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愉快な協会の仲間たち

 協会の入口にほど近い物陰で、二人の人間がこそこそと会話をしていた。


「え〜と、確かここに…あったあった。よし、んじゃ行くぞ」


「…なんでイヤリングなんて付けてるの」


 懐に手を突っ込んで取り出した1つのイヤリングを片耳につけた男が、女なの疑惑の目を向けられている。


「あ、こっからは俺のこと呼ぶときはリュークじゃなくてリクと呼んでくれ」


「清々しいまでのスルースキルね…わかったわ。けれど、なぜリク?」


「俺の冒険者名。魔力と冒険者の名前が一致しさえすれば偽名でもいいって言われたから」


「なぜ偽名を?」


「長々と昔話をされて日が暮れてもいいなら話すが?」


「やっぱり遠慮しておくわ」


 物陰から出て協会に入っていくのは、もちろんリュークと貴族のご令嬢のフレーデルである。


 学園は制服の指定はないため、二人が学園生であることを一目で見抜ける者はいなかったが、初々しい様子の女と慣れた様子の男の二人ペアを懐かしげに見る者は多くいた。


 見られたことに羞恥心を覚えたのか、女の方が僅かに頬を赤くしてそそくさと協会へ入る。


 男が少し慌てながら追いかけるのを見て、周囲のギャラリーは殊更に頬を緩めていた。





 ⚔ ⚔ ⚔




「おぉ!リク坊!今日は遅かったじゃねぇかぁ!」


「酒臭い!まだ夜にもなってないのになんで出来上がってんだ!」


「おぅおぅ、お前もこっち来い!んで飲め!」


「俺はまだ酒は飲めねぇよ!」


「はっはっは!ん?そっちの嬢ちゃんは新顔か?まぁいい!飲め飲め――――」


「あぁもう!ダインの旦那!いい加減にしろ!」


「ふがッ!?」


 首に一撃をかましてようやく大人しくなった呑兵衛を捨て置いて、取り敢えず受付カウンターへ歩く。


「ね、ねぇ。協会っていつもこんな雰囲気なの…?」


「いや、昼間はまだまともだ。夜になると協会は冒険者達の酒場になるから、依頼を受けにくるなら昼間にしとけ」


「わ、わかった…」


 協会とは、前世知識からすれば『ギルド』と呼んだほうがわかりやすいだろうか。俺は協会をギルドと呼んで怪訝な目を向けられた体験は少なくない数やらかしている。それほどにギルドっぽい場所なのだ。

 借りてきた猫のようにビクビクしているご令嬢を連れてカウンターに向かうが…正直、周りの連中の視線がめちゃくちゃ鬱陶しい。

 それは受付嬢も例外ではなく…


「リクさんが女の子連れなんて、明日は槍でも降るんですか?」


「黙ってくれます?俺にも人付き合いくらいは、まぁそれなりに…いや、ちょっとくらいはあるんですが?皮肉ですか皮肉なんですか晩年ソロ冒険者やってる俺への嫌味ですかあてつけですかだったら今日は帰りますお疲れ様でしたとっととくたばれこの毒舌売れ残り受付嬢が」


 この女は毒舌を飛ばしてくることしかできないチンパンジーだ。会ったその日から女扱いなんぞやめてやった相手なので、どんだけ言い返しても俺の良心はほぼ傷まない。


「あの、えっと……」


 あ、やべ。居心地悪そうにキョロキョロしてるご令嬢を忘れてた。

 いや、だってコイツ、協会入った直後から気配薄すぎて忍者か何かなのではと疑いたくなる程なんだもん。

 流石にそろそろ紹介せにゃまずいか。


「あ〜、こちら、フレーデル嬢。しばらく俺とパーティー組むことになったんで、そこんとこよろしく」


「「「「「「………………」」」」」」


 あれ?変な紹介なんかしてないよな?至って無難な紹介だったよな?


「お、おーい。お前r―――――」





「「「「「「えええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーっっ!!?」」」」」」



「あのボッチを極めたリクさんがっ!女の子とっ!パーティーぃぃいいぃぃぃ!!?」





「おいコラどーゆー意味じゃ巫山戯んなテメェらああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッッ!!!!??」





 なおその後、俺は阿呆なことをぬかした奴ら全員にもれなく、どデカい拳骨をプレゼントしてやった。もちろん後悔なんてしてないぞ!



(# ゜Д゜) テメェら俺を何だと思ってんだ!


割とはやい投稿でした。

そろそろ過去話第一弾にしたいけどうまく繋がらない…

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