る術を学んだ。


 でも、次第に自分の生活費が不足してきてしまった。


 だから、薬草を取りに行くくらいなら大丈夫だと思って、登録を済ませて依頼を受けた。


 それは間違いではなかったのだろうけれど、わたしは依頼の最中に欲に目が眩んで選択を誤ってしまった。



 依頼の品を採取し、そろそろ帰ろうかと思った時、一匹のウルフを見つけた。


 まわりを見ても仲間はいそうないし、あれを狩れればお金が手に入る、仕留め損なっても一匹なら逃げられる。


 そう考えたわたしは、事前に用意していた採取用ナイフを構えて、投げつけた。


 額を狙ったつもりだったが、まだ投擲の腕が良くないのとウルフが直前に気づいて回避行動を取ろうとした結果、ナイフはウルフの胴体に刺さった。


 手負いならなんとかなる、そう信じて予備のナイフを取り出して近づこうとした瞬間、ウルフが雄叫びを上げた。




 直後、わたしは自分の過ちに気がついた。ウルフだって生きるのに必死なんだ。


 自分が危ないなら、()()()()()()()()()()だって、不思議じゃなかったのに。


 迫ってくるたくさんの気配に、わたしはただただ恐怖し、一目散に逃げ出した。


 それでも気配は追ってきて、むしろ回り込んでいるようにさえ感じられる。



 甘かったんだ。


 まだ死にたくない。


 怖いよ。



 そんな思いが頭の中を渦巻き、まともな状況判断もくだせなくなっていく。


 そして。



「ぁぐっ!?」



 足元に木の根でもあったのだろうか、思い切り躓いて地面に倒れる。



 死んじゃう。


 逃げられない。


 死にたくない。




「だれかっ…、ひぐっ、た、たすけてぇ…!」



 目から勝手に涙が流れる。


 目前にはさっきのウルフ。


 血を滴らせながらゆっくり口を開く。



 噛みつかれる、その恐怖に囚われて。



「いやあああぁぁぁぁっっ!!」



(ಠ_ಠ) 出番ねぇのかよ


次には活躍してもらいましょう

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