脇役転生者とパーティー
僅か一話で感想いただいて嬉しくなった、リュークをいじめるのが楽しい作者です。
「俺、さっきのホームルームでいいましたよね、女子とは関わりたくないって」
「言っていましたね」
「意味はわかっているんですよね?」
「当然です。私が女だから近づきたくないのでしょう?」
「…わかってるなら、やめてもらえます?」
「もちろん、拒否します」
俺の目の間に立つ貴族の女――もといフレーデル嬢は、滑らかな金髪をなびかせながらそう答えた。
「あなたこそ、先程の先生の話を聞いていたんですか?」
「どういう意味でしょうか」
「今週中にパーティーをつくって申請書を提出しなさいという話です。貴方、誰とも組む様子がありませんから、私が組んであげますと言っているのです」
うわぁ…高圧的にどうもありがとうございますね。
「……」
パーティーを組めという指示はボッチにとって地獄である。しかし、今の俺はそんな心配とは無縁なのだ!
ここ、冒険者学園はその名の通り冒険者を育成する教育機関だ。
年齢は15歳からで最低2年間。これは、国がその2年を義務教育にしているからだ。
だが、冒険者登録は実はもっと幼い子どもでも可能なのだ。
家庭の事情とかを考慮してらしいが、そのおかげでよく子どもが死ぬ。現実ってツライ。
それはさておき、今の俺はCランクだ。さらに、学園の規則を念入りに確認した俺は知っている…パーティーをつくる義務はまだランクがD以下の者にしか適用されないと!
つまりは俺は対象外。フハハ!これがボッチを極めた男の実力よ!
…虚しくなってきたな。
「いえ、自分は…」
断ろうとして、ふと気付いた。
あれ?コイツ、パーティーメンバーいないの?
ぁ、もしかしてそういう…
「ひょっとして、組む相手がいな―――」
「ッ!?〜〜〜〜っっ!!」
あ、上から目線の金髪お嬢様が茹でダコみたいに真っ赤になってぷるぷるしてる。
図星かな?
「そ、そういう貴方だっていないじゃないですかっ!」
なんか悪いことしてる気分になってきた。
流石の俺もボッチをからかうのは趣味じゃない。というか、自分もボッチだからいつか自分に返ってきそうだからやらない。
ついでに俺はボッチには優しい男を目指しているのだ。
…友達がほしいとかそういうつもりは欠片も微塵も一切ない。
「まぁ、特に組みたい相手とかいないですし、構いませんよ」
「っ!」
あ、茹でダコが顔色戻してキラキラしだした。
なんだかこのお嬢様、ちょっと小動物感あって面白いな。
「では、この紙に名前を書いてください」
「…リュークっと、これでいいですか?」
「構いません。では次にパーティー名を…」
この人、なんかグイグイ進めてくるんですが。
「あ、そういえば、貴女のことは何とお呼びすればよろしいでしょうか?」
何だったっけ、この女子の名前。えーっと、フ、フ……フンゾリカエール様だっけ?
「家名のフレーデルでお呼びください。婚約者でもない男女が親しげに名前を呼び合えるほど、貴族社会は簡単ではないのです」
あぶねー、めっちゃ失礼な呼び方しかけてた…明らかに名前より失礼じゃん。
「では、えー、フレーデル様。これからしばらく、よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いしますね、リュークさん」
こうして、学園生一日目は穏やか(?)に過ぎていく。
学園とか面倒なだけではあるが、これから俺が実行する作戦は一つだけだ。
その名も!
色恋逃避大作戦!
…ヘタレじゃないぞ?
(-_-)ヘタレじゃないぞ?
(-_-)チキン野郎とか呼ぶなよ?
ちなみに作者はチキン野郎です。
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