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8話目-㊸

なんかギリギリ書けましたので応援よろしくお願いします

始祖の眷属は創生式という特殊な儀式を経てのみ創り出すことができる。だがそれは始祖にとって命を割る行為に等しい。当然創った分だけ消耗し弱体化する。魔王を創った天魔のように、負担が大きすぎた結果、消滅する事例がある程に。



故に始祖は基本的に眷属を創らない。そして創ったとしても一体のみだ。

だが龍王アーカーシャは八体もの眷属を有する。これほどの数の眷属を創れるのは始祖の中でもアーカーシャのみだろう。

また其々がオウを冠するアーカーシャの眷属たちは、或いは始祖にすら引けを取らない強さを持っていた。その力を持ってして人と龍の国アルカサル。未だかつて世界で最も巨大な国としてその図を描いたのは、彼ら眷属たちの手によるものに他ならない。その偉業を讃えて眷属たちは八大応龍と謳われており、その強さは一体が一国の軍事力すら遥かに凌駕するとさえ伝えられている。



「こ、こいつ間違いない!戦武無双のフィファニールだ!」



「なっ!たった1頭で第二次人魔大戦で両陣営を叩き潰した伝説の!?そんなのにどうやったら勝てるっていうの!!?」



「馬鹿野郎この方は今や魔国リーブルの特別軍事名誉顧問だ。魔王に次ぐ事実上のNo.2だぞ。攻撃所か擦り傷一つで即戦争になるぞ!」



「じゃあどうしろっていうのよ!大人しく殺されろっていうの!」



「外交沙汰にはしないから死ぬ気でかかって来なさい」



天空に佇む龍王アーカーシャを一瞥して、懐かしそうに遥かなる大昔の思い出に思いを馳せながら、青応龍フィファニールはチリほどの魔力を込めた視線と瞬きで数百の人垣を吹っ飛ばした。彼女にとってこれは戦闘前の威嚇だ。準備運動といって良いのかもしれない。



「ぐぎゃー!」



「それにしてもお前たち冒険者にしては貧弱過ぎるわね。もしかしてミューヒンラフィーネ大陸にいる平均的な冒険者以下じゃないの」



「お前たち下がれ!ここは俺がやる!」



「戦う気概のある者は、王が相手をすると言っていたのに」



最高位冒険者No.63マスクタフ・スミスが巨大な銃火器を幾つも携えて、フィファニールの上を取る。彼の魔法は特殊である。時間制限と距離の制限があるが、火器を無数に生み出せるといったものだ。巨大な砲門の全てが彼女に向かう。だがフィファニールは興味深そうに眉尻を上げるだけで避ける素振りも防ぐ素振りも見せはしない。



「渡航者にも何人かいたな。似たようなの使ってたよ」



「1発で城の城壁を粉々に出来るスーパーバズーカ砲4連発だ。消えろ!」



放たれたロケット弾の威力は強力だ。並の魔物なら例え魔法で防御しようと跡形も残さないだろう。だが相手は人智を超越した龍である。人の姿を模していようと人ではない。人の生み出した道理が通じる類の存在ではない。この程度は肌を撫でるさざなみと何ら変わらない。

数千℃の熱線を浴びながらフィファニールは指先の魔力で四つの破壊の炎をシャボン玉みたいに魔力で抑え込んでいき、そのままフッと蝋燭の火みたいに簡単に吹き消して鎮火させた。



「うそ、だろ!?」



「なによ、その顔は?普通の龍ですら活火山の中で活動するのよ?応龍を相手に魔力を伴わない兵器の火力としてはエネルギーが小さすぎるとは考えなかったの?」



「少なくとも私を昔殺しに来た渡航者は気化爆弾ってのを使ってきたわよ。使った本人も巻き込まれて死んじゃったけど。あれくらいはないとね。」



「キカ……?」



フィファニールの言葉には足りない部分がある。この世界は物理法則を魔力で捻じ曲げられるという点だ、それは核爆弾や気化爆弾、いわゆる魔力を伴わない向こう側の世界の大量破壊兵器に何の対策も講じなければ応龍であろうと死ぬ。それは間違いない。地上半径数キロを軽々と吹き飛ばす力だ。食らって無傷はあり得ない。だがそれは対処出来ないという訳ではないのだ。

