第九章 総理大臣の長女襲われる
上司は部下の婦人警察官に事情を説明して、「もし誘拐でしたら下手に訪問しない方がいい、友達を装い電話で確認しろ。」と電話で確認するように指示した。
自宅に着信があったので、犯人グループは電話に出ないと不審に思われる可能性があると判断した。
スピーカーにして電話にでるように父親に指示した。
女性刑事は次女と高校時代の同級生を装って、「高校時代の同級生の石川マリです。同窓会の事で相談があります。」と同窓会の事で相談があると依頼した。
「呼んできます。」と返答して犯人グループに指示を仰いだ。
犯人グループは保留にして、「外出していると答えろ。」と指示した。
父親は保留を解除して、「外出中です。」と答えた。
「外出先を教えて頂けませんか?それと、携帯番号も教えて頂けませんか?」
犯人グループは再び保留にして、「秋山総理大臣の自宅で開催されています誕生パーティーに出席していますので、電話はお控えください。」と答えろと指示した。
父親は再び保留を解除して返答すると、婦人警察官は、「わかりました。失礼します。」と電話を切った。
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上司に報告した。
「こちらの質問に答えるまで時間がかかり、いちいち保留にしていました。それに声がこわばっていました。脅迫されている可能性があります。」と報告した。
犯人グループも、「友達なのに携帯番号を知らないのか?友達なら固定電話ではなく、携帯番号を知っているだろう。警察にばれた可能性がある。訪問者に注意しろ。」と警戒して次女に、「今の石川マリは、本当に高校時代の同級生か?卒業アルバムを見せろ!」と指示した。
次女は卒業アルバムを見せればばれると判断して、「いいえ、違います。私の知らない女性です。」と答えた。
「やはりそうか。」と警察にばれたと確信した。
偽次女に正体がばれたと知らせた。
上司は、「宅急便を装い訪問しよう。誘拐の可能性があるため、三色ボールペンを用意して、“警察です。家族が誘拐されているのでしたら赤で、何もなければ黒で、それ以外でしたら青でサインしてください。”とメモを見せろ。犯人グループが対応する可能性もあるため、バインダーを用意して、家族の写真をバインダーの二枚目にはさんで、一番上は、何かの名簿でも挟んで、家族の写真を隠せ。対応した人物に見えないように一枚目をめくり、家族か犯人グループか判断しろ。」と部下に指示した。
刑事が宅急便を装い訪問した。
犯人グループは、「警察の可能性がある。変な伝言をされないようにお前がでろ。」と犯人グループが対応した。
警察官は、家族以外の男が応対したのでメモは見せずに、商品を渡してサインしてもらってその場は去った。
上司に報告した。
上司は訪問した部下に指示して、サインしてもらったボールペンの指紋から、対応した男が詐欺の前歴があるやくざだと判明した。
しばらくすれば上司から高木刑事に着信があった。
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「さきほどの件だが、詐欺師が自宅にいた。次女だけではなく、長男や長女や母親も自宅で監禁されている可能性が高い。現在、救出作戦を練っている。その次女は間違いなく偽物だ。救出はこちらで対応するから、高木班は総理大臣のお嬢様を守れ。武器を持っている可能性があるため、充分注意しろ。」と指示した。
高木刑事は、「了解」と返答して部下に無線で事情を説明した。
「決定的な証拠は何もない。状況証拠だけだ。こんな場所で任意同行を求めれば、人質を取られる可能性がある。武器を持っている可能性は高い。」と警戒するように指示した。
やがて栗垣知子が白鳥の湖を踊り始めた。
偽次女は正体がばれたと聞いたので、周囲を移動して、自分に注目している人物やイヤホーンを装着している人物を確認して、刑事らしき人物を捜していた。
高木刑事は、「偽次女は襲う機会を窺っているのか、周囲を移動して総理大臣のお嬢様に近づく様子がない。自分の正体がばれてないか確認している可能性もある。招待客は栗垣知子に注目している。誰も総理大臣のお嬢様の事を気にしていない。危険だ。」と無線連絡した。
やがて、栗垣知子のバレーダンスが終了し、招待客が一斉に拍手した。
その瞬間、偽次女は刑事らしき人物が自分から離れていて近くにいないと判断して、総理大臣のお嬢様に急接近した。
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高木刑事は、「偽次女が総理大臣のお嬢様に急接近した。悲鳴を拍手喝采でかき消すつもりだ!全員、総理大臣のお嬢様との距離を縮めろ!刃物や銃などの武器を確認すれば緊急逮捕しろ!」と指示した。
刑事たちは、「主役の近くは招待客が多すぎる。じゃまで進めない!間に合わない!」と焦っていた。
