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第一章 バレーダンサーアルバイトする

お待たせしました。超一流バレーダンサー栗垣知子の投稿を開始します。

アイドルに熱狂的なファンがいるように、優雅に踊るバレーダンサーにも熱狂的なファンが最近急増して、週刊誌などにも掲載されるようになっていた。

私はとある高校に通学する女子高生だ。

名前は熊川静子。両親は一流のバレーダンサーなので、私もそれなりにスタイルもよく、自分でいうのも気が引けるが、どちらかといえば美人だ。

両親は一流のバレーダンサーとしてマスコミの目を気にしていた。

娘にはそんな思いをさせたくなく、普通の女性として生活して幸せな結婚生活を送ってほしくてバレーダンサーとしてデビューさせなかった。

将来、娘が生活に困った時のために手に職をつけさせようとしていた。

両親にできる教育はバレーダンスしかなかった。

バレーダンス教育は、バレーダンス教室には通わせず、自宅で両親が教育していた。

両親が一流バレーダンサーなので、自宅にバレーダンス場があり、そこで私の教育を小さい時からしていた。

一流バレーダンサーがマンツーマンで指先からつま先まで徹底的に指導した。

デビューしていないためにプレッシャーもなく、バレーダンサーの実力は両親が想像する以上にあがった。

高校生のころには超一流バレーダンサーに育っていたが、秘密にしていたので誰も知らなかった。

    **********

そんな私が高校卒業後、大日本女子大に進学した。

初めての女子大生活にわくわくして入学式に臨んだ。初めては当たり前か。このような場合は憧れというべきか。

やがて友達もできて、勉強に遊びにと大学生活を楽しんでいた。

友達と遊んだり、パソコンなどの電子機器を購入したりしていると、金銭的な問題に悩まされるようになった。

友達はいろいろとバイトしている。

私はバレーダンスの特訓を両親から受けていたので、まとまった時間が取れない。両親にお小遣いの値上げを要求したが認められなかった。

仕方なく私も時間を見つけて何かバイトしようと考えた。

私はバレーダンスには自信があった。

私がバレーダンスを踊れる事を両親から口止めされている事から考えると隠しているようだ。

友達にばれないように、というか、友達から両親に知られないように考えた。

大学から二駅ほど離れた場所でそのようなバイトができないか捜した。

パブやバーなどでピアノやバンドの生演奏をするのは聞いた事あるが、さすがにバレーダンスのバイトはなかなか見つからない。

あきらめずにバイトの募集をしていない店にも飛び込みでバイトとして雇ってもらえないか捜していた。

    **********

そんなある日、飛び込みで入ったパブのオーナーからバレーダンスが好きなパブのオーナーがいると聞いた。

どうやら私がしつこく開店準備ができずに早く追い払いたくてそのような情報を伝えたようだ。

そのパブの場所と店の名前を聞いて早速売り込みに行った。

小太りで男性にしては背が低い、メガネをかけたオールバックのおっさんだった。

最初はオーナーもいい顔をしなかった。

私があまりにもしつこく、バレーダンスには自信があるとPRしたので根負けしたようだ。

「そんなに自信があるのだったら、明日午後一時にここで踊ってください。白鳥の湖でお願いします。」とたかが学生のバレーダンスだから、たいした事はないと思っていたが、一度踊らせないと納得しないようだと諦めて、踊らせる事にした。