深海1万mの世界では1000気圧かかる。そして核の破壊力ですらその世界で50m以下に縮小するのだ。応龍たちを質量に換算するだけでも3万tは下らない。また魔力により質量操作も可能である。それ以上の圧をかけることが可能である応龍たちにとってほぼ0に抑え込む事さえ造作もないことである。



「こ、の。化物が!」



「その化物に向かってくるお前は何だ。勇敢な英雄か?それとも無謀な愚者か?」



青応龍は、更にほんの少しだけ力の栓を開く。その時点でマクスタフの魔力の5倍以上はあるだろう。

魔力の優劣がそのまま結果につながるわけではない。だが、圧倒的な差を前にして勝てると思えるほど人は強くない。それでも。マクスタフは武器を捨てなかった。






黄応龍イオスガドルは他者の欲望を強く刺激するスキルを持っている。眩い黄金に目が眩む強欲。その黄金を他者を蹴落としてでも手に入れたい独占欲。地上に降り立った余りにも美しい彼女という黄金を目にした人間たちは、濁りきった目でそれを求めて手を伸ばし、そして互いに争い合った。

人は欲望を理性によって制御している。そのタカが外れたのだ。数万の人間が一斉に自己の欲を抑えきれずに傷つけ合う。それを彼女はいつも通り何もせず唯々淡々と退屈そうに眺めている。



「おい イオス」



突然に思念がイオスガドルの頭に割り込んできたので静かに答える



「なにか フィファニールさん」



「分かっているか、王の御心を。違えるなよ?」



「あの、言い訳させてもらえるなら、私まだ何もしてないですよ。こいつらが勝手に私の魅力にアテられて……」



「そうか。残念だよ イオス。久しぶりの再会なのに」



「はいはい!分かりました。わかりましたって。直ぐに対処します。すればいいんでしょ。

order 大海 追加渦潮」



イオスガドルは"注文"という魔法を扱える。凡ゆる物と現象を自身の所持する財の消費により行えるといったものだ。魔法を限界まで極めて拡大解釈しまくった規格外の力の一つ。

今回は大海と渦潮を注文した。

海流が冒険者たちだけを呑み込むように召喚され、意思を宿してるかの如く、激しく数万の冒険者たちを攫っていく。



「うぅ、わたしの財が消えていく」



「使わずに溜め込んでるようだから、こうして吐き出させてやってるのよ。感謝しなさい」



「フィファニールさんの鬼!」



「龍よ」



悲しみに暮れているイオスガドル。だが海を乗り越えて1人の冒険者が現れた。ベイビー・フランクリンだ。

グラナド・フエクの指示に従うことで、彼女だけが水の勾留から脱出することが出来たようだった。

フランクリンは全身をスクリューのようにキリモミ回転させながら、捨て身の突撃を放つ。

しかし、イオスガドルは見向きもしないが少しだけ困ったような顔色を浮かべる。



「余裕で止められた!しかも小指で……!」



「なんか戦う気がある人間がこっちにいるんですけど、これはどうすれば」



「適当にいなせ。私たちは命じられた通りにするだけだ。戦う気概のあるやつは王の獲物だぞ。」



「適当にって、わたし手加減苦手だから代わってくださいよ」



「見て分からないか?他の奴ら相手で今は手が離せない」



「手使ってないじゃないですか!

あー〜もう、order 鉄檻」



フランクリンを囲うように鉄の檻が出現し、彼女の封殺を試みる。だがシンドゥラとの戦いを経て、限界まで力を振り絞ってるフランクリンをこの程度で抑え込めれる訳がない。

猛獣を封じ込める鉄檻は彼女の手によって容易く粉砕される。



「ええっ……?」



インフレの臭いがし始めてる

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