依頼受理
「さっさと依頼の受理しろや」
「リクさん、そろそろ機嫌直してくださいよ」
「受理は?」
「はいはい…」
すっかりへそを曲げた様子のリュークに、依頼書にハンコを押しながら苦笑いをする受付嬢。そんな二人のそばでうろちょろしながら目を白黒させているお嬢様。さらにそのまわりでは、いまだに衝撃から復帰できていない冒険者達が多数。
協会は基本的にいつもカオスなかんじだが、この時ばかりはいつも以上に混沌と混乱を極めていた。
「えーと、チユ草の採取5束の依頼が一つ、同じく7束が一つ、あとはウルフ系の牙を3体分ね。解体は…」
「俺はやらん。いつも通りだ」
「はいはい。確かに受理しました。どうぞお気をつけて」
ひらひらと手をふる受付嬢を尻目に、お嬢様を連れだって協会をあとにする。
はぁ、どっと疲れた。
「…顔が、広いのね?」
「これでもちったぁ冒険者が長いからな」
「なんで私とパーティーを組むだけであんなに騒がれたの?」
「俺がお年頃になっても、女っ気の欠片もなかったからだろ」
「そう……と、ところで!今回3つ依頼を受けていたみたいだけど、どこに行くの?」
「ん?あぁ、街の北部の森の方だ。あっちなら薬草の類は豊富だし、フォレストウルフもいるから手っ取り早い」
「そういえばチユ草が何束って数え方だったけれど、一束はチユ草何本?」
「一束3本だ。5束と7束の計12束だから、36本だな。群生地が見つかればすぐ終わる」
「なんでも知ってるのね」
「ちげぇよ。さっきも言ったろ、長いって。ただの経験だ」
雑談を交えながら街中を歩いていた二人だが、リュークが突然止まった。
「どうかした?」
「お前、装備は?」
「…まだ持ってない」
「………」
まじか、コイツ。
「武器屋と防具屋、それから道具屋行くぞ…」
「え、あ、ちょっと待って…!」
リュークはまさかの問題点に内心で頭を抱えながら、先が思いやられる、とこぼしたのだった。
道を戻りだした二人にはオレンジ色に変わりだした日の光が当たっていた。
(-_-) 夕暮れには依頼済ませて帰るつもりだったのに…
遅くなりました。
次も遅いです(断言)。