オーナーの前で踊る事になった。要は実技試験だ。

    **********

翌日、バレーシューズなどの衣装を持ってパブに行った。

バレーダンスに興味のあるオーナーは、私のバレーダンスの実力を見抜いて納得したようだ。

次回履歴書を持参すれば、その内容に問題がなければ採用するとの事でした。

早速履歴書を作成して、翌日アポを取ってパブに持参した。

その内容には特に問題がなかったために採用になった。

学生アルバイトとしてパブでバレーダンスを踊る事になった。

オーナーとも相談して、本名ではなく栗垣知子と名乗った。

栗垣知子は死んだオーナーの恋人だそうだ。その名前を使う事が、このパブで踊る条件の一つだった。

スタイル抜群で美人の私を栗垣知子と呼びたいようでした。

オーナーがバレーダンスに興味があるため、バレーダンスに興味を持っているお客様も大勢いた。

私が採用になったのは、私のバレーダンスは、そのようなお客様に自信をもって紹介できるからだそうだ。

    **********

そのようなお客様も私のバレーダンスに納得して、やがてバレーダンスが上手だと口コミで噂が広がり注目された。

マスコミもくるようになった。

やがて専門家の目に留まり、バレーダンサーとして超一流だと判断して、「私がおぜん立てするから、パブではなく劇場で踊りなさい。」と勧められた。

専門家が超一流だと認めたために、週刊誌にも掲載された。

最初に劇場でバレーダンスを踊る日、週刊誌記事を見て専門家やバレーダンスに興味のあるお客様が大勢劇場にきた。

幸い両親は海外公演で不在だった。というか、両親が不在の日に設定したので不在は当然だ。両親に気付かれないように、週刊誌には顔写真を掲載しないように依頼していた。

いやに専門家が多いなと思っていると、この劇場の事をおぜん立てしてくれた専門家の雑談が聞こえてきた。

どうやら、自分が発掘したバレーダンサーを見てもらおうと、実力のある専門家たちを呼んだようだ。事実上のデビューだ。緊張した。

それらの専門家の中に、見覚えがある専門家が数人いた。家に来た事がある。

あくまでも両親を訪ねてきたために私には気付いていないようだ。

    **********

私のバレーダンスを見て噂通り超一流だと専門家たちも評価した。

その専門家の一人が後日、両親に会いに私の自宅に来た。

私は慌てて隠れた。

その専門家は動画撮影した映像を両親に見せて、こんな超一流のバレーダンサーがいたとは信じられない。まるで天使のようだ。いままでどこにいたのだろうと両親に意見を求めた。

両親は、「デビュー前から週刊誌にも掲載されて噂では聞いていたが、そんなにすごかったのか?その日は海外公演で、そのバレーダンサーの踊りを鑑賞できずに残念だったよ。」と言いながら動画を見て驚いた。

両親はすぐに私だと気付いたが伝えなかった。

その専門家を適当にごまかして帰ってもらった。

    **********

両親は不機嫌そうに私を呼んだ。

「静子!ちょっと来なさい!」と部屋のドアを強く叩いた。

ばれたかと思い、言い訳を考えながらリビングに向かった。

「せっかく静子がバレーダンスを踊れる事を隠していたのに何が栗垣知子よ!将来、生活に困った時などに切り札として大事にしてほしかったのにね。これからマスコミに追いかけられて自分の時間が持てなくなるわよ。」と人の苦労を無駄にして・・・と不愉快そうでした。

「だから、お小遣い増やしてと言ったじゃないの。友達との付き合いなどで結構お金が必要なのよ。友達はバイトしているから、私もバイトしないとついていけないのよ。私にできるバイトはこれしかなかったのよ。私にとっては今が切り札を使う時なのよ。」と反論した。

両親は、納得したのか引き下がった。

どうやら、お小遣いの件、私の話も聞かずに断った事を後悔している様子でした。

パブのバイトをやめて劇場で踊っていると、専門家たちの意見が週刊誌に掲載されて、やがて人気も出てファンも増えた。

マスコミやファンが入れ替わり立ち替わりきた。

学生の本業である勉強ができない。

両親が私を表舞台に出さなかった理由が理解できたような気がする。

普通の女の子として生きていってほしかったと言っていた意味がやっと理解できた。

一流バレーダンサーの両親から見ても、私のバレーダンスは超一流だった。こうなる事はわかっていたようだ。

一生、マスコミに追いかけられるかと思えばゾッとする。


次回投稿予定日は、12月27日を予定しています。

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