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9話目-⑥

次回の更新は恐らく来週。書き溜めが出来てたら2話掲載してぇ(願望)

エルガルム大陸で今や最も危険な犯罪組織"三頭竜"はズメイを含めた3人のフィクサーと8人の大幹部を含めた"三面八臂"なる存在が数百の組織と数万の兵隊を束ねている。

侮るには少々危険な存在といえるだろうし葉月ちゃん救出のための人手はいくらあっても有り難い。後はこの聖金貨を使ってエリクサーを買うだけである。だがここで少々予想外のことが起きる



【ええ!?霊薬売っちゃったの!?あの商談はなんだったのさ!】



「す、すまねえ。金貨1000枚で買うと言われて、本当に済まねえ。けど俺にも食わせていかないといけない家族がいるんだ!」



我に詰め寄られて商人はタジタジである。その必死さを嘲笑うかのように花宴が隣で噴き出す。



「ぎゃはは、ウケる〜。アテが外れちゃってるじゃん、どうするよ。今回は止めんの?それとも…」



「どうもこうも少し方針を変えればいい。陽動で暴れるのは私だけ。他は密かに動けばいいだけのことだ」



「……それ、は……相手、を、侮りすぎ……だと、思う……」



鈴虫の言う通りだ。桐壺は簡単に言ってのけるが、流石にそれは相手を舐めすぎだろう。しかしエリクサーが無ければ姫は回復しないし、ひいては我が戦うこともできない。だがこうしてる間にも葉月ちゃんの身に危険が迫っている。やはり桐壺に危険を承知で暴れてもらうしかないのだろうか。いやまだやれることはある



【どんな人に売ったんだ?】



「あ、あいつだ!あいつらに売った!」



商人が慌てて指を指す先は雑踏が多くひしめきあっていた。だがその人物たちの判別は難しくなかった。その者たちはまるで人混みに紛れてなお異質で輝いてさえ見えたからだ。

2人共女性である。姉妹には見えない。1人は大柄長身で服の内側からでも鍛え上げられた筋肉の隆起が分かる程にガタイが良い。歩き方は軍人のように規則正しい。反対にもう1人は少女だ。立ち振る舞いも見てくれもどこにでもいる平凡な少女のソレだ。相反する存在。しかし、この2人共々知識でなく本能が理解する。



【この感覚、始祖と同じ……もしかしてこいつらが姫の言ってた守護者】



「ばか!見るな、アーカーシャ!」



アナムの言葉も虚しく、我とそいつらの視線が交錯する。多分視線を外しても無駄だったろう。恐らく、いや間違いなく、300m以内であればどれほど気配と存在を殺しても視線一つでバレていた。



「ん?」



見られている事に気付いた2人がそこから少しの間を置くことなく瞬時に距離を潰して我の前に立つ。大柄の女性が徐に口を開いた



「お前、名乗れ」



【我はアーカーシャ】



「その名前聞き覚えがあるな おい、エリー」



「世界三大列強ゼ・ブリタニア皇国。次に聖国アイトルードを中心とした連合国。そして新たに台頭した三王同盟。確かその三王の一角を担う龍王の名前がアーカーシャ」



「ぶふぅ……!おいおい大物じゃん。アーカーシャー様よお」



【え、そうなの?桐壺】



「魔王・武王・龍王による三王同盟は知ってるが、お前に心当たりが無いなら違うだろ」



花宴が隣で茶化しながら桐壺はあくまで冷静に口添えする。だよな。しかしなんだそれ、知らんぞ!思い当たる節も無い。絶対別のアーカーシャの話してますって、それ

同姓同名の人がやったであろう同盟の話を持ち出されてどうせいって言うんですか!



【誰と勘違いしてるか知らんが我はただのアーカーシャだ。そんな三王なんたらなんて言われても知らんな】



「ただの、ね。まあいい。で、そのただのアーカーシャは何か用があって私らにガンくれてたんだよな」



「お前らに用があるっていうより」



「黙れ。今こいつに話しかけてる。三下が次に余計な口を叩いたら殺すぞ」



「その三下より自分の方が強いと思ってるのか?イーダ・フォルン・クルーゼ第七守護者」



「ほぉ。私を知ってその口の利き方、豪胆だな。チンピラ」



桐壺とイーダと呼ばれた女性の間で空気がヒリつく。瞬間湯沸かし器かなこやつら



「イーダ、此処で喧嘩は止めて。それで要件はなんですか、アーカーシャ様」



【様……実は君たちが商人から買ったエリクサーはこっちが先約だったんだよ。後ろの商人に聞けば分かる】



「……いないけど?」



【あっるぇ〜】



「でも言いたいことは分かった。つまり私たちが大金叩いて買った霊薬を自分達が先約だから寄越せ、と。要約するとそういうことだよね」



「ほう?」



イーダさんがバキバキと骨を鳴らして臨戦態勢に入る



【違うけど違わない!それをこの聖金貨で売ってもらえないでしょうか?】



「……ご存じだろうが、この霊薬は稀少だ。金貨を幾ら積まれても正直売る気はない。だが金にものをいわせて先に礼を欠いたのはこちらの方。だから1本だけタダでお譲りしよう」




それ以上の譲歩は絶対にあり得ないと目で訴えていた。1本あれば姫の魔力も全快するし、戦いの後に大陸を渡ることも出来るだろう



【それだけでも十分有り難い】



そうして彼女たちから穏便に1本のエリクサーを譲り受け、姫のいる竜宮に戻ることにした。





「お帰りアーカーシャ。用事は済んだの……あなたたちは!」



【まあまあ、姫。エリクサー一本だけ見つけたからまずは飲め。んで、こいつらも今回は仲間として協力してくれるってさ】



「初めましてだな。そしてよろしく、アーカーシャの主人」



「おお、麗しの白雪姫様!会いとうございました!」



「ギャハハ。よろ〜」



「……よろ、しく…お願い、しま……す…」



珍しく面を喰らった表情を浮かべる姫だが深くは聞かずに我からエリクサーを受け取り口にした。その瞬間、姫の魔力が全快し、拘束制御術式が正常に作動し我も本来の姿に戻ることが可能になった。さあ、これで準備マンハッタン。間違えた、準備は万端だ。

ちょっとした補足

三王についてアーカーシャは人違いと言ってるが別に人違いでは無い

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