2話目-⑤ 下僕宣誓書?知らない言葉ですね
誤字脱字などありましたら報告の方よろしくお願いします
今俺はお腹を見せる形で地面を背に預けて仰向けになりながら大の字で寝そべっていた
「(ひでぇ……逃げられると見せかけてこれか)」
文字通り上げて(物理的に)落とされたぜ。こいつはしてやられた。俺の心を弄ぶとは、あのアルビノ2号はとんだ策士だったらしい
くそっ!多分こういうことだ。一目見て俺の隠し切れないプライドの高さと知性を見抜いたアルビノ2号は懐柔する為に一つ策を弄した。それが世で名高い『空城の計』だ。これを仕掛けてきたに違いない。
そして俺が賢すぎるが故に引っかかってしまった!!つまりこれは孔明の罠だったんだよ!!!(現在錯乱中)
おのれっ……孔明!と叫ぶ前にガチャリとドアの手が動くと扉がギギッ……と古めかしい悲鳴をあげながら開かれた。絶対したり顔だわ
「なにか凄い音しましたけど、大丈夫ですか?」
アルビノ2号が心配そうに部屋に入るなり、声をかけてきた。だが先程と様子が違う。そこには予想通りに白い少女が立っていた‥‥‥そして口元をべっとりとソースで汚していた
「(こいつよりにもよって飯食べてやがったのか!この匂いはステーキ。しかも絶対良い肉だ!A6ランクくらいの奴だな。俺の鼻は誤魔化せんぞ)」
所で龍の主食ってなんだろうか?空飛んでる神秘な生き物だから、全く分からんが、霞とか雲とかだった日には間違いなくこの世界滅ぼしちゃうけど、別に良いよね。答えは聞いてない
「……ケホっ。なにこれ放屁ですか?」
なんて事言う人なのだろう。俺が落ちた衝撃で部屋の埃が舞い上がっただけである。失礼すぎる。少年少女たちに夢を与える神秘な生き物はゲップもオナラもしない。アイドルと同じなのだ
「(んなわけあるか)」
最早、騒ぐ気力もないぜ。煮るなり焼くなり好きにしてくれ。俺は疲れたよ、パトラッシュ
「ねえ、偉大なる龍王様」
「Ga?」
疲れたから訳も出さない。まあ出さないからって誰が困る訳でもあるまい
「契約しましょう。だから…」
そう言って白い彼女が懐から差し出したのは一枚の紙切れだった。これが龍の主食ですか?巷で噂の草食系男子の俺も紙は食べないのだぜ。そこんとこ、お分かり?
「偉大なる龍王様貴方と使い魔契約すると言いはしましたが、契約にも種類があるのは知っていますね。主従の発生する使役ではなく対等な立場としての盟約といきましょう。
差し出すものは、私の全てと所有する物や土地の霊脈の一切合切を貴方に捧げます」
「代わりに来たるべき日までその力を私にお貸しください。それだけです」
あくまでも対等と彼女は言っているが、しかし、それはどうだろう。目の前にある紙切れが下僕宣誓書と書かれている気がするのは目の錯覚ではあるまい
悪魔のような女である。目の前の白い少女の中身真っ黒なんですけど?
やべえよ、やべえよ。何しれっと嘘ついてんの。ソウルジェム持ってたらマッハで濁るんじゃないか、この人。っていうかこの人に限らず女ってもしかしてみんな計算高い腹黒なのでは?
俺の女性不信が加速度的に跳ね上がっていく音が聞こえる。
こんな腹黒女の下僕なんて絶対嫌だああ!だけどこの小さな円陣の中で朽ち果てるのも嫌だーー!!絶賛イヤイヤ期だから全部嫌だよー!淡雪ちゃーーん。怨まないからお家返してーー!!!
次で2話目終了となります