放課後のへい
予告通り遅くなりました。
いや予告しても遅いのは駄目か。
すみません、へい(_ _;)
学校とはボッチにとっては生きづらい場所である。
そんなの気にしないという鋼メンタルの持ち主でもなければ息苦しい時間を過ごす場所となるのだ。
だがそのおかげで大きな喜びを感じる瞬間がある。
それすなわち―――――
「放課後だああぁぁぁぁぁぁ!!!」
校門を出てすぐのところで放たれた俺渾身の叫びは、あえなく雑踏に掻き消されてしまった。が、放課後だ。そう、放課後なのだ。
オリエンテーションと言う名の先生の自己紹介やら長話を聞かされ続けて死んでいた目がようやく光を取り戻した。
さぁ!自由の時間だ!
「ちょっと待ちなさい」
振り上げた右腕をガシッと掴んで呼び止めた人物が誰かを理解した瞬間に、思わず げっ と呻きを漏らす。
「あ〜…何でしょうか、フレーデル様?御用がないようでしたら、自由時間は好きにしたいんですが」
「用がなければ話しかけたりなんてしないわ」
「さいですか」
「貴方、これからどこに行く気だったのかしら?」
「え、そりゃ小遣い稼ぎですが…」
「帯剣したまま?」
「反撃の手段くらいないと心配なもので」
「……遊びって、何をするつもりなのよ」
「何って…軽い依頼を一つか二つ受けるだけですよ」
「それを遊びと言う学園生は貴方くらいだと思う」
「ゑ?」
馬鹿な!ここは冒険者を育成する機関だろ?軽い依頼なんて朝飯前じゃないの?
「…で、それを聞いてお嬢様はどうする気だったので?」
「貴方は私のパーティーメンバーになったの。メンバーの戦闘スタイルくらい知っておきたいと思うのはおかしい?」
なるほど。連携を取りやすくしたいとでもいったところか。
「構わないですけど、邪魔はしないでくださいね。お貴族様に怪我でもさせたら、こっちがデュラハンみたいにされかねませんので」
「後ろで見てるだけにするから問題ないわ。Cランク様の戦いぶりをね」
「嫌味を言いに来たなら帰ってどうぞ」
つか、薬草採取とかにするつもりだったのに完全に討伐系依頼を受ける流れにされてないかコレ…
「じゃ、協会へ行きましょうか」
「…へいへい」
「はい は一回、へい は百回」
「へい……へい!?んだそれ!?」
「へいは百回。父上が言ってるの、まともに返事しない奴はそんな扱いで充分だって」
「はぁ!?そんなのやるわけ…」
「ならデュラハンにしてあげるわ」
「なッ!?くっ、くそぉ!やりゃいいだろやりゃあ!さっき四回言ったから、後は……!」
その後、協会へ向かう通りには、指折り数えながら息を切らして『へい』を言い続ける奇妙な男が出没すると、街で噂になったそうだ。
(ಠ_ಠ) へいへいへいへい、ハァハァ、あと何回?
(º_º) あと三十回
(ಠДಠ) へいへいへいへいへいへいへいへい、あと何回?
(❛ꁞ❛) あと三十五回
(눈_눈) 増えてね?
(・_・) …じゃああと50回
何気にこういうのって苦痛じゃないですか?
あ、多分次回も遅いです。