「偽次女が刃物を出して右手に持っている。誰も気付かない。総理大臣のお嬢様に危険を知らせても、拍手喝さいで声が届かない!刺される!」と焦っていた。
その瞬間、二人の女性が赤と黒の覆面を被ってコートを脱いだ。
女子プロレスラーのブラックデビルがレッドデビルを肩に乗せて、レッドデビルが天井のシャンデリアに飛び移った。
招待客を飛び越えて大きくジャンプして偽次女に襲い掛かった。
テーブルが壊れる音や食器が壊れる音で招待客が気付いて急に静かになった。
その結果、偽次女は柱で腰を強打して骨盤骨折した。
刃物を握った状態で倒れて動けなくなった。
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そこへ、招待客をかき分け到着した高木刑事が警察手帳を提示して、「警察です。刃物を捨てなさい!」と命令した。
偽次女が刃物を向けて、「来ないで!殺すわよ。」と抵抗した。
招待客をかき分けて到着したブラックデビルが刃物を蹴ると、刃物は吹っ飛んだ。
高木刑事が、「殺人未遂の現行犯で逮捕します。」と偽次女を現行犯逮捕した。
逮捕の瞬間、偽次女は激痛のあまり悲鳴を挙げた。
立てない様子でしたので、というか、冷や汗もかいて苦しそうでした。
高木刑事は、芝居ではなく本当に苦しそうでしたので、「お医者様はおられませんか?」と医療関係者を捜した。
招待客の中に医療関係者、外科医ではないのですが内科医がいたので確認して、骨盤骨折の可能性があると判断して救急車を呼んだ。
救急車が到着するまで事情聴取しようとしたが、激痛で名前も聞けなかった。
やがて救急車が到着して、偽次女はパトカーの先導で警察病院に救急搬送された。
高木刑事は、国会議員が手引きしたと思われないように事情を招待客に説明した。
渋谷国会議員が、「次女だけではない。家族全員が人質になっています。私の家族を助けてください。」と高木刑事に泣きついた。
高木刑事は、「ええ、わかっています。私の上司が対応しています。」と落ち着くように、説得した。
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陽子は、プロレスラーが飛び掛かる前に、プロレスラー同士がもめていたようでしたので、「彼女に飛び掛かる前に、二人がもめていたように見えたのですが、何か問題がありましたか?」とその原因を知りたそうでした。
「さすが、よく見ていますね。どちらが抱えて、どちらが飛び掛かるのかについてもめていました。」
「レッドデビルが飛び掛かる事にした理由は何かあるのですか?」とその理由を知ろうとした。」
レッドデビルが、「私のほうがスマートだからよ。」と笑っていた。
ブラックデビルが、「わるかったわね。スマートでなくて。私は先日、タイガーレディーとの試合で右腕を痛めました。足腰は大丈夫なので、私が抱える事にしました。」とその理由を告げた。
「右腕だから、ごはんもうまく食べられずに、はい、あ~んしてと食べさせているのだから。まるで赤ちゃんみたい。」と笑っていた。
「うるさいな、今朝から自分で食べているじゃないの。」と余計な事を言いやがってと不機嫌そうでした。
「まだ、うまく食べられずに子供みたいにこぼしていたのは誰よ。箸も何回か落としていたしね。やっと、赤ちゃんから子供に成長したようね。」と指でブラックデビルの肩をこついた。
二人が険悪な雰囲気になってきたので、陽子は話題をタイガーレディーに変えた。
「タイガーレディー?全戦連勝のあのレスラーですか?そんなに強いのですか?」
「強いというか、あれは人間じゃないわ。化け物よ。何人も病院送りにされていて、私も危うく病院送りにされるところだったわ。来週レッドデビルとの試合がありますが、大丈夫?タイガーレディーは只者じゃないわよ。目の色を見る限り日本人じゃないわ。外人だわ。」と心配していた。
「大丈夫よ。私が仇を取ってあげるわ。」と言いながらも内心不安でした。
ブラックデビルは、先ほどバカにされたので仕返しする事にした。
「本当に大丈夫?でも、足腰を痛めてトイレにいけなくなったら、私がオムツ交換してあげるわね。」と横目でチラッとみた。
陽子が、「タイガーレディーは本当に女性なの?」と最強レスラーのブラックデビルが、ここまでやられるとは信じられない様子でした。
「体つきは間違いなく女性だったわ。」とタイガーレディーと組み合った時の事を思い出していた。
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一方、高木刑事は、犯人の人数や持っている武器などの情報を渋谷国会議員から聞いて上司に伝えた。
「犯人グループは五人組で、リーダーは銃を所持しているそうです。渋谷国会議員が確認していない仲間や武器がある可能性も否定できないため、彼女が搬送された病院に向かい事情聴取してきます。」と伝えた。
高木刑事は病院に向かった。
次回投稿予定日は、2月26日を予定しています。